13 / 63
第二章 失恋
4:ドレス選び
「リリカは、キャサリンに比べて顔が質素だし醜いそばかすもあるから、顔に目が行かない様に胸元に大きなリボンをつけるのはどうかしら?」
リリカは、ローズとキャサリンと三人で、ドレスを仕立てに来ている。
贔屓にしている店で、馴染の店員は驚いた顔で見ていた。
リリカのドレスについて、ローズがこれ程までに熱心に前向きな意見を言うのは、初めてだったのだ。
本当は、社交界デビューにのためのドレスは、もう既に仕立て終えていた。
しかし、リリカのドレスはとても地味なものだったため、改めて仕立て直しに来たのだ。
リリカとキャサリンの物を選ぶ買い物には、一応リリカも連れて行かれる。
しかしいつもリリカは蚊帳の外で、この苦痛な時間が過ぎるのを待っているのだが、今日は別の意味での苦痛も伴っていた。
初めてのローズの干渉は、今のリリカには煩わしい以外の何者でもない。
(私に良いところに嫁がせて、自分の保険にしたいのがみえみえよ)
いつもは無心を心がけるのだが、傷心のリリカは心の中でローズへ悪態をつく。
隠さずに、表情にも嫌悪の色をはっきりと出している。
「キャサリン、リリカのドレスの仕立て直しに付き合ってくれるなんて、なんて優しい子なのかしら。リリカはこんなに可愛くて優しい妹がいて幸せね。双子なのにこんなに違うなんて……。さあキャサリン、あなたの素敵なセンスで、リリカにアドバイスをしてやって頂戴!」
キャサリンが、付いて来たいと自分から申し出て来て、ローズは上機嫌だ。
(お母様と二人きりの空間なんて間がもたないから、キャサリンも来てくれて良かったわ……)
リリカがそう思うように、キャサリンの存在が室内の空気を柔らかくしてくれているのは、間違いなかった。
「お姉様、私も一緒に選ばせてもらっても良いかしら?」
「ええ、勿論よ」
(どうぞいつも通り、二人で話してさっさと勝手に決めて頂戴……)
リリカはそう思いながら答えた。
リリカはまだ、このような煌びやかで明るい所にいる気分では決してなくて、早く帰りたくて仕方がないのだ。
「お母様、お姉様には大きなリボンやアクセサリーよりも、小柄で品のある物の方が似合うと思うわ」
「あらそうかしら? 顔が質素だから服が豪華な方が良いかと思ったのだけれど」
「ちぐはぐだと悪目立ちして敬遠されるわ」
「あら、それもそうね。やっぱりキャサリンは賢いわね。確かにそっちの方が、太っているリリカには痩せて見えるし良いわね!」
ローズは、キャサリンと一緒に和気あいあいとドレスを選ぶことが出来て、とてもご機嫌だ。
「お姉様は、これとこれはどちらが良いと思う?」
ボーッとしていたリリカは、急に話をふられてすぐに返答が出来なかった。
ローズとキャサリンの会話に呼ばれることは、最近ではほぼなかったので、話をまったく聞いていなかったのだ。
(そう言えば、昔はよくキャサリンが声を掛けてくれていたわね。私も仲間に入れようとして……)
ボーッとそんな昔のことを思い出していると、リリカの思考はローズの声に遮られた。
「ほら、せっかくキャサリンが選んでくれているのよ! さっさと質問に答えなさい! 本当にとろい子ね」
ローズの発言で一気に現実に引き戻されたリリカは、心に黒いモヤが一気にかかる。
「任せるわ」
それだけを言って、リリカは壁際へ行った。
それ以降は〝我関せず〟を貫くこととしたのだ。
「お姉様のドレスなのに……」
リリカが聴覚をシャットダウンする直前に、キャサリンのそんな声が聞こえた気がしたのだった……
リリカは、ローズとキャサリンと三人で、ドレスを仕立てに来ている。
贔屓にしている店で、馴染の店員は驚いた顔で見ていた。
リリカのドレスについて、ローズがこれ程までに熱心に前向きな意見を言うのは、初めてだったのだ。
本当は、社交界デビューにのためのドレスは、もう既に仕立て終えていた。
