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01 なんだかねぇ・・・もやっとする
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「今晩の夜会はマイケルにクリスティーンのエスコートを頼んだから、レイは一人で行ってね」とお母様がわたしに言った。
「どうしてですか?マイケルはわたしの婚約者ですよ。当然わたしをエスコートします」とわたしは答えた。
「なに言ってるの?クリスティーンをエスコートなしで夜会に行かせるわけには行かないでしょ」
「エスコートならお父様もお兄様も出来ますよ」とわたしが言うと
「クリスティーンは身内のエスコートはいやだと言うの。他の令息に頼んであらぬ疑いをかけられるのも拙いでしょ。その点マイケルなら安心よ。妹の婚約者ですもの」とお母様が言った。
お母様の後ろでクリスティーンがまつげをパチパチさせている。
お母様はそれを見て
「クリスティーン。心配することないわ。あなたに恥をかかせたりしないわ。エスコートなしの、みじめな思いもさせないわ。レイもわかっているから」と言った。
わたしは諦めた。
姉のクリスティーンの婚約者。アレクサンダー・アミスト侯爵令息は先週帝国へ出発した。将来の国王を中心となって補佐する人材として勉強に行ったのだ。
別れに際してアレクサンダー様はうちの両親に婚約者のクリスティーンのことを頼んでいった。
「寂しい思いをさせますが、必ず成果をあげて参ります。よろしくお願いします」と頭を下げた。
それがどうしてマイケルがクリスティーンの面倒を見ることになるのか、理解できない。
でもマイケルもマイケルの両親のダグラス侯爵夫妻も、マイケルが婚約者のわたしではなく、クリスティーンのエスコートをすると決めたのだ。
お母様は今晩と言ったけど、今晩だけで終わらない。そんな予感がしていた。
わたしは、レイチャル・ブラウン。ブラウン伯爵の次女。わたしの家族は父のウィリアム。母のマーガレット。
兄、ギルバード。姉、クリスティーン。弟、バージルの六人家族。
わたしは家族のなかで一番影が薄い。我慢するのはわたし。わたしが我慢すればうまくいく。だけど家族はわたしが我慢していることも気付かない。そんな存在だ。
マイケルと言うのはわたしの婚約者。ダグラス侯爵の嫡男。わたしは学院を卒業して彼に嫁ぐのを心待ちにしている。
家族が大事にするのはクリスティーン。わたしの一つ上の姉だ。
わたしたちは十歳頃から体型も背の高さも同じになった。
そしてそれはわたしにとって不幸で、不運だった。
わたしたちがドレスを作る時、姉が気を使ってわたしの分も決めてくれる。一応、姉とわたしのドレスが届く。すると姉がこう言う。
「やっぱりこのドレスは素敵だわ。レイ。わたしがこっちを貰っていい?」
疑問形だが、命令形だ。拒否は出来ない。
姉がそれを来て出かけて戻ったら
「やっぱりレイの方が似合いそう。返すわね。そっち返してね」
だからわたしは新品を着たことがない。
「一度しか着てないのよ。どこが不満なの?」こう言われて諦めた。
学院の制服もわたしが入学するときに仕立てたものを二年生になる姉が着て、わたしは姉が一年着た制服を貰った。
婚約も似たような経過だった。
「どうしてですか?マイケルはわたしの婚約者ですよ。当然わたしをエスコートします」とわたしは答えた。
「なに言ってるの?クリスティーンをエスコートなしで夜会に行かせるわけには行かないでしょ」
「エスコートならお父様もお兄様も出来ますよ」とわたしが言うと
「クリスティーンは身内のエスコートはいやだと言うの。他の令息に頼んであらぬ疑いをかけられるのも拙いでしょ。その点マイケルなら安心よ。妹の婚約者ですもの」とお母様が言った。
お母様の後ろでクリスティーンがまつげをパチパチさせている。
お母様はそれを見て
「クリスティーン。心配することないわ。あなたに恥をかかせたりしないわ。エスコートなしの、みじめな思いもさせないわ。レイもわかっているから」と言った。
わたしは諦めた。
姉のクリスティーンの婚約者。アレクサンダー・アミスト侯爵令息は先週帝国へ出発した。将来の国王を中心となって補佐する人材として勉強に行ったのだ。
別れに際してアレクサンダー様はうちの両親に婚約者のクリスティーンのことを頼んでいった。
「寂しい思いをさせますが、必ず成果をあげて参ります。よろしくお願いします」と頭を下げた。
それがどうしてマイケルがクリスティーンの面倒を見ることになるのか、理解できない。
でもマイケルもマイケルの両親のダグラス侯爵夫妻も、マイケルが婚約者のわたしではなく、クリスティーンのエスコートをすると決めたのだ。
お母様は今晩と言ったけど、今晩だけで終わらない。そんな予感がしていた。
わたしは、レイチャル・ブラウン。ブラウン伯爵の次女。わたしの家族は父のウィリアム。母のマーガレット。
兄、ギルバード。姉、クリスティーン。弟、バージルの六人家族。
わたしは家族のなかで一番影が薄い。我慢するのはわたし。わたしが我慢すればうまくいく。だけど家族はわたしが我慢していることも気付かない。そんな存在だ。
マイケルと言うのはわたしの婚約者。ダグラス侯爵の嫡男。わたしは学院を卒業して彼に嫁ぐのを心待ちにしている。
家族が大事にするのはクリスティーン。わたしの一つ上の姉だ。
わたしたちは十歳頃から体型も背の高さも同じになった。
そしてそれはわたしにとって不幸で、不運だった。
わたしたちがドレスを作る時、姉が気を使ってわたしの分も決めてくれる。一応、姉とわたしのドレスが届く。すると姉がこう言う。
「やっぱりこのドレスは素敵だわ。レイ。わたしがこっちを貰っていい?」
疑問形だが、命令形だ。拒否は出来ない。
姉がそれを来て出かけて戻ったら
「やっぱりレイの方が似合いそう。返すわね。そっち返してね」
だからわたしは新品を着たことがない。
「一度しか着てないのよ。どこが不満なの?」こう言われて諦めた。
学院の制服もわたしが入学するときに仕立てたものを二年生になる姉が着て、わたしは姉が一年着た制服を貰った。
婚約も似たような経過だった。
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