129 / 133
第28話 開戦
第28話・1 旧・第三研究区画
しおりを挟む
夜明け前。
紫のグラデーションが空を染める中、無人の旧市街を1台の黒い車が走り行く。
龍調査機関の輸送車──その中で、4人の若者がそれぞれの思いを胸に、沈黙の中にいた。
「あと2キロ……もうすぐ、着くよ」
ラショウが前席のナビを見つめながら呟く。その声には、普段の優しさとは違う緊張の揺らぎがある。
「地下構造は……予想以上に複雑だ。ジキル……が関わったなら、どこに何を仕掛けていてもおかしくない」
資料ファイルに目を落としながら、アシュラは眉をひそめた。
リルのいる場で『ジキル』という名を出すことに、未だ少し躊躇いがあるようだった。
しかし。
「……仕掛けがあるなら、全部潰すだけだ」
リルは後部座席の窓から夜明け前の街を見やりながら、短く吐き捨てる。
冷静、かつ強かな声音。
「……私も、役に立てるはず。休んでばかりいられない」
そしてレイラは静かに意を決した。
その右腕に僅かに痛みが走るが、それでも、もう戦える。
──早朝5時。
旧・第三研究区画前に到着する。
霧の中に浮かぶように現れたのは、朽ちた廃ビル群。その奥に佇む、フェンスに囲まれた半壊した施設。
地面はひび割れ、張り巡らされた鉄条網が風に軋む音を立てていた。
「入口……あれ、だと思う。地下へ続く通路があるはず」
ラショウが前方へと指差す。
「歓迎は無いに越したことはないが……油断するなよ」
アシュラは鞘に手をかけながら、足を止めることはない。
「……行こう」
そしてレイラが一歩、踏み出す。
その瞬間。
──ガギィン!!!
「!!」
金属を引き裂くような轟音と共に、地面が砕けて盛り上がった。
「ッ……来たか……!」
リルが素早く構え、瞳孔が細くなる。
白煙の中から現れたのは、四足獣の姿を模した機械──全身を鋼で覆った、自律戦闘兵器。
背中には禍々しい龍因子の脈動が走っている。
「なに、これ……っ!?」
ラショウが目を見開いた。
──そして、モニター室。
「薊野さん! 中継入りました!」
響く職員の声。
「全映像、解析班にも送れ! ログも録りっぱなしで!」
セセラは身を乗り出し、レイラたちが身に付ける小型カメラの中継映像に目を凝らす。
その目には明らかな焦燥が滲んでいた。
「……やっぱり出しやがったな……あの野郎……!! 初手から試作兵器か……!!」
◇
「初っ端からこれかよ……っ!!」
リルの両手が変化する。赤く光る禍々しい龍の爪が、バキバキと音を立てて出現。
「リル、無理するなよ! レイラは後方! ラショウはサポートに回れ!」
「了解!」
アシュラの指示にレイラが頷き、蒼白いオーラのような瘴気が体から立ち昇った。剣を構え、走り出す。
「援護は任せて!」
ラショウも2本の短剣を抜き、アシュラの隣へ駆けた。
金属の獣が咆哮と共に突進──!
「う……ッ、速い……!!」
呻くように叫ぶラショウ。だが、その突進にアシュラが刀を構え、真正面から斬撃を放った。
「喰らえッ!」
空気が裂ける。
続けてリルが側面から飛び込み、爪が獣型兵器の肩装甲を切り裂いた。音を立てて火花が散る。
「レイラちゃん、後ろから!」
「了解、任せて!」
レイラはラショウの指示に瞬時に回り込み、龍気を纏わせた剣で鋭く斬る。
しかし──。
「えっ、……傷、塞がってる!?」
動揺するラショウ。
「再生装甲か……! 龍因子を応用した回復機構かもしれない!」
尚も冷静に、アシュラが読み取る。
──モニター室ではセセラが唸った。
「再生速度……通常の龍より早い。リルの攻撃じゃなかったら、今のでも装甲を貫けてない……」
ギリッ……と歯を食いしばると──。
「解析班、装甲の再生タイミングを割り出せ! 俺がレイラたちにタイミングを送る!」
「了解しました!」
画面の向こう、暴れ回る金属の獣。
通常の龍とは異なる“敵”に、機関内は今までとは違う空気の焦燥が走っていた。
そして、戦場。
「……だったら」
リルの爪が禍々しく光る。
「再生が追いつかねえくらい殴り続ければいいんだろ……ッ!!」
地面を抉るような踏み込み。
爪が唸りを上げ、獣型兵器の側面を一気に切り裂く。そのまま連撃を重ねていくと鋼がめくれ、内部構造が露出した。
「……ッ……!」
それはまるで、生身の生物が有する臓物のよう。
生々しい光景に一瞬だけレイラたちが怯んだ、その刹那──。
「うわ!」
──ガガガガガ……ッ……!!!
