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第28話 開戦
第28話・2 積み重なるダメージ
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まるで圧縮され、潰されるような空気の重さ。
その中で、ただひとり──リルだけが辛うじて耐えて目を見開き、牙を剥いていた。
「……ッ、クソが……ッ!!」
呼吸が一度、止まる。
次の瞬間。
──バンッ……!!
全身から膨大なエネルギーを纏った龍気が爆発する。
黒と赤の瘴気がリルの体から吹き出し、頭部からは角が出現し、床を抉るように空間を揺らした。
「……ゔッ……あ゙ァあ゙ア゙ア゙ッ!!!」
その咆哮は龍そのもの。フロア中の壁がビリビリと震える。
「はあ……ッ、はあ……っ、テメェ……ざけんなよ……ッ……!!」
龍気の圧で存在圧を跳ね除け、リルの足が床を砕きながら走り出す。
そして、激突。
人間を模した龍と、龍に近付きすぎた人間。
鋭い爪と虚ろな目がぶつかる。
空気が鳴り、フロア全体が一瞬、音を失う。
──ズドンッ!!
「!!」
周囲が揺れた。天井が軋み、壁に無数の亀裂が走る。
リルの拳と、人を模した龍の掌が再び真正面から激突した。
空気が弾け、床が陥没する程の衝撃が巻き起こる。
「っ、はあっ……クソッ、重い……!」
肩まで龍化したリルの右腕が、相手の頬を微かに裂いた。
巨大な赤い爪には血が滲む。
だが──。
相手は、無表情のまま。
まるで感情という概念を知らないかのように、一歩、静かに踏み込んできた。
「……ッ、な──」
──ガッ……!!
次の瞬間、目にも止まらぬ速さで放たれた膝蹴りがリルの腹に炸裂する。
「うぁ゙……ッ……!!」
体が宙に浮き、内臓が軋む程の痛みと共に、視界が滲んだ。
だが、リルは諦めない。
「……ッの、野郎がッ!!」
吹き飛ばされながらも咄嗟に床を蹴り、壁に叩きつけられる前に反転。
空中で体勢を整え、ギリギリで着地した。
「リル!!」
レイラの叫びが響く。まだ体は重力に縛られ、動ききれない。
「……はあ、はあ……おい、クソが……ノーリアクションでそれかよ……!」
荒い息の中で、リルは唇の端を僅かに吊り上げた。
──だが、再び来る。
圧。
床が軋み、空間が沈み込む。重力がまた全身を押し潰そうとする。
「──ッ!!! ……また、かよ……ッ!!」
その時。
「リル!! 下がって!!」
レイラの声と共に──。
──ヒュッ……!!
蒼白の斬撃が走る。
圧に耐え切ったレイラ。その手が持つ龍気を纏った剣が、龍の足元に突き立った。
一瞬、足元が揺らぐ。
龍の動きが止まり、その隙に、重圧が緩む──!
