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コヨタ

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第20話 ボクと私

第20話・1 少女ふたり、お買い物

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 レイラたちが人間の少女を模した龍クオンとトワとの邂逅を果たした、翌日。

 ここは、都市南西部・商業区。
 にぎやかな商店街の通り。

 アーケードの下には色とりどりののぼり、雑貨屋やスイーツ店の香り、夕刻を楽しむ人々の笑い声。

 その中に、あのふたりの少女が並んで歩いていた。

「見て、トワ! たい焼きの中身、あんことカスタードだけじゃなくてチョコもあるよ! 美味しそうでしょ?」

 紫髪の少女──クオンが楽しげに小さな紙袋を揺らして歩いている。

 手には、尻尾までしっかり詰まったたい焼き。

 トワはアームカバーを着けたまま、その横で小さく答えた。

「……尻尾まで詰まってる……ふしぎ……」

「はい、トワの分!」

 クオンは紙袋からもうひとつのたい焼きを取り出し、器用にトワの口元へ差し出す。
 トワはそれをしばし見つめて、パクッとひとくち。

「……甘い」

「ふふ、よかった~♪」

 ふたりの歩調はゆっくりで、街に馴染んでいた。

 ──だが、周囲の人々は知らない。

 この少女たちが人間ではないということを。

「さっきのお店の人、トワのことちょっとびっくりして見てたけど……アームカバー、大きいから目立つのかな?」

「……あれ、『オバケかと思った』って、言ってた……」

「うぅ……やっぱり!? トワ、今度はもっと可愛いのにしてみない?」

「やだ」

「そ、そっかあ……」

 気まずくなりそうな空気の中でも、ふたりの会話はどこかあたたかい。

 トワは、クオンとは比較的会話が成立できるようだ。

「今日は、ほんとに楽しいねぇ……。昨日はぐれたときは心配したけど」

「……ボク、間違えた。道、ぜんぜん違った。広場があると思ったら……なんか静かで、暗くて……」

「……あっ、もしかして……旧商業区?」

 トワはこくりと頷いた。

「……それで、あいつら、いて……邪魔だったから、壊そうと思った」

 その一言に、クオンが目を丸くして立ち止まる。

「えぇ!? トワぁ~!! すぐそうなるのダメって言ったでしょ~!!」

「でも……はぐれてたし……止める人……クオン、いなかったし……」

「もう~……本当に申し訳ないことしたなぁ……! みんな、怪我とかしてないといいんだけど……」

 クオンは眉をひそめながらも、トワの腕をぽんぽんと叩く。

「明日からは平和に過ごそうね。トワと一緒にいられるだけで、私は嬉しいんだから」

「……ふぅん」

「ふふっ、それじゃあ次はあっちのアイス屋さん行こ!」

「……アイス……あれも、甘い?」

「うん! 冷たくて、とろけて、すごく美味しいよ~」

「じゃあ……行ってみる」

 商業区の賑わいの中、ふたりの少女の後ろ姿が小さく遠ざかっていった。

 まるで、ただの女の子の日常のように。

 だが、その足音の奥には、誰も知らない姿が眠っている。


 ◇


 翌日。

 診察室の窓辺に座るセセラは、包帯が巻かれた上半身を軽く動かしながら、タブレット端末に映る都市南西部の地図を睨んでいた。

「……まさか、アレがあんな人混みに紛れ込んでたとはな」

 その後ろで、静かに頷くのはシエリ。

「完全に人間のように振る舞える龍……。生体反応ゼロ、熱量安定、目立った因子放出も無し。解析班が混乱しているのも無理はない」

「あいつらはべつに人間のフリをしてるわけじゃねえんだわ」

 セセラはそう言いながら、拳を軽く握る。

「あれが素なんだよ。作られた素体ってやつだ。あの落ち着き、あの知能、あの抑制された動き……。どれも天然の龍じゃ出てこねえ。そういう構造でできてる」