ガシャンガシャンと派手な音を立てながら、狂ったような挙動を見せる四足獣を模した戦闘兵器。
不規則なリズム、不規則な動き。
およそ通常の生物ではありえない、無機質な暴走。
しかし。それでも。
「…………!」
リルの目は、それを確かに追い続けていた。
──そして。
「……そこだッ……!!」
獣型兵器の動きが僅かに隙を見せたその瞬間をリルは見逃さず、渾身の殴打を叩き付けた。
そのとき、レイラたちの耳へ無線が飛ぶ。
『リルの一撃が効いてる! レイラ、今だ!』
「……!!」
指示を受けたレイラ。
内部が剥き出しになり、リルの攻撃で怯んだ金属の獣の元へとすぐに駆け出す──。
「……これかッ!!」
レイラの剣が、脈動する核のような部位へとまっすぐ突き立てられた。
「斬った!!」
──ギギギギギギ!!!
「……っ、え……!?」
装甲がひび割れ、機体全体が赤く脈打つ。
やがて、獣の機体が崩れ、爆発寸前のような光を放ち出した。
「ッ、離れろ!!」
咄嗟に察したアシュラが叫び、全員を一気に引き戻す。
その瞬間。
──ドカァアンッ!!!
爆音。
「……ッわ!!」
「……!!」
火球が夜明け前の空を焦がし、吹き上がった煙が空を覆う。
爆風と共に、機体は木っ端微塵となった。
「…………!」
──しばらくして、静寂が戻る。
風が抜ける中、4人は肩で息をしていた。
「び……びっくりした……アシュ、ありがとう……」
「いや……なんていうか……これ、最後は絶対爆発するって思ったから……」
「……ふぅ……アレが入口の守護ってやつか……」
両手の龍化を解き、大きく息を吐くリル。
「もう、大丈夫……?」
ラショウは呼吸を整えながら辺りを見回していた。
「……うん……、入口は……あ、あれかな……」
レイラが指差した先──崩れた瓦礫の奥に、冷たく重たい鉄の扉が見えた。
爆発で吹き飛ばされた金属の残骸を踏み越え、4人はついに鉄の扉の前へと辿り着く。
コンクリに埋もれるようにして立つ重厚なそれは、無数のひび割れと錆に侵食されていた。
中央には、朽ちた『立入禁止』の警告が貼り付けられている。
「……ここが、兵器の牢か」
低く呟くアシュラ。刀に添えた手に力がこもっていた。
「鍵は……要らなさそう。でも、逆に……嫌な感じ」
ラショウの言葉の横でレイラは鋭い目で周囲を見渡す。目に見える罠は無いが、それがかえって不気味だった。
「心配すんな。こんなの──」
──ドンッ!!