「今だッ!」
アシュラが体を翻し、ラショウも息を荒くしながら立ち上がった。
リルはレイラの方を見て、微かに笑みを向ける。
「……サンキュ、レイラ」
血で滲んだ唇のその奥に、確かな闘志があった。
「もう少しだけ付き合ってくれよ……あいつと向き合うには、オレが行くしかねえんだ」
◇
──その頃、第三研究区画・別観測室。
ジキルは薄暗く真っ白な室内で、戦闘映像を眺めていた。
モニターに映るリルの姿を、瞬きもせずに見つめている。
その背後に、感情の起伏を見せぬスカルが静かに立っていた。
「スカル。あの龍……データ、残ってるっけ?」
「……はい。人間時代の記録も、断片ながら確認可能です」
ジキルは差し出されたデータパッドを受け取り、映像を見た途端、ふっと懐かしげに笑う。
「ああ~思い出した思い出した。……この子、死ぬ前に自分を捨てたんだったよ」
パッドの画面を閉じながら、静かに呟くジキル。
「名前も、家族も、全部いらないって言った。もう何も覚えていたくないって……そう言って、笑ったんだ」
その声は、どこか物憂げだった。
「だから、オレが新しい名前欲しい? って聞いたら、なんて名前だっけな……。『愛』……確か、そう名乗ったかな。……これで『最初で最後の名前だね』って」
目を細めながら、ジキルはモニターに視線を戻す。
「……お前にはわからないかもしれないけど、あの子のあの時の笑顔は本物だったよ」
「……お言葉ですが、俺は感情の機微を理解する機構を持ちません」
「フフフ……うん、知ってる。でも……」
ジキルは映像の中で奮闘するリルを見つめながら、ゆっくりと息を吐いた。
「もしリルが……アイを倒せたら。お前も少しは、何かを感じてくれたらいいと思ってる」
「…………」
スカルは何も答えない。
それでもジキルは、独り言のように呟いた。
「……試作品でも、もう兵器なんかじゃないかもしれない。リルたちがそれを、証明してくれるかもね」
◇
「ぐっ、……はあっ、ガあ゙ッ……ァ……!」
龍の呻きと共に血の混じった息を吐き、リルは膝をつきそうになりながらも立っていた。
視界が揺れ、赤く滲む。
右腕だけでなく左腕までもが禍々しく変質し、肌が裂け、瘴気が滲む。
連続での龍化の体力消耗、連闘による疲労。
──限界は近い。
それでも、リルの視線は相手から逸れない。
目の前の“龍”、アイ。
感情の無いはずのその顔に、ほんの一瞬、揺らぎが走った。
「……お前も……」
突如響く、低く、震える声。
「……え?」
「……お前も……人生を、捨てたのか?」
「……っ……!?」
アイのその一言が、リルの足を止めた。
「……ッ」
「…………」
「……ああ…………オレも、捨てさせられたよ。体を弄られて、心を壊されて……生きてる意味なんか、わかんなかった」
リルの声が、静かに揺れる。
「でもな……それでも……」
レイラ。
アシュラ。
ラショウ。
そして──周りの大人たち。
「……それでも、オレは生きてるって言える。あいつらに出会って、仲間ができて……ッ、今、オレは今を選んで生きてんだよ!!」
「……!」
アイの拳が、そこで止まった。
リルの瞳に揺れるのは、怒りでも、悲しみでもなく。
ただ、まっすぐな命の鼓動。
「だから……逝けよ、お前の人生を」
そして。
リルの右手が、静止するアイに向けて一気に突き出される。
──ズガァンッ……!!
「……!!」
龍化した爪が、アイの胸元を貫いた。
核を撃ち抜くように、力が一気に抜けていく。
だが、その時。
アイの瞳が──静かに揺れた。
「……俺も、欲しかったな……」
たった一言だけを残し、アイはリルの腕の中で崩れ落ちる。
その表情は、穏やかだった。
「…………」
──沈黙。
やがて、機関の無線が割り込む。
『──レイラたち、聞こえるか。よくやったな……だがもう帰還しろ。連戦が続いている。体力の消耗が激しいだろ、これ以上は危険だ』
重く響いたセセラの言葉に、レイラたちはようやく緊張を解いた。
倒れそうなリルの背に、そっとレイラの手が添えられる。
リルの腕からはボロボロと、鱗や甲殻が血と共に剥がれ落ちていた。
「リル……大丈夫……!?」