しかし、リリカのドレスはとても地味なものだったため、改めて仕立て直しに来たのだ。
リリカとキャサリンの物を選ぶ買い物には、一応リリカも連れて行かれる。
しかしいつもリリカは蚊帳の外で、この苦痛な時間が過ぎるのを待っているのだが、今日は別の意味での苦痛も伴っていた。
初めてのローズの干渉は、今のリリカには煩わしい以外の何者でもない。
(私に良いところに嫁がせて、自分の保険にしたいのがみえみえよ)
いつもは無心を心がけるのだが、傷心のリリカは心の中でローズへ悪態をつく。
隠さずに、表情にも嫌悪の色をはっきりと出している。
「キャサリン、リリカのドレスの仕立て直しに付き合ってくれるなんて、なんて優しい子なのかしら。リリカはこんなに可愛くて優しい妹がいて幸せね。双子なのにこんなに違うなんて……。さあキャサリン、あなたの素敵なセンスで、リリカにアドバイスをしてやって頂戴!」
キャサリンが、付いて来たいと自分から申し出て来て、ローズは上機嫌だ。
(お母様と二人きりの空間なんて間がもたないから、キャサリンも来てくれて良かったわ……)
リリカがそう思うように、キャサリンの存在が室内の空気を柔らかくしてくれているのは、間違いなかった。
「お姉様、私も一緒に選ばせてもらっても良いかしら?」
「ええ、勿論よ」
(どうぞいつも通り、二人で話してさっさと勝手に決めて頂戴……)
リリカはそう思いながら答えた。
リリカはまだ、このような煌びやかで明るい所にいる気分では決してなくて、早く帰りたくて仕方がないのだ。
「お母様、お姉様には大きなリボンやアクセサリーよりも、小柄で品のある物の方が似合うと思うわ」
「あらそうかしら? 顔が質素だから服が豪華な方が良いかと思ったのだけれど」
「ちぐはぐだと悪目立ちして敬遠されるわ」
「あら、それもそうね。やっぱりキャサリンは賢いわね。確かにそっちの方が、太っているリリカには痩せて見えるし良いわね!」
ローズは、キャサリンと一緒に和気あいあいとドレスを選ぶことが出来て、とてもご機嫌だ。
「お姉様は、これとこれはどちらが良いと思う?」
ボーッとしていたリリカは、急に話をふられてすぐに返答が出来なかった。
ローズとキャサリンの会話に呼ばれることは、最近ではほぼなかったので、話をまったく聞いていなかったのだ。
(そう言えば、昔はよくキャサリンが声を掛けてくれていたわね。私も仲間に入れようとして……)
ボーッとそんな昔のことを思い出していると、リリカの思考はローズの声に遮られた。
「ほら、せっかくキャサリンが選んでくれているのよ! さっさと質問に答えなさい! 本当にとろい子ね」
ローズの発言で一気に現実に引き戻されたリリカは、心に黒いモヤが一気にかかる。
「任せるわ」
それだけを言って、リリカは壁際へ行った。
それ以降は〝我関せず〟を貫くこととしたのだ。
「お姉様のドレスなのに……」
リリカが聴覚をシャットダウンする直前に、キャサリンのそんな声が聞こえた気がしたのだった……
あなたにおすすめの小説
【完結】妖精姫と忘れられた恋~好きな人が結婚するみたいなので解放してあげようと思います~
塩羽間つづり
恋愛
お気に入り登録やエールいつもありがとうございます!
2.23完結しました!
ファルメリア王国の姫、メルティア・P・ファルメリアは、幼いころから恋をしていた。
相手は幼馴染ジーク・フォン・ランスト。
ローズの称号を賜る名門一族の次男だった。
幼いころの約束を信じ、いつかジークと結ばれると思っていたメルティアだが、ジークが結婚すると知り、メルティアの生活は一変する。
好きになってもらえるように慣れないお化粧をしたり、着飾ったりしてみたけれど反応はいまいち。
そしてだんだんと、メルティアは恋の邪魔をしているのは自分なのではないかと思いあたる。
それに気づいてから、メルティアはジークの幸せのためにジーク離れをはじめるのだが、思っていたようにはいかなくて……?