そんな中でリルが容赦なく扉を蹴り付ける。
「ちょ……ちょっとリルくん……! もう少し慎重に……!」
しかし。
ラショウの心配をよそに扉は重厚な金属音と共に、軋みながら内側へと開かれた。
ただの蹴りで開放された扉に、「……え、ほんとに開いた……?」とラショウがぽつり。
◇
その先に広がっていたのは、予想外の光景だった。
「…………!」
白く塗られた壁、滑らかな床。
等間隔に設置された蛍光灯が、昼間のような明るさを保っている。
まるで“今も誰かが使っている”かのように整備されていた。
「なんか……ラボって感じ。異様に綺麗すぎて……逆に、怖い……」
ラショウの声が小さく震える。
「……敵の気配は、今のところは無いな」
先頭を歩くアシュラは、刀を抜いたまま。
「空調が……生きてる? 少し、寒い」
レイラは肌に触れる空気の不自然さに目を細めた。
──そして通路の先に現れた、広い円形のフロア。
中央には観測用のステージのような高台があり、その中心に設置された大型のカプセル。
内部には、人のような“何か”が横たわっている。
「……誰か、いる……?」
レイラが声を落とすと、「人か……?」とリルが前に出ようとした。
その時──。
「待って。何か、おかしい……」
レイラの制止が、フロアに緊張を走らせた。
『やあ~、ようこそ。朝早いねえ』
突然だった。
天井のスピーカーから、どこか飄々とした──あの、掴み所の無い声が響いた。
ジキルの声──。
「!!」
『やっぱり来たね、レイラちゃん。みんなも、お元気そうで何よりだよ』
天井に、ジキルの映像が投影される。
その映像に、リルは即座に反応を示した。
「……え」
淡く微笑むその姿は、リルが知るあの頃のまま──。
「……っ……」
言葉にならない音が、リルの喉から漏れる。
──死んだと信じていたはずの男。
自分を変えてしまった張本人。
そして、父。
「……ッ…………!!!」
10年越しに再び目の前に現れたその顔に、リルの瞳が揺らぐ。
「リル……ッ」
「リルくん……!」
レイラとラショウが即座にその変化を察し、リルの傍へと駆け寄った。
『久しぶり……リル。あの頃よりも、ずっと強くなったみたいだね』
ジキルの優しげな声。
だが、ぞっとするほど冷たい。
「はッ……、……は、……はあッ……、っ……!!」
目を見開いたリルの呼吸が荒くなっていく。
膝も僅かに震えていた。
『ここはね、過去の記録を保管していた研究区画。今は……ちょっとした“アトラクション”に改装してあるんだ』
「ッ、ふ……ざけんな……ッ!!」
リルが牙を剥いたような声を上げる。
「……リル……! 落ち着いて……!」
震える声でリルを引き留めるレイラ。
だがその目線は、既にカプセルの中に。
「……あれ、中にいるの……人間? ……じゃない……ッ!」
『それじゃあ……第一のゲーム、始めようか』
映像のジキルが不気味に微笑むと同時に、カプセルの周囲に電撃が走り、警告灯が点滅を始める。
さらに。
──ゴゴゴ……!!
フロアの壁がせり上がり、内部から異形と化した実験体が続々と現れた。
「……!!?」
──かつて、人間だったものたち。
顔も、手も、体も、あまりに歪み、龍因子を無理矢理注入された、失敗作。
理性も言葉も失い、ただ肉体と本能だけで生かされている者たち。
──成れの果て。
「……ッ、まさか……」
ラショウは思わず後ずさった。
「試してるつもりかよ……!」
リルは再度構え直す。怒りと混乱の中、目の奥が赤く燃え始めていた。
「来いよ……テメェら失敗作共が!!」
リルの怒声がフロアに響き渡ると同時──両手が再び龍の手へと変貌し、鋭く空気を裂いた。
次の瞬間。
迫っていた実験体の首が捻れ、爆発するように吹き飛ぶ。
だが──。
「まだ生きてやがる……ッ……!」
吹き飛ばされた肉塊が、異様に膨れた手足で地面を這い、姿勢を立て直す。
その体は既に人の形を成していない。
呻き声と共に、再び跳躍──!
「……完全に、操られてるな。自我の残滓も無い」
アシュラが素早く前へ。抜き放たれた刀が、飛びかかる個体の首をなぞるように滑る。
無音の斬撃。
そのまま肉体は崩れ、痙攣しながら地に沈んだ。
しかし、背後から別の個体がラショウに迫る。
「ラショウ!!」
「ッ、くっ……う……」
恐怖でラショウの足が止まった、その瞬間──。
レイラの剣が間に滑り込み、敵の腹部を穿つ。
「……!!」
同時に、剣に纏わせた蒼白いオーラが流れ込んだ。
──バシュッ……!!