「……疲れ、た……」
「うん……疲れたね。でも、勝ったよ。……リル、ありがとう」
「…………」
「……私たちは、失敗作でも、下位互換でもない。……私たちは、今を選んで確かに生きてるんだ」
「……ふっ……ガキのくせに……」
「ふふ……」
ふたりのその様子を見るアシュラが、ラショウが、静かに頷いた。
◇
別観測室。
淡く揺れるモニターの前に、ジキルが座っている。
映像の中で、リルがレイラに支えられる姿が映っていた。
「…………」
だが、その顔に──感情は無い。
「あーあ、倒されちゃったね」
まるで、風船が割れたのでも見たかのような、軽い声。
その後ろで静かに立っているスカル。
「……観測終了。試作龍・アイの反応、完全に途絶。バックアップも無し。再起不能です」
「そう……か。まあ、あの子がそうしたかったなら、それも正解だ」
ジキルは椅子をくるりと回して立ち上がり、腕を上げて大きく背伸びをした。
「……ん゙ん~~~! ……ふぅ……、じゃ、スカル」
「……はい」
「お見送りしてあげて」
「……は?」
「あの子たち、帰りそうだよ。だから、顔だけでも見せてきてよ」
ジキルは笑った。無邪気な子供のように。
「それと、伝えてほしいことがあるの」
スカルの金色の目がジキルの方へと視線を向ける。ジキルは笑ったまま、目を細めた。
「『次は、もっと綺麗な龍を見せてあげるよ』って」
「…………」
小さく頷くスカル。
「……承知しました。……伝えます」
そして、ジキルの笑顔が僅かに翳る。
「……あの子たちが、何を感じてくれるか。楽しみだなぁ」
◇
瓦礫の残る通路を、レイラたちは黙々と歩いていた。
アシュラが先頭で周囲を警戒し、レイラがその背を追う。
最後尾では、ラショウがリルの肩を支えながら歩いている。
リルの龍化は既に解けていたが、呼吸は浅く、時折苦しげに呻くような声を漏らしていた。
「リルくん……しんどいよね、もう少しだけ……。あとちょっとで、輸送車だからね……」
ラショウの声は、限界寸前のリルを少しでも励まそうとする、優しい囁きだった。
その時──。
「──とんだ無茶をしてくれたな」
通路の先に、突如として影が立ちはだかる。
冷えた、抑揚の無い声。
「!!」
現れたのは、銀髪の無機質な男──スカル。
あの時、アシュラを一瞬で叩き伏せ、レイラの腕を容赦無く砕いた存在。
空気が、変わる。
「……貴様……ッ!!」
アシュラは目を見開いて立ち止まり、刀の柄に手をかけた。
レイラもすぐさま前に出ようとするが、アシュラがそっと腕を伸ばして制止する。
「ス、カル……なんで、ここに……!」
微かに震えるレイラの声。
ラショウもリルもその名前を聞いた瞬間、緊張した面持ちで目の前の男を見据える。
──こいつが、話に聞いていた『銀髪の男』……。
スカルの顔は、一切の感情を浮かべていない。
「……安心しろ。今日は、何もしない。俺は伝えに来ただけだ」
そう言って両手を軽く挙げた。
武器を持っていないことを証明するように。
「……伝えに……?」
冷静なようだが、レイラの警戒心はピークを迎えている。
「ジキル様より命を受けている。彼らが動き出す前に、警告を届けろと」
「彼ら……?」
アシュラが低く問う。
「Z.EUSの幹部たち……龍の力を得た者たちだ」
その返答に、空気が張り詰める。
「……幹部……?」
息を呑むラショウ。
そしてスカルの視線が、リルへと向いた。
「……本来、まだ準備は整っていなかった。だが、お前たちがここに赴き、成れの果て共や人を模した龍……アイを倒した」
「…………!」
「それが彼ら……いや俺たちにとって、十分な理由となった」
スカルの声は淡々としているが、その内に潜む殺気は凍てつくように鋭い。
「……ジキル様は、本気で遊ぶ準備を始めている」
ぴくりとレイラの眉が僅かに動いた。
「……遊び、だって……? あんな、地獄みたいなものを……」
「遊びだよ。あの人にとって、命も、恐怖も、素材でしかない」
スカルの目が細まる。
ほんの一瞬だけ、口元が僅かに歪んだ。
「……だから、伝えておく」
言葉が、まるで刃のように重く響く。