妖精が見えるお姫様と近衛騎士のすれ違う恋のお話
切なめ恋愛ファンタジー
悪女の最後の手紙
新川 さとし
恋愛
王国を揺るがす地震が続く中、王子の隣に立っていたのは、婚約者ではなかった。
人々から「悪女」と呼ばれた、ひとりの少女。
彼女は笑い、奪い、好き勝手に振る舞っているように見えた。
婚約者である令嬢は、ただ黙って、その光景を見つめるしかなかった。
理由も知らされないまま、少しずつ立場を奪われ、周囲の視線と噂に耐えながら。
やがて地震は収まり、王国には安堵が訪れる。
――その直後、一通の手紙が届く。
それは、世界の見え方を、静かに反転させる手紙だった。
悪女と呼ばれた少女が、誰にも知られぬまま選び取った「最後の選択」を描いた物語。
表紙の作成と、文章の校正にAIを利用しています。
【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて
ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」
お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。
綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。
今はもう、私に微笑みかける事はありません。
貴方の笑顔は別の方のもの。
私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。
私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。
ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか?
―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。
※ゆるゆる設定です。
※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」
※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド
背徳の恋のあとで
ひかり芽衣
恋愛
『愛人を作ることは、家族を維持するために必要なことなのかもしれない』
恋愛小説が好きで純愛を夢見ていた男爵家の一人娘アリーナは、いつの間にかそう考えるようになっていた。
自分が子供を産むまでは……
物心ついた時から愛人に現を抜かす父にかわり、父の仕事までこなす母。母のことを尊敬し真っ直ぐに育ったアリーナは、完璧な母にも唯一弱音を吐ける人物がいることを知る。
母の恋に衝撃を受ける中、予期せぬ相手とのアリーナの初恋。
そして、ずっとアリーナのよき相談相手である図書館管理者との距離も次第に近づいていき……
不倫が身近な存在の今、結婚を、夫婦を、子どもの存在を……あなたはどう考えていますか?
※アリーナの幸せを一緒に見届けて下さると嬉しいです。
お姉様のお下がりはもう結構です。
ぽんぽこ@3/28新作発売!!
恋愛
侯爵令嬢であるシャーロットには、双子の姉がいた。
慎ましやかなシャーロットとは違い、姉のアンジェリカは気に入ったモノは手に入れないと気が済まない強欲な性格の持ち主。気に入った男は家に囲い込み、毎日のように遊び呆けていた。
「王子と婚約したし、飼っていた男たちはもう要らないわ。だからシャーロットに譲ってあげる」
ある日シャーロットは、姉が屋敷で囲っていた四人の男たちを預かることになってしまう。
幼い頃から姉のお下がりをばかり受け取っていたシャーロットも、今回ばかりは怒りをあらわにする。
「お姉様、これはあんまりです!」
「これからわたくしは殿下の妻になるのよ? お古相手に構ってなんかいられないわよ」
ただでさえ今の侯爵家は経営難で家計は火の車。当主である父は姉を溺愛していて話を聞かず、シャーロットの味方になってくれる人間はいない。
しかも譲られた男たちの中にはシャーロットが一目惚れした人物もいて……。
「お前には従うが、心まで許すつもりはない」
しかしその人物であるリオンは家族を人質に取られ、侯爵家の一員であるシャーロットに激しい嫌悪感を示す。
だが姉とは正反対に真面目な彼女の生き方を見て、リオンの態度は次第に軟化していき……?
表紙:ノーコピーライトガール様より
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
悪女と呼ばれた令嬢は、親友の幸せのために婚約者を捨てた
由香
恋愛
婚約者である王太子を、親友のために手放した令嬢リュシエンヌ。
彼女はすべての非難を一身に受け、「悪女」と呼ばれる道を選ぶ。
真実を語らぬまま、親友である騎士カイルとも距離を置き、
ただ一人、守るべきものを守り抜いた。
それは、愛する人の未来のための選択。
誤解と孤独の果てで、彼女が手にした本当の結末とは――。
悪女と呼ばれた令嬢が、自ら選び取る静かな幸福の物語。