体内で龍気が炸裂し、敵は黒煙を吹き出しながら後方へ吹き飛ばされる。
「た、助かった……ありがとう、レイラちゃん……!」
「……油断しないでラショウ……! あれは、もう人間じゃない」
「ああ……命の尊厳すら、捨てられている」
アシュラの言葉に、全員の表情が陰る。
荒い息を吐きながら、ラショウが言葉を絞り出した。
「こんなものを……あの人が、造ったっていうの?」
その問いには──天井から、再びあの声が降って返される。
『そうだよ~』
なぜか嬉しそうなジキルの声。
『ねえ聞いて? 彼らは、希望だった。世界を救うための……命を繋ぐ、礎だったんだ。だけどね……耐えられなかった。それだけ』
「……あ゙?」
返ってきた答えに、リルの目が鋭く紅く光る。
瞳孔が細まり、龍の獣性が顔を覗かせた。
「黙れよ……ッ! 希望なんて……テメェに一番、使ってほしくねえ言葉だ……!!」
『……ああ、リル。随分と性格が変わっちゃったようで……生意気。でも、可愛いな』
まるで、息子を懐かしむような声音。
だが、それはどこまでも狂っていた。
『いいんだよ、使っても。オレはいつだって、本気だった。真剣に命と向き合ってた。……誰よりも』
「じゃあ、こんな地獄を造った結果は何!?」
レイラが叫んだ──その瞬間。
パシンッ……と乾いた音。
カプセルのロックが外れる音だった。
「……!?」
全員の視線が、一斉にカプセルへと向かう。
『さあ、次の希望に会ってあげて。これが、最初の成功作──』
ガスが噴き出し、カプセルの蓋がゆっくりと開いていく。
中で静かに、何かが呼吸を始めた。
やがて。
人を模した龍が、首をゆっくりと持ち上げた。
『……試作品、No.0。最初の転生体。名前は……なんだっけ……忘れちゃった』
ジキルはまるでおもちゃの紹介でもするかのように、呆気なく告げる。
カプセルから現れた“それ”は、静かに立ち上がった。
肌は白磁のように滑らかで、髪は銀に近い灰色。
人間に限りなく近い容貌をしているが、目だけが異質だった。
──白目が黒く、虹彩が発光している。
感情が欠落したような、虚ろな美しさ。
「……なんだ、こいつ……」
アシュラは咄嗟に構えを取るが、気圧されていることは隠せなかった。
その“龍”は一言も発さず、ただ右手をゆっくりと持ち上げ──。
──スゥ……
その瞬間、空気が軋んだ。
──ズン!!!
重圧。
空間そのものが沈み込むような不可視の力が、一気にレイラたちを押し潰す。
「ぐっ……!? なに、これ、圧……ッ?!」
「動けな……っ……!」
「……体……沈む……!」
空間ごとねじ伏せられるような力に、レイラもアシュラも、ラショウも、膝から崩れ落ちた。
床が軋み、全員の体が沈み込むように圧されていく──。
モニター室にも焦燥と緊張が走った。
「薊野さんっ、彼らの身体異常反応が急激に上昇……!」
「重力異常です……外的じゃない、個体由来の干渉です!!」
画面の数値が急激に振り切れる。
「……なにをした、あいつ……ッ」
セセラは額に青筋を立てながら、僅かに震える指でモニターに向かって言葉を放った。
その隣で、椅子に座った小さな所長が呟く。
「これは……重力因子か。先日のルファのような……いや、もっと単純……存在圧だろうか。『龍』としての純度が高すぎる」
シエリの声が淡々と響くが、その瞳は真剣そのものだった。
「レイラたち……どうか、耐えて」
紫のグラデーションが空を染める中、無人の旧市街を1台の黒い車が走り行く。
龍調査機関の輸送車──その中で、4人の若者がそれぞれの思いを胸に、沈黙の中にいた。
「あと2キロ……もうすぐ、着くよ」
ラショウが前席のナビを見つめながら呟く。その声には、普段の優しさとは違う緊張の揺らぎがある。
「地下構造は……予想以上に複雑だ。ジキル……が関わったなら、どこに何を仕掛けていてもおかしくない」
資料ファイルに目を落としながら、アシュラは眉をひそめた。
リルのいる場で『ジキル』という名を出すことに、未だ少し躊躇いがあるようだった。
しかし。
「……仕掛けがあるなら、全部潰すだけだ」
リルは後部座席の窓から夜明け前の街を見やりながら、短く吐き捨てる。
冷静、かつ強かな声音。
「……私も、役に立てるはず。休んでばかりいられない」
そしてレイラは静かに意を決した。
その右腕に僅かに痛みが走るが、それでも、もう戦える。
──早朝5時。
旧・第三研究区画前に到着する。
霧の中に浮かぶように現れたのは、朽ちた廃ビル群。その奥に佇む、フェンスに囲まれた半壊した施設。
地面はひび割れ、張り巡らされた鉄条網が風に軋む音を立てていた。
「入口……あれ、だと思う。地下へ続く通路があるはず」
ラショウが前方へと指差す。
「歓迎は無いに越したことはないが……油断するなよ」
アシュラは鞘に手をかけながら、足を止めることはない。
「……行こう」
そしてレイラが一歩、踏み出す。
その瞬間。
──ガギィン!!!