「……このまま俺たちを止めようと、逆らい続けるなら……いずれZ.EUSは全戦力を以てお前たちを潰しに行く」
「……っ」
「忘れるな。あの人はまだ、手加減している」
最後の一言が、静かに落とされた。
「まあ……どうか、早々にはくたばってくれるなよ……」
それだけを告げると、スカルは踵を返した。
そして、音も無く、去っていく。
誰ひとり、声を出せなかった。
通路に残るのは、冷たく、無機質な静寂だけだった。
◇
それから暫し歩き、暗がりの通路を抜け地上へと戻る。
早朝に到着し、帰還する今、空はもう夕日に照らされていた。
4人は無言のまま、停車していた輸送車へと乗り込む。
車内に響くのは、低いエンジン音と、リルの荒い呼吸だけ。
リルはラショウの膝に頭を預けるようにして横たわっていた。
顔色は青白く、額には汗。呼吸も浅く、意識は途切れがちだった。
「……リルくん、大丈夫……?」
「……ん、だいじょーぶ……寝てるだけだ……」
掠れる声で冗談めかして返すが、その声はか細い。
「…………っ」
ラショウはそっと、その赤い髪を撫でた。
運転席の通信機がパチ、と音を立てる。
『──応答せよ。こちら、機関本部。迎えの医療班と薊野氏が待機中。急いで搬送口へ向かってください』
アシュラが応答スイッチを押した。
「了解。……これより、帰還します」
◇
搬送口前。
輸送車が滑り込むように到着したその瞬間、待機していた医療班が駆け寄る。
ストレッチャーが素早く用意され、リルはその上へ慎重に移された。
その様子を見守るレイラの肩に、ポンと誰かの手が置かれる。
「……おかえり」
レイラが顔を向けると、そこにはセセラの姿。
深い隈のある目。白衣の袖は少し汚れていた。
徹夜だったことは明らかだった。
「……ただいま……。あの、リル……すぐに運ばれたけど……」
「生きてる。ただし、龍化が長かった影響が出てる。……休ませないと、持たない」
セセラの声に、レイラは静かに頷いた。
「……レイラちゃん、大丈夫……?」
すぐ傍に立っていたラショウが、今度は逆にレイラを心配そうに覗き込む。
「……うん。平気……だよ」
少し微笑んでみせたが、レイラの右腕は酷く震えていた。
それに気づくセセラ。
「右腕……痺れてるだろ。あとで俺のとこに来い。診るから」
「……うん、ありがと……」
レイラはそれ以上、何も言えなかった。
◇
──その後、医療棟・検査室。
白い無機質な部屋。
各々がベッドや椅子に座らされ、検査機器が次々にレイラと西城兄妹のデータを読み取っていく。
セセラはカルテを片手に、表情を変えずに機械と向き合っていた。
「アシュラ、異常無し。筋肉への軽度の損傷、酸素飽和濃度問題無し。……次、ラショウ」
「は、はいっ……!」
ラショウがびくりと背筋を伸ばす。
「低血糖気味。あと、精神的ショック反応があるな。寝ろ。……絶対に」
「わ、わかりました……っ……!」
「レイラ──」
「私は平気!」
即答。しかしセセラはジト……と目を細める。
「平気なわけねーだろバカ! ……右腕、振動系のダメージだな。じきに熱持って動かなくなる。今はアドレナリンで誤魔化してるだけ」
「……っ」
「まだ完治したばかりだってのに張り切りすぎ。あとでまた固定しろ。休め」
静かに目を伏せるレイラ。
セセラは次の端末に視線を落とす。
「……問題は、こっちだな」
リルのデータ。
脳波、心拍、龍因子濃度、どれも正常値を遥かに逸脱している。
「……限界だったな、完全に」
その独り言に、レイラが顔を上げた。
「……リルは、大丈夫……?」
「今は、な。……でも、こんなの、続けられる状態じゃねえ」
セセラの声は淡々としていたが、その瞳は深く、怒りにも似た色を宿していた。
「……このままじゃ、またあの時みたいになる」
「…………」
黙り込むレイラ。
ラショウも、アシュラも、静かに目を伏せた。
その沈黙が、何よりも恐ろしい未来を示しているようだった。
その中で、ただひとり──リルだけが辛うじて耐えて目を見開き、牙を剥いていた。
「……ッ、クソが……ッ!!」
呼吸が一度、止まる。
次の瞬間。
──バンッ……!!
