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02 楽しい夜会だな
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最初にダグラス侯爵家から、打診があった。
マイケル・ダグラスは子供の頃から目立つ存在だった。ダグラス侯爵家は武門の家柄だ。騎士団長を輩出している。マイケルも剣が上手くて、親しみやすい明るい人だ。
当然、姉は彼を気に入り婚約すると返事をしようとした時、アミスト家から申し込みがあった。
アミスト家のアレクサンダー様はとてもお顔が美しい。成績優秀。そしてアミスト家はとても裕福。姉はアレクサンダー様を選んだ。
「よかったわ。アミスト様をがっかりさせなくて」と母が言った。
「そうだな、礼儀正しく、姉妹どちらかなんて指定はなかったが、クリスティーンのつもりだっただろうから」と父も母に賛成した。
それで姉とアレクサンダー様。わたしとマイケルが婚約した。
わたしとマイケルはとても気が合った。この人と結婚出来るのは嬉しいと思った。
マイケルもそう思ってくれた。これは自信を持って言える。
姉は、はっきり分からないが、アレクサンダー様に不満があるようだった。
というのも、アレクサンダー様は俗に言う研究バカなのだ。
きちんと行き届いたエスコートをしているように見える。贈って来るドレスも素敵だ。だが、話題の中心となって騒いだりしない。
だが、ある意味オーラがあると思う。
隅に黙って立っているだけで自分から声をかけないが、入れ替わり立ち替わり、皆がが挨拶に行く。それこそ老いも若きもなのだ。
アレクサンダー様の研究は外交史だ。過去のことを研究して楽しいのだろうか?
だって、もう結果は出てるでしょ??
だが、今回の留学は側近として王太子殿下を補佐するための勉強らしい。いくら好きでも宰相の息子が外交史を専門とすることは出来ないだろう。
アレクサンダー様が留学で留守になった最初の夜会で、姉はマイケルのエスコートを望んだ。
はっきり言ってマイケルと夜会に出るのは楽しい。優しいし、面白い話しをしてくれるし、ダンスは上手いし、ハンサムだし、友人にかこまれて笑い合う。
お年寄りからちょっと顰蹙を買う。これもちょっとかっこいい。そんな目立つ人の婚約者なのだ。
わたしは羨ましがられていると思う。特に姉から。
でもさすがにアレクサンダー様がいるのに交代は言えなかったのだと思う。
だから、姉はこの機会をしっかりものにしたのだ。
夜会では
「あら、クリスティーン様のエスコートはダグラス令息様ですのね」
「はい、クリスティーン様を一人にすることは出来ませんので」とマイケルが答えている。
会う人がみな、同じことを言う。
「あら、クリスティーン様のエスコートは・・・そうですね。クリスティーン様を一人に出来ませんものね」
「はい、しっかりと守ります」とマイケルの声がする。
「やはり、クリスティーン様を守ってますのね」
「はい」と誇らしげにマイケルが答えている。
一応、わたしに気を使ったのか両親はわたしと一緒に入場したが、それぞれのお友達の所に行ってしまった。
兄は自分の相手と一緒だ。
わたしは誰かと話せないかと辺りを見回したが、みな、それぞれの婚約者やエスコートと一緒だった。
「あら、レイ、一人なの」と声をかけられた。クリスティーンだった。当たり前じゃない。誰のせいで一人なの。でもさすがに三人で過ごしてくれるのかと笑顔で振り向いた。
「クリスティーンはダンスが上手なんだ。ひと晩中でも踊れそうだ」とマイケルが言うと
「あら、マイケル。あなたこそ上手よ」とクリスティーンが答えた。
マイケルはジュースをクリスティーンに渡すと二人は、見つめ合い、乾杯すると一息に飲み干した。
そして声を揃えて
「じゃあね」「またな」と言うと踊りの輪に加わった。
マイケル・ダグラスは子供の頃から目立つ存在だった。ダグラス侯爵家は武門の家柄だ。騎士団長を輩出している。マイケルも剣が上手くて、親しみやすい明るい人だ。
当然、姉は彼を気に入り婚約すると返事をしようとした時、アミスト家から申し込みがあった。
アミスト家のアレクサンダー様はとてもお顔が美しい。成績優秀。そしてアミスト家はとても裕福。姉はアレクサンダー様を選んだ。
「よかったわ。アミスト様をがっかりさせなくて」と母が言った。
「そうだな、礼儀正しく、姉妹どちらかなんて指定はなかったが、クリスティーンのつもりだっただろうから」と父も母に賛成した。
それで姉とアレクサンダー様。わたしとマイケルが婚約した。
わたしとマイケルはとても気が合った。この人と結婚出来るのは嬉しいと思った。
マイケルもそう思ってくれた。これは自信を持って言える。
姉は、はっきり分からないが、アレクサンダー様に不満があるようだった。
というのも、アレクサンダー様は俗に言う研究バカなのだ。
きちんと行き届いたエスコートをしているように見える。贈って来るドレスも素敵だ。だが、話題の中心となって騒いだりしない。
だが、ある意味オーラがあると思う。
隅に黙って立っているだけで自分から声をかけないが、入れ替わり立ち替わり、皆がが挨拶に行く。それこそ老いも若きもなのだ。
アレクサンダー様の研究は外交史だ。過去のことを研究して楽しいのだろうか?
だって、もう結果は出てるでしょ??
だが、今回の留学は側近として王太子殿下を補佐するための勉強らしい。いくら好きでも宰相の息子が外交史を専門とすることは出来ないだろう。
アレクサンダー様が留学で留守になった最初の夜会で、姉はマイケルのエスコートを望んだ。
はっきり言ってマイケルと夜会に出るのは楽しい。優しいし、面白い話しをしてくれるし、ダンスは上手いし、ハンサムだし、友人にかこまれて笑い合う。
お年寄りからちょっと顰蹙を買う。これもちょっとかっこいい。そんな目立つ人の婚約者なのだ。
わたしは羨ましがられていると思う。特に姉から。
でもさすがにアレクサンダー様がいるのに交代は言えなかったのだと思う。
だから、姉はこの機会をしっかりものにしたのだ。
夜会では
「あら、クリスティーン様のエスコートはダグラス令息様ですのね」
「はい、クリスティーン様を一人にすることは出来ませんので」とマイケルが答えている。
会う人がみな、同じことを言う。
「あら、クリスティーン様のエスコートは・・・そうですね。クリスティーン様を一人に出来ませんものね」
「はい、しっかりと守ります」とマイケルの声がする。
「やはり、クリスティーン様を守ってますのね」
「はい」と誇らしげにマイケルが答えている。
一応、わたしに気を使ったのか両親はわたしと一緒に入場したが、それぞれのお友達の所に行ってしまった。
兄は自分の相手と一緒だ。
わたしは誰かと話せないかと辺りを見回したが、みな、それぞれの婚約者やエスコートと一緒だった。
「あら、レイ、一人なの」と声をかけられた。クリスティーンだった。当たり前じゃない。誰のせいで一人なの。でもさすがに三人で過ごしてくれるのかと笑顔で振り向いた。
「クリスティーンはダンスが上手なんだ。ひと晩中でも踊れそうだ」とマイケルが言うと
「あら、マイケル。あなたこそ上手よ」とクリスティーンが答えた。
マイケルはジュースをクリスティーンに渡すと二人は、見つめ合い、乾杯すると一息に飲み干した。
そして声を揃えて
「じゃあね」「またな」と言うと踊りの輪に加わった。
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