【完結】その少年は硝子の魔術士

鏑木 うりこ

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11 爺ちゃまはお爺様?

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「ほっほー!1年ぶりくらいかの?」

「爺ちゃまーーー!」

 俺とカレンが特別な気持ちで待っていた爺ちゃまが今年も来てくれた。

「なんじゃーーー!立派になったのう!!家が!!!」

 爺ちゃま、そこか!

「リト!お前の仕業じゃろ!流石は長男じゃな!」

 へへっ!褒めて良いんだぜ!

「……爺ちゃまの……孫だからな!」

「?!リト……?聞いたのか?」

 カレンも近くに来た。

「私も聞いたの……爺ちゃま。でも下の子はまだ知らないのよ。あとで父さんのお話聞かせて?」

 爺ちゃまはそうか、と優しい目をして俺たちの頭をぐりぐり撫でてくれた。爺ちゃまの手は大きくて、父さんを思い出す。
 
「それより今年のプレゼントもいっぱい持って来たんじゃよ!見ておくれ!子供達!」

「じーちゃま!好きーー!」

 爺ちゃまは俺にはやっぱり本を持って来てくれた。

「リトは年が明けたら15歳であろう?15と言えば学園に通う歳じゃ……貴族ならの」

「……俺は……」

 平民なら、学園なんて行かない。と言うか行けない。この家から、俺と言う稼ぎ手がいなくなり、しかも学費を払う事なんてできる訳がないからな。

 しかし、貴族なら学園へ行く。いまのタイミングを逃せば、やはり途中編入はハードルが高い。貴族になって学園へ行くなら……爵位の高い母さんの家の方だろう。
 爺ちゃまは大好きだけどね!

「俺は、学園に行かなくて良いと思ってる。でもカレンは行った方が良いと思ってる」

 素直にそう言った。

「兄ちゃん、どう言う事?」

「俺は貴族じゃなくても学も無くても生きていける。だってサラやんがいるもん。でもカレンや下の子たちは違う。これからどうなるかは分かんないけど、今の所はまだそんな気配がない」

 サラやんは俺の膝の上で丸くなってる。

「だから、カレン達は勉強した方が良いと思う。出来る事なら、学校に行って欲しい。これは俺の意見だよ」

「わしはリトも学園に行くべきじゃと思っておる。費用はうちから出せる。もちろんその間皆でうちに引っ越して貰う事になるぞい?リトなしでここで生活はわしが許さん。もちろん卒業後はここに戻っても良いし、好きなようにしたら良いと思っておる」

 学園は3年。俺が卒業するとザザたち下の弟が14歳。しかし、1番下のリンは今4歳だ。リンが学園を卒業するまでに後14年。
 爺ちゃまに負担をかけすぎだろう……。

「リト。それくらい屁でもないぞい!」

「爺ちゃま!俺はなんも言ってない!」

「どうせ、金がーとか迷惑がーとか考えておったのじゃろ?シュリと同じく顔でシワを作っておったわ!ははは!リトはシュリにそっくりじゃからの!」

 シュリは父さんの名前だ。爺ちゃまからしたら息子だ。そっくりだったかーそうかー息子だもんなー!

 へへ、そうかそうか!

 俺は嬉しくなってちょっと眉間のシワを撫でた。俺だってやっぱり父さんがいないのは寂しいんだよ。
 家族を守って魔獣に襲われた父さん……。こんな時居てくれたら母さんを支えてくれるのになぁ……。

「学園のこともあるのですが、指輪です。リト、お爺様にお見せして?」

「ん?コレ?」

 左手の指輪を爺ちゃまに見せる。

「な、な!王家の婚約の証ではないか!リト!受けたのか?!」

「いや……なんか知らないけど、つけられた……」

「なんと……エイム様はひどい事をなさる……」

 えっ!酷いの?!

「これは婚約の指輪だが実際は有能な者を捉えておく枷のようなものだ。この指輪がある限り、どこにいても王子は指輪の主を探せるし、王子を裏切ろうとすると指輪が暴れる」

「暴れる……?」

「実際には見た事はないのじゃが、外して貰うまで、首輪をつけられたようなものじゃ……」

 なんだか酷かった。そうかこれの件もあるから母さんのため息は止まらなかったんだな。

「ご、ごめん。俺がぼーっとしてたばっかりに」

「ううん、リトのせいじゃないわ。そんなものを持ち出してくるあの方がいけないのだわ……平民だと思って……横暴よ」

「わしも指輪はやりすぎじゃと思う。うちで暮らすようになったら、正式に抗議しよう。しかしリトよ、あの方にそこまでさせる何かがあったのか?」

 爺ちゃまになら教えて良いかな?俺は爺ちゃまのこと好きだし。

「爺ちゃま、俺火の精霊と仲良くなったんだ。見てくれ、俺の友達のサラやんだ」

 隠していたサラやんを引っ張り出して爺ちゃまの膝の上に乗せた。

「おおおお?!これは立派なサラマンダー様ではないか!……なるほどの……王子が逃したくないと思う訳か」

「でも俺、あんまり才能ないから大した魔法使えないってサラやんに言われてるんだ」

 爺ちゃまは恐る恐るサラやんの頭を撫でる。サラやんは爺ちゃまが気に入ったようで大人しく爺ちゃまの膝をあっためてる。

「契約出来るだけで凄いんじゃぞ!リトよ!わしもこんな間近でサラマンダー様に触れ合ったのは初めてじゃ!ありがたいありがたい!」

「きゅ」

「サラやんも爺ちゃまの事、気に入ったってさ!サラやんは良い奴なんだぜ」

 サラやんを褒められると俺も嬉しい!後ろでぴゅーやんとザックが俺も俺もと騒いでいるのが分かるけど、話が面倒くさくなるから、我慢して!



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