全身から膨大なエネルギーを纏った龍気が爆発する。
黒と赤の瘴気がリルの体から吹き出し、頭部からは角が出現し、床を抉るように空間を揺らした。
「……ゔッ……あ゙ァあ゙ア゙ア゙ッ!!!」
その咆哮は龍そのもの。フロア中の壁がビリビリと震える。
「はあ……ッ、はあ……っ、テメェ……ざけんなよ……ッ……!!」
龍気の圧で存在圧を跳ね除け、リルの足が床を砕きながら走り出す。
そして、激突。
人間を模した龍と、龍に近付きすぎた人間。
鋭い爪と虚ろな目がぶつかる。
空気が鳴り、フロア全体が一瞬、音を失う。
──ズドンッ!!
「!!」
周囲が揺れた。天井が軋み、壁に無数の亀裂が走る。
リルの拳と、人を模した龍の掌が再び真正面から激突した。
空気が弾け、床が陥没する程の衝撃が巻き起こる。
「っ、はあっ……クソッ、重い……!」
肩まで龍化したリルの右腕が、相手の頬を微かに裂いた。
巨大な赤い爪には血が滲む。
だが──。
相手は、無表情のまま。
まるで感情という概念を知らないかのように、一歩、静かに踏み込んできた。
「……ッ、な──」
──ガッ……!!
次の瞬間、目にも止まらぬ速さで放たれた膝蹴りがリルの腹に炸裂する。
「うぁ゙……ッ……!!」
体が宙に浮き、内臓が軋む程の痛みと共に、視界が滲んだ。
だが、リルは諦めない。
「……ッの、野郎がッ!!」
吹き飛ばされながらも咄嗟に床を蹴り、壁に叩きつけられる前に反転。
空中で体勢を整え、ギリギリで着地した。
「リル!!」
レイラの叫びが響く。まだ体は重力に縛られ、動ききれない。
「……はあ、はあ……おい、クソが……ノーリアクションでそれかよ……!」
荒い息の中で、リルは唇の端を僅かに吊り上げた。
──だが、再び来る。
圧。
床が軋み、空間が沈み込む。重力がまた全身を押し潰そうとする。
「──ッ!!! ……また、かよ……ッ!!」
その時。
「リル!! 下がって!!」
レイラの声と共に──。
──ヒュッ……!!
蒼白の斬撃が走る。
圧に耐え切ったレイラ。その手が持つ龍気を纏った剣が、龍の足元に突き立った。
一瞬、足元が揺らぐ。
龍の動きが止まり、その隙に、重圧が緩む──!
