婚約者を借りパクされました

朝山みどり

文字の大きさ
16 / 23

16 それぞれの結婚

しおりを挟む
「自分を大事にするってどういうことでしょうか?自分の好きなことをやること?やりたいことってなにかしら?今のままがやりたいことでしょうか?」
「そう言われると難しいね。僕はレイを大事にしたいな・・・レイにいっぱい我が儘を言って欲しい。僕は一生懸命それを叶えるよ。とりあえずレイは我が儘を考えたらいいよ」
「ありがとう。すごく嬉しい申し出よ。我が儘ねぇ。うふ」
「難しいならね。僕が我が儘の見本を見せてあげる。ねぇレイ、僕の家に来ない。ちゃんあとレイのお部屋があるんだよ。侍女がいるから二人きりじゃないけど。どう?家に居づらくなってないかな?」

それからは、あっと言う間だった。わたしはお世話係りとしての仕事量が増えてデニスのおうちに住み込みになった。
宰相になった第二王子殿下がブラウン伯爵家にやって来て頭を下げて頼んだりするから・・・
侍女もついてきてくれた。ありがとう。

それから、すぐに正式に婚約した。

アミスト侯爵は宰相の引き継ぎもそこそこに領地に引っ込んだ。
なんでも昔から晴耕雨読をやりたかったそうだ。奥方は王都の屋敷に残って好きな社交をやるそうだ。アレクサンダー様は急ぎ帝国に戻って行った。
「遊びにおいで、って故郷だよね。でも会いに来て」と可愛いことを言った。

わたしとデニスが天幕を出た後も騒動は続いたらしいが、あまり詳しいことは聞いていない。

その後お父様はアミスト家へ慰謝料を払い、ダグラス家もブラウン家へ慰謝料を払ったと聞いた。

ダグラス侯爵は家に払った分とは別に、わたしに少しお金をくれた。わたしは素直にそれを受け取った。

その後、兄が望まれて辺境伯に婿入りした。剣術ではなく、書類仕事をやれるのを見込まれたのだ。
両親は反対どころか大賛成だった。

そして王都で行われた結婚式にわたしは自分で選んだドレスで出席した。選んだと言ってもデニスの好みがかなり反映されている。わたしに似合っていると思う。

評判を下げた伯爵家だが、辺境伯の名前は大きくかなり大きな式を行った。そして国王の代理として宰相閣下。つまり第二王子が出席した。これでブラウン家の評価が少し上がり、辺境伯と王家の結びつきの強さを貴族に見せつけた。

その後。姉とマイケルが結婚した。伯爵はマイケルが継いだ。残念ながらマイケルは騎士団長になれなかった。というのは、ラルフ・ペレスと模擬戦をやって負けた。
かなり充実したいい勝負だったらしい。そこまでは良かったのに、なんとマイケルは、いきなり剣を振りかぶってラルフに襲いかかったそうだ。そしてたたきのめされたとか。

マイケルはただの伯爵になった。落ち目の伯爵家のさえない当主になった。
あの輝いていたマイケルはどこに行った?

結婚式も披露宴も兄に比べたら地味なものだった。わたしとデニスは早々にお暇した。

バージルは兄に誘われて辺境で学校に行った。友人に恵まれたようで、あのおかしな考えはなくなった。

わたしは、デニスと結婚した。そうなって始めてデニスが帝王の息子だとわかってびっくりした。
思い起こせば、ただのお坊ちゃんじゃないと思ったが、裕福な貴族の甘やかされた坊ちゃんで、歴史が好きで古文書を探して保存、解読が趣味なのだと思っていた。

バージルは学校で面倒を見てくれた、同級生と仲良くなった。しっかり者の彼女は一生面倒を見ると言ったらしい。そしてバージルは婿入りして、平民となった。

しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

【コミカライズ・取り下げ予定】契約通りに脇役を演じていましたが

曽根原ツタ
恋愛
公爵令嬢ロゼは、優秀な妹の引き立て役だった。周囲は妹ばかりを優先し、ロゼは妹の命令に従わされて辛い日々を過ごしていた。 そんなとき、大公から縁談を持ちかけられる。妹の引き立て役から解放されたロゼは、幸せになっていく。一方の妹は、破滅の道をたどっていき……? 脇役だと思っていたら妹と立場が逆転する話。

これでもう、『恥ずかしくない』だろう?