 その言葉に、シエリは淡々と答えた。

「……自然界の進化ではない。意図的にこの世に存在させられた龍。誰かが、実験して……人間型に適合させた」

「…………」

 ふたりの間に、沈黙が落ちる。

「……あいつくらいしかいないだろうな、そんなバケモノを作れるのは」

 セセラの声は低いが、確信を孕んでいた。

 名前は出さない。
 だが、指している者はひとり。

「次、出てきたら……躊躇はしねえ」

「レイラたちには?」

「あいつらは……今は“出てきたもの”にだけ集中させてやりたい」

 すると、コンコンと扉のノック音がして、調査班の職員が顔を覗かせた。

「──失礼します。薊野さん、センサー調査の結果がまとまりました」

「おっ、いいタイミング」

「ただ……微弱……本当に微弱ではありますが、あの日のものとほぼ同じ龍因子の反応が、数キロ先の現商業区でも確認されたとのことです。そこにいた可能性は高いです」

 セセラとシエリの目が交差する。

「……まだ街にいるな。あいつら、帰ってねえ」

「この龍因子反応を検出できたのも、あの日レイラさんたちが対象と交戦していただいたおかげです。それでもここまでの解析です」

「……あれでようやくちょびっとだけ化けの皮が剥がれたんだな」

「ただ、あの日の旧区での調査任務とした微量の龍因子反応に関しては……あの少女のものではなく……。なにか怪しいです。まるで我々をそこに呼び寄せたかのような、意図的に流されたようにも見えます」

「…………」

 少し息を細く吐きながら、セセラは立ち上がった。

「……レイラたちは疲労が残ってる。この後の調査には別班を送る」

 そして伝達用の無線機に向かって発言する。

「──こちら薊野。調査班へ。都市南西、商業区の監視強化だ。カメラ、赤外線、街頭のモバイル通信記録、全部洗え。“人間の形をした龍”を見逃すな。今度こそ捕まえる」

 機関内に静かに警報が灯った。

 静かに、次の“接触”へと向かい始めていた。


 ◇


 午後、商業区中心街。
 活気に満ちた通りの中を、私服姿の調査班職員が数人、別々の方向に分かれて歩いていた。

『交差点から広場のベンチ付近まで、監視ログ一致範囲を拡大。今朝10時半から正午まで、通信記録の発信者に不審な履歴は無し……。何も、引っかかりがありません』

 無線越しのその声に、路地裏の飲食スペースを回っていた調査員のひとりが舌打ちする。

「龍因子が微弱でも、動いてりゃ何か残すはずだろ。なのにどこにも痕跡が無い……」

 商業区の入り組んだ裏通り。
 ビルとビルの隙間、日陰の壁沿いを歩きながら、もうひとりの調査員がため息をつく。

「まるで存在してなかったみたいですね……。でも、先日の現場では確かに……あんな戦闘があったのに」

「薊野さんの言ってた通りか。目に見えるのに、存在しない奴って……」

 そのとき──。

 ひとりの調査員の耳に、微かな歌声のようなものが届いた。

「……ん?」

 立ち止まり、ビルの隙間に耳を傾ける。

 高く、ゆっくりとした少女の声──というより、鼻歌。

「聞こえる……微かにだが……」

 声のする方向に歩を進めると、そこには──。

 開いたテラス席の端で、たい焼きを頬張る少女。

 水色と紫の髪、ゆるく揺れるスカート。
 隣には黒い服の少女が座っている。

 どちらもごく自然に、笑い合っていた。

「……ただの、買い物中の学生……?」

 調査員は小さく首を傾げる。
 しかし、どこかでひっかかる。

 ──違和感。

 不意に視線を交わした瞬間、黒服の少女がジト……と見返した。

「……っ」

 ぞわりと、首筋を走る冷気。

 思わず目を逸らして歩き出した調査員は、無線に手を伸ばす。

「……調査班2より本部へ。対象らしき人物……“似ている個体”を発見した可能性あり。ただし、行動は極めて自然で周囲との同調率が高い。……一旦、継続監視に切り替えます」