「今だッ!」
アシュラが体を翻し、ラショウも息を荒くしながら立ち上がった。
リルはレイラの方を見て、微かに笑みを向ける。
「……サンキュ、レイラ」
血で滲んだ唇のその奥に、確かな闘志があった。
「もう少しだけ付き合ってくれよ……あいつと向き合うには、オレが行くしかねえんだ」
◇
──その頃、第三研究区画・別観測室。
ジキルは薄暗く真っ白な室内で、戦闘映像を眺めていた。
モニターに映るリルの姿を、瞬きもせずに見つめている。
その背後に、感情の起伏を見せぬスカルが静かに立っていた。
「スカル。あの龍……データ、残ってるっけ?」
「……はい。人間時代の記録も、断片ながら確認可能です」
ジキルは差し出されたデータパッドを受け取り、映像を見た途端、ふっと懐かしげに笑う。
「ああ~思い出した思い出した。……この子、死ぬ前に自分を捨てたんだったよ」
パッドの画面を閉じながら、静かに呟くジキル。
「名前も、家族も、全部いらないって言った。もう何も覚えていたくないって……そう言って、笑ったんだ」
その声は、どこか物憂げだった。
「だから、オレが新しい名前欲しい? って聞いたら、なんて名前だっけな……。『愛』……確か、そう名乗ったかな。……これで『最初で最後の名前だね』って」
目を細めながら、ジキルはモニターに視線を戻す。
「……お前にはわからないかもしれないけど、あの子のあの時の笑顔は本物だったよ」
「……お言葉ですが、俺は感情の機微を理解する機構を持ちません」
「フフフ……うん、知ってる。でも……」
ジキルは映像の中で奮闘するリルを見つめながら、ゆっくりと息を吐いた。
「もしリルが……アイを倒せたら。お前も少しは、何かを感じてくれたらいいと思ってる」
「…………」
スカルは何も答えない。
それでもジキルは、独り言のように呟いた。
「……試作品でも、もう兵器なんかじゃないかもしれない。リルたちがそれを、証明してくれるかもね」
◇
「ぐっ、……はあっ、ガあ゙ッ……ァ……!」
龍の呻きと共に血の混じった息を吐き、リルは膝をつきそうになりながらも立っていた。
視界が揺れ、赤く滲む。
右腕だけでなく左腕までもが禍々しく変質し、肌が裂け、瘴気が滲む。
連続での龍化の体力消耗、連闘による疲労。
──限界は近い。
それでも、リルの視線は相手から逸れない。
目の前の“龍”、アイ。
感情の無いはずのその顔に、ほんの一瞬、揺らぎが走った。
「……お前も……」
突如響く、低く、震える声。
「……え?」
「……お前も……人生を、捨てたのか?」
「……っ……!?」
アイのその一言が、リルの足を止めた。
「……ッ」
「…………」
「……ああ…………オレも、捨てさせられたよ。体を弄られて、心を壊されて……生きてる意味なんか、わかんなかった」
リルの声が、静かに揺れる。
「でもな……それでも……」
レイラ。
アシュラ。
ラショウ。
そして──周りの大人たち。
「……それでも、オレは生きてるって言える。あいつらに出会って、仲間ができて……ッ、今、オレは今を選んで生きてんだよ!!」
「……!」
アイの拳が、そこで止まった。
リルの瞳に揺れるのは、怒りでも、悲しみでもなく。
ただ、まっすぐな命の鼓動。
「だから……逝けよ、お前の人生を」
そして。
リルの右手が、静止するアイに向けて一気に突き出される。
──ズガァンッ……!!
「……!!」
龍化した爪が、アイの胸元を貫いた。
核を撃ち抜くように、力が一気に抜けていく。
だが、その時。
アイの瞳が──静かに揺れた。
「……俺も、欲しかったな……」
たった一言だけを残し、アイはリルの腕の中で崩れ落ちる。
その表情は、穏やかだった。
「…………」
──沈黙。
やがて、機関の無線が割り込む。
『──レイラたち、聞こえるか。よくやったな……だがもう帰還しろ。連戦が続いている。体力の消耗が激しいだろ、これ以上は危険だ』
重く響いたセセラの言葉に、レイラたちはようやく緊張を解いた。
倒れそうなリルの背に、そっとレイラの手が添えられる。
リルの腕からはボロボロと、鱗や甲殻が血と共に剥がれ落ちていた。