「!!」
金属を引き裂くような轟音と共に、地面が砕けて盛り上がった。
「ッ……来たか……!」
リルが素早く構え、瞳孔が細くなる。
白煙の中から現れたのは、四足獣の姿を模した機械──全身を鋼で覆った、自律戦闘兵器。
背中には禍々しい龍因子の脈動が走っている。
「なに、これ……っ!?」
ラショウが目を見開いた。
──そして、モニター室。
「薊野さん! 中継入りました!」
響く職員の声。
「全映像、解析班にも送れ! ログも録りっぱなしで!」
セセラは身を乗り出し、レイラたちが身に付ける小型カメラの中継映像に目を凝らす。
その目には明らかな焦燥が滲んでいた。
「……やっぱり出しやがったな……あの野郎……!! 初手から試作兵器か……!!」
◇
「初っ端からこれかよ……っ!!」
リルの両手が変化する。赤く光る禍々しい龍の爪が、バキバキと音を立てて出現。
「リル、無理するなよ! レイラは後方! ラショウはサポートに回れ!」
「了解!」
アシュラの指示にレイラが頷き、蒼白いオーラのような瘴気が体から立ち昇った。剣を構え、走り出す。
「援護は任せて!」
ラショウも2本の短剣を抜き、アシュラの隣へ駆けた。
金属の獣が咆哮と共に突進──!
「う……ッ、速い……!!」
呻くように叫ぶラショウ。だが、その突進にアシュラが刀を構え、真正面から斬撃を放った。
「喰らえッ!」
空気が裂ける。
続けてリルが側面から飛び込み、爪が獣型兵器の肩装甲を切り裂いた。音を立てて火花が散る。
「レイラちゃん、後ろから!」
「了解、任せて!」
レイラはラショウの指示に瞬時に回り込み、龍気を纏わせた剣で鋭く斬る。
しかし──。
「えっ、……傷、塞がってる!?」
動揺するラショウ。
「再生装甲か……! 龍因子を応用した回復機構かもしれない!」
尚も冷静に、アシュラが読み取る。
──モニター室ではセセラが唸った。
「再生速度……通常の龍より早い。リルの攻撃じゃなかったら、今のでも装甲を貫けてない……」
ギリッ……と歯を食いしばると──。
「解析班、装甲の再生タイミングを割り出せ! 俺がレイラたちにタイミングを送る!」
「了解しました!」
画面の向こう、暴れ回る金属の獣。
通常の龍とは異なる“敵”に、機関内は今までとは違う空気の焦燥が走っていた。
そして、戦場。
「……だったら」
リルの爪が禍々しく光る。
「再生が追いつかねえくらい殴り続ければいいんだろ……ッ!!」
地面を抉るような踏み込み。
爪が唸りを上げ、獣型兵器の側面を一気に切り裂く。そのまま連撃を重ねていくと鋼がめくれ、内部構造が露出した。
「……ッ……!」
それはまるで、生身の生物が有する臓物のよう。
生々しい光景に一瞬だけレイラたちが怯んだ、その刹那──。
「うわ!」
──ガガガガガ……ッ……!!!