 その背後。
 トワはゆっくりと、口を開いた。

「……さっきの人、調かな」

「うん。たぶん……でも、今は黙っていようね。怒られちゃうから……ね?」

 クオンの声は変わらず穏やかだった。
 まるで普通の買い物を楽しむ、少女そのもののように。


 ◇


 作戦司令室にてモニターの前に立つセセラは、受信した報告内容を食い入るように見ていた。

 調査班から送られた写真には、広場のベンチでたい焼きを分け合う少女ふたり。
 そのうちのひとり、黒い服に大きなアームカバーをつけた少女の目線が、カメラ越しにこちらを

「……気づいてるな。これ」

 セセラの横に立っていたシエリが、静かに言葉を漏らす。

「完全にね。でも、攻撃はしてこない。まるでこっちが動くのを待っているかのようだね」

「挑発か……いや、違う。観察してるのかもしれねえ」

 顎に手をやり、しばし考えるセセラ。

(あのトワってガキ、リルを完全に狙ってた。戦闘嗜好、執着傾向、そしてあの変異した手……。今もまだ何かを待ってるとしたら……)

「……セセラ、動く?」

 シエリの問いに、セセラは頷いた。

「……ああ。次は、こっちから仕掛ける」

 即座に通信を起動する。

「──こちら薊野。都市南西商業区、現場監視を続けつつ、第2調査を展開。接触可能な距離を保ち、必要なら即応部隊へ引き渡せ。……ただし、攻撃はするな。奴らが先に動くまではな」