「リル……大丈夫……!?」
「……疲れ、た……」
「うん……疲れたね。でも、勝ったよ。……リル、ありがとう」
「…………」
「……私たちは、失敗作でも、下位互換でもない。……私たちは、今を選んで確かに生きてるんだ」
「……ふっ……ガキのくせに……」
「ふふ……」
ふたりのその様子を見るアシュラが、ラショウが、静かに頷いた。
◇
別観測室。
淡く揺れるモニターの前に、ジキルが座っている。
映像の中で、リルがレイラに支えられる姿が映っていた。
「…………」
だが、その顔に──感情は無い。
「あーあ、倒されちゃったね」
まるで、風船が割れたのでも見たかのような、軽い声。
その後ろで静かに立っているスカル。
「……観測終了。試作龍・アイの反応、完全に途絶。バックアップも無し。再起不能です」
「そう……か。まあ、あの子がそうしたかったなら、それも正解だ」
ジキルは椅子をくるりと回して立ち上がり、腕を上げて大きく背伸びをした。
「……ん゙ん~~~! ……ふぅ……、じゃ、スカル」
「……はい」
「お見送りしてあげて」
「……は?」
「あの子たち、帰りそうだよ。だから、顔だけでも見せてきてよ」
ジキルは笑った。無邪気な子供のように。
「それと、伝えてほしいことがあるの」
スカルの金色の目がジキルの方へと視線を向ける。ジキルは笑ったまま、目を細めた。
「『次は、もっと綺麗な龍を見せてあげるよ』って」
「…………」
小さく頷くスカル。
「……承知しました。……伝えます」
そして、ジキルの笑顔が僅かに翳る。
「……あの子たちが、何を感じてくれるか。楽しみだなぁ」
◇
瓦礫の残る通路を、レイラたちは黙々と歩いていた。
アシュラが先頭で周囲を警戒し、レイラがその背を追う。
最後尾では、ラショウがリルの肩を支えながら歩いている。
リルの龍化は既に解けていたが、呼吸は浅く、時折苦しげに呻くような声を漏らしていた。
「リルくん……しんどいよね、もう少しだけ……。あとちょっとで、輸送車だからね……」
ラショウの声は、限界寸前のリルを少しでも励まそうとする、優しい囁きだった。
その時──。
「──とんだ無茶をしてくれたな」
通路の先に、突如として影が立ちはだかる。
冷えた、抑揚の無い声。
「!!」
現れたのは、銀髪の無機質な男──スカル。
あの時、アシュラを一瞬で叩き伏せ、レイラの腕を容赦無く砕いた存在。
空気が、変わる。
「……貴様……ッ!!」
アシュラは目を見開いて立ち止まり、刀の柄に手をかけた。
レイラもすぐさま前に出ようとするが、アシュラがそっと腕を伸ばして制止する。
「ス、カル……なんで、ここに……!」
微かに震えるレイラの声。
ラショウもリルもその名前を聞いた瞬間、緊張した面持ちで目の前の男を見据える。
──こいつが、話に聞いていた『銀髪の男』……。
スカルの顔は、一切の感情を浮かべていない。
「……安心しろ。今日は、何もしない。俺は伝えに来ただけだ」
そう言って両手を軽く挙げた。
武器を持っていないことを証明するように。
「……伝えに……?」
冷静なようだが、レイラの警戒心はピークを迎えている。
「ジキル様より命を受けている。彼らが動き出す前に、警告を届けろと」
「彼ら……?」
アシュラが低く問う。
「Z.EUSの幹部たち……龍の力を得た者たちだ」
その返答に、空気が張り詰める。
「……幹部……?」
息を呑むラショウ。
そしてスカルの視線が、リルへと向いた。
「……本来、まだ準備は整っていなかった。だが、お前たちがここに赴き、成れの果て共や人を模した龍……アイを倒した」
「…………!」
「それが彼ら……いや俺たちにとって、十分な理由となった」
スカルの声は淡々としているが、その内に潜む殺気は凍てつくように鋭い。
「……ジキル様は、本気で遊ぶ準備を始めている」
ぴくりとレイラの眉が僅かに動いた。
「……遊び、だって……? あんな、地獄みたいなものを……」
「遊びだよ。あの人にとって、命も、恐怖も、素材でしかない」
スカルの目が細まる。
ほんの一瞬だけ、口元が僅かに歪んだ。
「……だから、伝えておく」