ガシャンガシャンと派手な音を立てながら、狂ったような挙動を見せる四足獣を模した戦闘兵器。
不規則なリズム、不規則な動き。
およそ通常の生物ではありえない、無機質な暴走。
しかし。それでも。
「…………!」
リルの目は、それを確かに追い続けていた。
──そして。
「……そこだッ……!!」
獣型兵器の動きが僅かに隙を見せたその瞬間をリルは見逃さず、渾身の殴打を叩き付けた。
そのとき、レイラたちの耳へ無線が飛ぶ。
『リルの一撃が効いてる! レイラ、今だ!』
「……!!」
指示を受けたレイラ。
内部が剥き出しになり、リルの攻撃で怯んだ金属の獣の元へとすぐに駆け出す──。
「……これかッ!!」
レイラの剣が、脈動する核のような部位へとまっすぐ突き立てられた。
「斬った!!」
──ギギギギギギ!!!
「……っ、え……!?」
装甲がひび割れ、機体全体が赤く脈打つ。
やがて、獣の機体が崩れ、爆発寸前のような光を放ち出した。
「ッ、離れろ!!」
咄嗟に察したアシュラが叫び、全員を一気に引き戻す。
その瞬間。
──ドカァアンッ!!!
爆音。
「……ッわ!!」
「……!!」
火球が夜明け前の空を焦がし、吹き上がった煙が空を覆う。
爆風と共に、機体は木っ端微塵となった。
「…………!」
──しばらくして、静寂が戻る。
風が抜ける中、4人は肩で息をしていた。
「び……びっくりした……アシュ、ありがとう……」
「いや……なんていうか……これ、最後は絶対爆発するって思ったから……」
「……ふぅ……アレが入口の守護ってやつか……」
両手の龍化を解き、大きく息を吐くリル。
「もう、大丈夫……?」
ラショウは呼吸を整えながら辺りを見回していた。
「……うん……、入口は……あ、あれかな……」
レイラが指差した先──崩れた瓦礫の奥に、冷たく重たい鉄の扉が見えた。
爆発で吹き飛ばされた金属の残骸を踏み越え、4人はついに鉄の扉の前へと辿り着く。
コンクリに埋もれるようにして立つ重厚なそれは、無数のひび割れと錆に侵食されていた。
中央には、朽ちた『立入禁止』の警告が貼り付けられている。
「……ここが、兵器の牢か」
低く呟くアシュラ。刀に添えた手に力がこもっていた。
「鍵は……要らなさそう。でも、逆に……嫌な感じ」
ラショウの言葉の横でレイラは鋭い目で周囲を見渡す。目に見える罠は無いが、それがかえって不気味だった。
「心配すんな。こんなの──」
──ドンッ!!
そんな中でリルが容赦なく扉を蹴り付ける。
「ちょ……ちょっとリルくん……! もう少し慎重に……!」
しかし。
ラショウの心配をよそに扉は重厚な金属音と共に、軋みながら内側へと開かれた。
ただの蹴りで開放された扉に、「……え、ほんとに開いた……?」とラショウがぽつり。
◇
その先に広がっていたのは、予想外の光景だった。
「…………!」
白く塗られた壁、滑らかな床。
等間隔に設置された蛍光灯が、昼間のような明るさを保っている。
まるで“今も誰かが使っている”かのように整備されていた。
「なんか……ラボって感じ。異様に綺麗すぎて……逆に、怖い……」
ラショウの声が小さく震える。
「……敵の気配は、今のところは無いな」
先頭を歩くアシュラは、刀を抜いたまま。
「空調が……生きてる? 少し、寒い」
レイラは肌に触れる空気の不自然さに目を細めた。
──そして通路の先に現れた、広い円形のフロア。
中央には観測用のステージのような高台があり、その中心に設置された大型のカプセル。
