【完結】悪役令嬢はご病弱!溺愛されても断罪後は引き篭もりますわよ?

鏑木 うりこ

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53 秘密の約束などありませんってば

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「アリシア・フェンルース!お前の婚約を破棄する!! 」
「……え?」

 確かにここはゲーム内で、悪役令嬢であったアリシアが王太子殿下に婚約破棄を告げられる学園内の広間だけれど、今はダンスパーティではなくて、理由も分からずに何故か皆、王太子殿下に呼ばれて集まった放課後なのよ。

 そして殿下は高らかと何を仰ったのかしら?意味が分からないわ。呼ばれた人の中にはエヴァンお兄様もいらっしゃって、物凄い速さで私の横に立つと流石に声を上げた。

「殿下。殿下は何を仰っておいでか意味が分かりません。アリシアの婚約を破棄する?殿下がお決めになることではございません」

 私はエヴァンお兄様の少し後ろに庇われつつ王太子殿下に向き合う。わ、私とエヴァンお兄様のお付き合いは順調で、なんとか名前で呼ぼうと四苦八苦しながら、家族に笑われているくらいでしてよ?!

「アリシアは私と婚約をするんだ!それなのにエヴァンと婚約したのは間違っている、だからエヴァンとの婚約は破棄し、私と婚約し直す!」

 あら?目眩が。この方は何を仰っているのかしら?まったく意味が分からないわ。確かにこの場所でゲーム内でアリシアは似たようなことを言われ、断罪されるのよ。でもね?その時は王太子の隣には聖女ミアがいて、エヴァンお兄様もクレスさんも……まあその他取り巻き達も王太子側にズラリと立っている訳。
 今は皆、私の傍にいてくれて、ミオさんなんて

「わーい、アリシア様の隣~ウフフ」

 なんてお兄様と逆側の隣で笑っているくらい。

「殿下は勘違いしてるのかな? 」
「どういう勘違いか聞いてみたいものですね」

 クレス様とカタリナがヒソヒソ話をしている。というか呼び出された私達全員ヒソヒソ話をしたいくらい。
 物凄く自分勝手な殿下の言葉に当事者であり、一番抗議すべきエヴァンお兄様が声を上げた。私だって言いたいことはたくさんあるけれど、こういうのは順番も大切よね?

「私とアリシアの婚約に何も間違いはございません。我々は両親から認められております。元々、私が養子としてフェンルース家に入った時よりこの話は考慮されていた事。フェンルース家の決定でございます」
「そんなはずはない!アリシアは私と婚約をするんだ。ずっとそう約束をして来たではないか。フェンルース侯もご夫人も納得済みのはずだ」

 殿下は何を仰っているのか本格的に分からない。

「絶対にそんなことはございません。私とアリシアが婚約したのはつい最近のことであり、義父上、義母上の勧めもあってのこと。もちろん王太子殿下とのお話は一切ないと確認もしております」

 これには私もカタリナも大きく頷いた。本当にない話だもの。それなのに殿下は引き下がらない。

「そんなはずはない!私の元に届いた手紙には必ず私の婚約者になると書かれているではないか!アリシア、この手紙は嘘なのか!」

 ぱっと殿下は手紙らしきものを取り出す。それは確かに若い女性が好みそうなピンクの封筒にピンクの紙、中には文字が見えていて確かに手紙であるらしかった。

「アリシア!君から熱心に届いていたこの手紙は一体なんなのだ!」

 私、殿下に手紙など一度も書いたことはございません。本当にあの方は何を仰っているのでしょうか?


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