言葉が、まるで刃のように重く響く。
「……このまま俺たちを止めようと、逆らい続けるなら……いずれZ.EUSは全戦力を以てお前たちを潰しに行く」
「……っ」
「忘れるな。あの人はまだ、手加減している」
最後の一言が、静かに落とされた。
「まあ……どうか、早々にはくたばってくれるなよ……」
それだけを告げると、スカルは踵を返した。
そして、音も無く、去っていく。
誰ひとり、声を出せなかった。
通路に残るのは、冷たく、無機質な静寂だけだった。
◇
それから暫し歩き、暗がりの通路を抜け地上へと戻る。
早朝に到着し、帰還する今、空はもう夕日に照らされていた。
4人は無言のまま、停車していた輸送車へと乗り込む。
車内に響くのは、低いエンジン音と、リルの荒い呼吸だけ。
リルはラショウの膝に頭を預けるようにして横たわっていた。
顔色は青白く、額には汗。呼吸も浅く、意識は途切れがちだった。
「……リルくん、大丈夫……?」
「……ん、だいじょーぶ……寝てるだけだ……」
掠れる声で冗談めかして返すが、その声はか細い。
「…………っ」
ラショウはそっと、その赤い髪を撫でた。
運転席の通信機がパチ、と音を立てる。
『──応答せよ。こちら、機関本部。迎えの医療班と薊野氏が待機中。急いで搬送口へ向かってください』
アシュラが応答スイッチを押した。
「了解。……これより、帰還します」
◇
搬送口前。
輸送車が滑り込むように到着したその瞬間、待機していた医療班が駆け寄る。
ストレッチャーが素早く用意され、リルはその上へ慎重に移された。
その様子を見守るレイラの肩に、ポンと誰かの手が置かれる。
「……おかえり」
レイラが顔を向けると、そこにはセセラの姿。
深い隈のある目。白衣の袖は少し汚れていた。
徹夜だったことは明らかだった。
「……ただいま……。あの、リル……すぐに運ばれたけど……」
「生きてる。ただし、龍化が長かった影響が出てる。……休ませないと、持たない」
セセラの声に、レイラは静かに頷いた。
「……レイラちゃん、大丈夫……?」
すぐ傍に立っていたラショウが、今度は逆にレイラを心配そうに覗き込む。
「……うん。平気……だよ」
少し微笑んでみせたが、レイラの右腕は酷く震えていた。
それに気づくセセラ。
「右腕……痺れてるだろ。あとで俺のとこに来い。診るから」
「……うん、ありがと……」
レイラはそれ以上、何も言えなかった。
◇
──その後、医療棟・検査室。
白い無機質な部屋。
各々がベッドや椅子に座らされ、検査機器が次々にレイラと西城兄妹のデータを読み取っていく。
セセラはカルテを片手に、表情を変えずに機械と向き合っていた。
「アシュラ、異常無し。筋肉への軽度の損傷、酸素飽和濃度問題無し。……次、ラショウ」
「は、はいっ……!」
ラショウがびくりと背筋を伸ばす。
「低血糖気味。あと、精神的ショック反応があるな。寝ろ。……絶対に」
「わ、わかりました……っ……!」
「レイラ──」
「私は平気!」
即答。しかしセセラはジト……と目を細める。
「平気なわけねーだろバカ! ……右腕、振動系のダメージだな。じきに熱持って動かなくなる。今はアドレナリンで誤魔化してるだけ」
「……っ」
「まだ完治したばかりだってのに張り切りすぎ。あとでまた固定しろ。休め」
静かに目を伏せるレイラ。
セセラは次の端末に視線を落とす。
「……問題は、こっちだな」
リルのデータ。
脳波、心拍、龍因子濃度、どれも正常値を遥かに逸脱している。
「……限界だったな、完全に」
その独り言に、レイラが顔を上げた。
「……リルは、大丈夫……?」
「今は、な。……でも、こんなの、続けられる状態じゃねえ」
セセラの声は淡々としていたが、その瞳は深く、怒りにも似た色を宿していた。
「……このままじゃ、またあの時みたいになる」
「…………」
黙り込むレイラ。
ラショウも、アシュラも、静かに目を伏せた。
その沈黙が、何よりも恐ろしい未来を示しているようだった。
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