内部には、人のような“何か”が横たわっている。
「……誰か、いる……?」
レイラが声を落とすと、「人か……?」とリルが前に出ようとした。
その時──。
「待って。何か、おかしい……」
レイラの制止が、フロアに緊張を走らせた。
『やあ~、ようこそ。朝早いねえ』
突然だった。
天井のスピーカーから、どこか飄々とした──あの、掴み所の無い声が響いた。
ジキルの声──。
「!!」
『やっぱり来たね、レイラちゃん。みんなも、お元気そうで何よりだよ』
天井に、ジキルの映像が投影される。
その映像に、リルは即座に反応を示した。
「……え」
淡く微笑むその姿は、リルが知るあの頃のまま──。
「……っ……」
言葉にならない音が、リルの喉から漏れる。
──死んだと信じていたはずの男。
自分を変えてしまった張本人。
そして、父。
「……ッ…………!!!」
10年越しに再び目の前に現れたその顔に、リルの瞳が揺らぐ。
「リル……ッ」
「リルくん……!」
レイラとラショウが即座にその変化を察し、リルの傍へと駆け寄った。
『久しぶり……リル。あの頃よりも、ずっと強くなったみたいだね』
ジキルの優しげな声。
だが、ぞっとするほど冷たい。
「はッ……、……は、……はあッ……、っ……!!」
目を見開いたリルの呼吸が荒くなっていく。
膝も僅かに震えていた。
『ここはね、過去の記録を保管していた研究区画。今は……ちょっとした“アトラクション”に改装してあるんだ』
「ッ、ふ……ざけんな……ッ!!」
リルが牙を剥いたような声を上げる。
「……リル……! 落ち着いて……!」
震える声でリルを引き留めるレイラ。
だがその目線は、既にカプセルの中に。
「……あれ、中にいるの……人間? ……じゃない……ッ!」
『それじゃあ……第一のゲーム、始めようか』
映像のジキルが不気味に微笑むと同時に、カプセルの周囲に電撃が走り、警告灯が点滅を始める。
さらに。
──ゴゴゴ……!!
フロアの壁がせり上がり、内部から異形と化した実験体が続々と現れた。
「……!!?」
──かつて、人間だったものたち。
顔も、手も、体も、あまりに歪み、龍因子を無理矢理注入された、失敗作。
理性も言葉も失い、ただ肉体と本能だけで生かされている者たち。
──成れの果て。
「……ッ、まさか……」
ラショウは思わず後ずさった。
「試してるつもりかよ……!」
リルは再度構え直す。怒りと混乱の中、目の奥が赤く燃え始めていた。
「来いよ……テメェら失敗作共が!!」
リルの怒声がフロアに響き渡ると同時──両手が再び龍の手へと変貌し、鋭く空気を裂いた。
次の瞬間。
迫っていた実験体の首が捻れ、爆発するように吹き飛ぶ。
だが──。
「まだ生きてやがる……ッ……!」
吹き飛ばされた肉塊が、異様に膨れた手足で地面を這い、姿勢を立て直す。
その体は既に人の形を成していない。
呻き声と共に、再び跳躍──!
「……完全に、操られてるな。自我の残滓も無い」
アシュラが素早く前へ。抜き放たれた刀が、飛びかかる個体の首をなぞるように滑る。
無音の斬撃。
そのまま肉体は崩れ、痙攣しながら地に沈んだ。
しかし、背後から別の個体がラショウに迫る。
「ラショウ!!」
「ッ、くっ……う……」
恐怖でラショウの足が止まった、その瞬間──。
レイラの剣が間に滑り込み、敵の腹部を穿つ。
「……!!」
同時に、剣に纏わせた蒼白いオーラが流れ込んだ。
──バシュッ……!!