『了解、薊野さん』

 無線の向こうで、調査員の緊張が混じる返答があった。

 セセラはタブレット端末を開き、軽く叩くようにして呟く。

「観察者を観察する……今度は、こっちの番だ」


 ◇


 その頃──。

 クオンとトワは、広場から少し外れた雑貨店の前にいた。

 トワはガチャ機を不思議そうに眺め、クオンは両手を合わせて笑う。

「わぁ~、可愛い指輪……! ちょっと派手だけど、トワ似合いそう!」

「……これ、戦えない。指が入らない」

「えっ……そっか、アームカバーの中……うん、まぁそれは置いといて!」

 楽しげな空気の裏で、ふたりの気配が僅かに緊張を帯びた。

「……ねぇ、クオン。ボク、あの人たち、また来ると思う」

「……うん、私もそう思ってるよ」

「……やっぱり、やっつける?」

「ダメだよトワ。やっつけないって言われてるんだから。……でも……」

「でも?」

「止めるだけなら、また……してもいいかもね?」

「…………」

 ふたりの会話は、風に溶けるように淡く、そして確実に火種を孕んでいる。

 時刻は既に午後3時過ぎ。
 都市南西・商業区中央エリアの、人通りが最も多くなる時間帯。

 通行人の間に紛れるようにして、数人の私服調査員が再び配置についていた。

 隊長格の男が、耳元の通信にそっと声を落とす。

「……現場到着。例の少女ふたり、依然として行動継続中。現在、商業区内を低速で巡回しながら買い物を継続。……やってることは本当に普通です」

『攻撃的兆候無し。あくまで無害に見せかけてるだけだ』

 通信の向こう、セセラの声には静かな鋭さが宿っていた。

『近くの1名、接触に向かえ。話しかけてみろ。敵意を持たれない範囲でいい。もし対応に異常があれば……即座に距離を取れ』

「承知しました」

 そう答えた調査員が、鞄を肩に下げたままゆっくりとふたりの少女へと歩み寄っていく。

 クオンとトワは、通りの端に並んでクレープを食べていた。

「……これ、巻いてある……ふしぎ」

「それがクレープなのっ、もう何回目だっけ~?」

 笑うクオン。
 だが、視線はどこか空気の変化を感じ取っている。

「トワ」

「……うん。来てる」

 少女たちは見ないふりをしたまま、背後から近づいてくる気配に明らかに気づいていた。

「──すみません。あの……ちょっといいですか?」

 調査員がついに声をかける。
 優しい口調、敬語、笑顔。敵意は全く込めていない。

 クオンはパッと振り返ると──。

「あっ、こんにちは~!」

 その反応は自然だった。
 ほんの少しだけ目を見開いて、にこっと笑う。

「なにか、御用……ですか?」

「いえ、あの、ちょっとだけ……お話を伺いたくて……。先日、あなた方と似た方を旧商業区で見かけたという報告がありまして……女の子ふたりで危ないと……」

「ふぇっ……!? そ、そっくりさん……かも?」

 クオンは明らかに狼狽えたふりをする。
 ──それは見事な演技だった。

「それが昨日の話なら私たち、違うところにいたよ。ね?」

 トワが淡々とそれに答える。

「……そう。ボク、ひとりだとずっと迷子になる。ふたりでいるって言うなら、旧区じゃないと思う。ボクたちじゃない」

 半分本当で半分嘘。

「……そ、そうでしたか。それなら大丈夫です。すみません、驚かせてしまって」

 調査員は、心做しか汗をかきながら小さく頭を下げて引いた。

 数歩離れた位置で、通信に声を落とす。

「……接触完了。反応、ほぼ予測通り。会話の齟齬は無し。ただしあらかじめ対策されていた可能性あり。少女たちはこちらの意図を完全に読んでいた気配があります」

『……ああ。予想通り嘘をつくのが上手い奴らだ』

 セセラの声が重く響いた。

『いいか。次に会うときは、仮面を剥がす手段を持っていけ。今度こそ、素の姿で向き合ってもらう』

 その言葉は、まるで宣戦布告のように無線を震わせる。

 ──そして再び、広場から少し離れた裏路地。

 ベンチに並んで座るクオンとトワ。
 手には買ったばかりの紙袋や、少し食べ残したクレープ。

「……やっぱり、調査の人だったんだね」

 クオンは小さく頷きながら、困ったように笑った。

「でも、ちゃんとお話したら帰ってくれたね。よかったぁ……」

 隣では、トワがクレープの残りを食べながら呟く。

「……ボク、やっつけないでよかった?」

「もちろんだよっ。ちゃんと我慢してくれてありがとうね!」

「……でも、だった。あいつらと同じだった。見てきた。判断してる目だった」

 トワの声はずっと淡々としている。
 だが、その言葉の端々に“次があったら迷わない”という確信が滲んでいた。

「…………」

 ふっと顔を曇らせるクオン。指先で自分のスカートの裾を摘む。

「でも……私、誰もやっつけてほしくないんだよ。あの眼帯の人も、赤い髪の人も……あの人たち、すごく一生懸命だった。助け合ってて、まっすぐで……」

「……ボク、楽しかった」

 トワは急に笑った。

「……リルって人だっけ、強かった。だからまた戦いたい。次はもっと強くなっててほしい。そしたら……もっとたのしい……」

 クオンはその言葉に小さく息を止めたあと、微笑む。

「そっか……トワはそう思ったんだね」

 ふたりの間に沈黙が落ちた。

 それは気まずさではない。
 価値観の違いを認め合っている、だけど重なることはない──そんな沈黙。

「……じゃあ、明日はどうしようか?」

 クオンは立ち上がりながら続ける。

「今日のこと、きっとまた調べられちゃうだろうけど……。私は、誰とも争わずにいられる道があるなら、そっちを選びたいな」

「ボクは、戦えるなら……戦いたい。でも、クオンと一緒がいい」

「ふふっ、私も。ずっと一緒がいい」

 ふたりは荷物を持ち、また街の中へと歩き出す。

 姿こそ少女たち。
 その足音の先に待つのは、優しさと戦いが交錯する運命だった。



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