月白ヤトヒコ
恋愛
俺には、婚約者がいた。 俺の家は傍系ではあるが、王族の流れを汲むもの。相手は、現王室の決めた家の娘だそうだ。一人娘だというのに、俺の家に嫁入りするという。 婚約者は一人娘なのに後継に選ばれない不出来な娘なのだと解釈した。そして、そんな不出来な娘を俺の婚約者にした王室に腹が立った。 顔を見る度に、なぜこんな女が俺の婚約者なんだ……と思いつつ、一応婚約者なのだからとそれなりの対応をしてやっていた。 学園に入学して、俺はそこで彼女と出逢った。つい最近、貴族に引き取られたばかりの元平民の令嬢。 婚約者とは全然違う無邪気な笑顔。気安い態度、優しい言葉。そんな彼女に好意を抱いたのは、俺だけではなかったようで……今は友人だが、いずれ俺の側近になる予定の二人も彼女に好意を抱いているらしい。そして、婚約者の義弟も。 ある日、婚約者が彼女に絡んで来たので少し言い合いになった。 「こんな女が、義理とは言え姉だなんて僕は恥ずかしいですよっ! いい加減にしてくださいっ!!」 婚約者の義弟の言葉に同意した。 「全くだ。こんな女が婚約者だなんて、わたしも恥ずかしい。できるものなら、今すぐに婚約破棄してやりたい程に忌々しい」 それが、こんなことになるとは思わなかったんだ。俺達が、周囲からどう思われていたか…… それを思い知らされたとき、絶望した。 【だって、『恥ずかしい』のでしょう?】と、 【なにを言う。『恥ずかしい』のだろう?】の続編。元婚約者視点の話。 一応前の話を読んでなくても大丈夫……に、したつもりです。 設定はふわっと。

愛されヒロインの姉と、眼中外の妹のわたし

香月文香
恋愛
わが国の騎士団の精鋭二人が、治癒士の少女マリアンテを中心とする三角関係を作っているというのは、王宮では当然の常識だった。  治癒士、マリアンテ・リリベルは十八歳。容貌可憐な心優しい少女で、いつもにこやかな笑顔で周囲を癒す人気者。  そんな彼女を巡る男はヨシュア・カレンデュラとハル・シオニア。  二人とも騎士団の「双璧」と呼ばれる優秀な騎士で、ヨシュアは堅物、ハルは軽薄と気質は真逆だったが、女の好みは同じだった。  これは見目麗しい男女の三角関係の物語――ではなく。  そのかたわらで、誰の眼中にも入らない妹のわたしの物語だ。 ※他サイトにも投稿しています

妹が私の婚約者と結婚しちゃったもんだから、懲らしめたいの。いいでしょ?

百谷シカ
恋愛
「すまない、シビル。お前が目覚めるとは思わなかったんだ」 あのあと私は、一命を取り留めてから3週間寝ていたらしいのよ。 で、起きたらびっくり。妹のマーシアが私の婚約者と結婚してたの。 そんな話ある? 「我がフォレット家はもう結婚しかないんだ。わかってくれ、シビル」 たしかにうちは没落間近の田舎貴族よ。 あなたもウェイン伯爵令嬢だって打ち明けたら微妙な顔したわよね? でも、だからって、国のために頑張った私を死んだ事にして結婚する? 「君の妹と、君の婚約者がね」 「そう。薄情でしょう?」 「ああ、由々しき事態だ。私になにをしてほしい?」 「ソーンダイク伯領を落として欲しいの」 イヴォン伯爵令息モーリス・ヨーク。 あのとき私が助けてあげたその命、ぜひ私のために燃やしてちょうだい。 ==================== (他「エブリスタ」様に投稿)

妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~

サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――

【完結】わたしの欲しい言葉

彩華(あやはな)
恋愛
わたしはいらない子。 双子の妹は聖女。生まれた時から、両親は妹を可愛がった。 はじめての旅行でわたしは置いて行かれた。 わたしは・・・。 数年後、王太子と結婚した聖女たちの前に現れた帝国の使者。彼女は一足の靴を彼らの前にさしだしたー。 *ドロッとしています。 念のためティッシュをご用意ください。

婚約破棄をしてきた婚約者と私を嵌めた妹、そして助けてくれなかった人達に断罪を。

しげむろ ゆうき
恋愛
卒業パーティーで私は婚約者の第一王太子殿下に婚約破棄を言い渡される。 全て妹と、私を追い落としたい貴族に嵌められた所為である。 しかも、王妃も父親も助けてはくれない。 だから、私は……。

貴方のことなんて愛していませんよ?~ハーレム要員だと思われていた私は、ただのビジネスライクな婚約者でした~

キョウキョウ
恋愛
妹、幼馴染、同級生など数多くの令嬢たちと愛し合っているランベルト王子は、私の婚約者だった。 ある日、ランベルト王子から婚約者の立場をとある令嬢に譲ってくれとお願いされた。 その令嬢とは、新しく増えた愛人のことである。 婚約破棄の手続きを進めて、私はランベルト王子の婚約者ではなくなった。 婚約者じゃなくなったので、これからは他人として振る舞います。 だから今後も、私のことを愛人の1人として扱ったり、頼ったりするのは止めて下さい。

処理中です...