体内で龍気が炸裂し、敵は黒煙を吹き出しながら後方へ吹き飛ばされる。
「た、助かった……ありがとう、レイラちゃん……!」
「……油断しないでラショウ……! あれは、もう人間じゃない」
「ああ……命の尊厳すら、捨てられている」
アシュラの言葉に、全員の表情が陰る。
荒い息を吐きながら、ラショウが言葉を絞り出した。
「こんなものを……あの人が、造ったっていうの?」
その問いには──天井から、再びあの声が降って返される。
『そうだよ~』
なぜか嬉しそうなジキルの声。
『ねえ聞いて? 彼らは、希望だった。世界を救うための……命を繋ぐ、礎だったんだ。だけどね……耐えられなかった。それだけ』
「……あ゙?」
返ってきた答えに、リルの目が鋭く紅く光る。
瞳孔が細まり、龍の獣性が顔を覗かせた。
「黙れよ……ッ! 希望なんて……テメェに一番、使ってほしくねえ言葉だ……!!」
『……ああ、リル。随分と性格が変わっちゃったようで……生意気。でも、可愛いな』
まるで、息子を懐かしむような声音。
だが、それはどこまでも狂っていた。
『いいんだよ、使っても。オレはいつだって、本気だった。真剣に命と向き合ってた。……誰よりも』
「じゃあ、こんな地獄を造った結果は何!?」
レイラが叫んだ──その瞬間。
パシンッ……と乾いた音。
カプセルのロックが外れる音だった。
「……!?」
全員の視線が、一斉にカプセルへと向かう。
『さあ、次の希望に会ってあげて。これが、最初の成功作──』
ガスが噴き出し、カプセルの蓋がゆっくりと開いていく。
中で静かに、何かが呼吸を始めた。
やがて。
人を模した龍が、首をゆっくりと持ち上げた。
『……試作品、No.0。最初の転生体。名前は……なんだっけ……忘れちゃった』
ジキルはまるでおもちゃの紹介でもするかのように、呆気なく告げる。
カプセルから現れた“それ”は、静かに立ち上がった。
肌は白磁のように滑らかで、髪は銀に近い灰色。
人間に限りなく近い容貌をしているが、目だけが異質だった。
──白目が黒く、虹彩が発光している。
感情が欠落したような、虚ろな美しさ。
「……なんだ、こいつ……」
アシュラは咄嗟に構えを取るが、気圧されていることは隠せなかった。
その“龍”は一言も発さず、ただ右手をゆっくりと持ち上げ──。
──スゥ……
その瞬間、空気が軋んだ。
──ズン!!!
重圧。
空間そのものが沈み込むような不可視の力が、一気にレイラたちを押し潰す。
「ぐっ……!? なに、これ、圧……ッ?!」
「動けな……っ……!」
「……体……沈む……!」
空間ごとねじ伏せられるような力に、レイラもアシュラも、ラショウも、膝から崩れ落ちた。
床が軋み、全員の体が沈み込むように圧されていく──。
モニター室にも焦燥と緊張が走った。
「薊野さんっ、彼らの身体異常反応が急激に上昇……!」
「重力異常です……外的じゃない、個体由来の干渉です!!」
画面の数値が急激に振り切れる。
「……なにをした、あいつ……ッ」
セセラは額に青筋を立てながら、僅かに震える指でモニターに向かって言葉を放った。
その隣で、椅子に座った小さな所長が呟く。
「これは……重力因子か。先日のルファのような……いや、もっと単純……存在圧だろうか。『龍』としての純度が高すぎる」
シエリの声が淡々と響くが、その瞳は真剣そのものだった。
「レイラたち……どうか、耐えて」
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
花鳥見聞録
木野もくば
ファンタジー
花の妖精のルイは、メジロのモクの背中に乗って旅をしています。ルイは記憶喪失でした。自分が花の妖精だったことしか思い出せません。失くした記憶を探すため、さまざまな世界を冒険します。
『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』
月神世一
SF
【あらすじ】
「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」
坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。
かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。
背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。
目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。
鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。
しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。
部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。
(……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?)
現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。
すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。
精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。
これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。
空色のサイエンスウィッチ
コーヒー微糖派
SF
『科学の魔女は、空色の髪をなびかせて宙を舞う』
高校を卒業後、亡くなった両親の後を継いで工場長となったニ十歳の女性――空鳥 隼《そらとり じゅん》
彼女は両親との思い出が詰まった工場を守るため、単身で経営を続けてはいたものの、その運営状況は火の車。残された借金さえも返せない。
それでも持ち前の知識で独自の商品開発を進め、なんとかこの状況からの脱出を図っていた。
そんなある日、隼は自身の開発物の影響で、スーパーパワーに目覚めてしまう。
その力は、隼にさらなる可能性を見出させ、その運命さえも大きく変えていく。
持ち前の科学知識を応用することで、世に魔法を再現することをも可能とした力。
その力をもってして、隼は日々空を駆け巡り、世のため人のためのヒーロー活動を始めることにした。
そしていつしか、彼女はこう呼ばれるようになる。
魔法の杖に腰かけて、大空を鳥のように舞う【空色の魔女】と。
※この作品の科学知識云々はフィクションです。参考にしないでください。
※ノベルアッププラス様での連載分を後追いで公開いたします。
※2022/10/25 完結まで投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる