【完結】その少年は硝子の魔術士

鏑木 うりこ

文字の大きさ
10 / 117

10 硝子の魔術士?

しおりを挟む
 冷え込み、大地に霜柱が立つ。季節は冬になった。

「去年と違う!」

「去年と違う!!」

 ふふふ!兄の力をみたか!

 まず床や壁に毛皮が引いてあるから床から上がってくる寒さがない。壁も出来るだけ厚くして……泥と草を混ぜた土壁で覆ったので暖かさが上がった。
 そして俺がガラスを作れるので透明な窓がついているから明るい!

「そして!家の真ん中に!」

「さらやん!あったかーねー!」

「きゅっ!」

 リンにしょっちゅう捕まっている。だってサラやんを抱っこしてると凄くあったかいんだ……。夜寝るときはサラやんの取り合いが始まる。
 迷惑そうだがサラやんはいつも付き合ってくれるし、なんだか嬉しそうでもある。

「違う!コタツ!」

 炭を入れて魅惑のコタツを作ってしまったんだ!ああ!悪魔の所業!うひひひ!
 火鉢をおいたりしてかなりあったかい!

 それでも俺たちは薪拾いに行ったり、木を切ったり罠を仕掛けて獲物を取ったりする。

 そして俺は工房に篭る。

キラキラ。

シャラシャラ。

 工房は光をこぼす。

「リトー。もし引越ししたらしばらくは作れないな」

「うん。でも行く事になると思う。母さんはやっぱり自分の親に会いたいと思っている。そして俺たちを見せて上げたいと思っている」

「そうだな」

 サラやんは炉の中から返事をする。

 カシャーン……。悪くはないが、感じ入る所がないグラスを割ってサラやんに渡す。短い手足でちょいちょいとこのかけらを集めて、溶かす。

 カシャーン……。割りたくない物はどうしようか?悩みながらハンマーを振り下ろす。

「せやなぁ。あ、そうや!神様に送ったらええんよ。多分リトからの捧げ物なら、受け取って貰えるで」

「サラやん!冴えてる!」

 俺の作った成功品はこの世界に存在させていいか悩む物が結構ある。面白かったし、造形の練習になった細かすぎる細工。昔を思い出して作った自動車の模型。
 きれいに出来すぎて扱いにくい薄過ぎるワイングラス。

「んー……これは良いかな……?」

 やってみたくて、上にいるリトに頼んでちょっとだけ使えるようになった、風と土の精霊にお願いして作ったサンドブラストで作ったランプシェード。

 風と土は作品造りには協力してくれるけど、生活には無関心だ。それで良いと思う。

「でも洗濯物を干すの手伝ってくれるし、芋畑でもぐらと戦ってくれたりしてたよな?」

 ぴゅーやんとザックはいい奴です。

「そのうち水の奴も仲間にしてやらんと拗ねるで?」

「えーそしたら俺、四大精霊使いじゃーん!」

 わお!俺凄くない???

「上にいるリトはそれに加えて光と闇と重力の精霊とも仲がええで?」

「うひ!とんだチート野郎だね!」

「チート野郎からチカラを借りてるお前はどうすんの?」

 ぷきゅきゅきゅ!変な笑い声をサラやんはこぼした。

「最高です!あっはは!」

 リト、俺はお前の家族の役に立ててるよな!

 
 溶かした硝子をすくい上げる。まずは小さな宝石風の塊から。透明、赤、青、黄色から始まって中間色。二層に分けたりぼかしたり。
 熱くて触れないはずの硝子を触る。空中に浮くはずのない硝子を浮かせる。硝子に関してだけ、不思議な力が使える。

「リトは硝子の魔法使いやなぁ」

「ふふ、ありがとう」

 家族全員分の硝子のスプーンを作った。自分の物を意識して欲しくて色を変えてある。

「みんな大事に使ってくれるし」

 まだ小さいリンは食事の時に癇癪を起こす時があった。その時、使っていたスプーンを投げつけて……割れた。
 リンは割れるとは知らずにやった事だが、割れた硝子は戻らない事は知っている。

「や、や、や、!にいちゃ……作っているくれた、スプーン……わ、わあ…わああ……!」

 リンは泣いたが、あれから物を大切にする事を学んでくれたと思う。

 壊れたスプーンは溶かして別の物に作り替えたが、リンが壊したスプーンと同じ物は作らなかった。
 俺の技術なら、ほぼ似た物は作り出せるが、それは意味がない。

「同じ物が一つもないのが、手作りのいい所だね」

「何言ってんだ。この世に同じものなんて何一つないんだよ!」

 サラやんの真理に俺は頷いた。俺もお前も一つだけだな。

しおりを挟む
感想 50

あなたにおすすめの小説

嘘はいっていない

コーヤダーイ
BL
討伐対象である魔族、夢魔と人の間に生まれた男の子サキは、半分の血が魔族ということを秘密にしている。しかしサキにはもうひとつ、転生者という誰にも言えない秘密があった。 バレたら色々面倒そうだから、一生ひっそりと地味に生きていく予定である。

転生して王子になったボクは、王様になるまでノラリクラリと生きるはずだった

angel
BL
つまらないことで死んでしまったボクを不憫に思った神様が1つのゲームを持ちかけてきた。 『転生先で王様になれたら元の体に戻してあげる』と。 生まれ変わったボクは美貌の第一王子で兄弟もなく、将来王様になることが約束されていた。 「イージーゲームすぎね?」とは思ったが、この好条件をありがたく受け止め 現世に戻れるまでノラリクラリと王子様生活を楽しむはずだった…。 完結しました。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

寄るな。触るな。近付くな。

きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。 頭を打って? 病気で生死を彷徨って? いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。 見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。 シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。 しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。 ーーーーーーーーーーー 初めての投稿です。 結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。 ※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。

転生したら嫌われ者No.01のザコキャラだった 〜引き篭もりニートは落ちぶれ王族に転生しました〜

隍沸喰(隍沸かゆ)
BL
引き篭もりニートの俺は大人にも子供にも人気の話題のゲーム『WoRLD oF SHiSUTo』の次回作を遂に手に入れたが、その直後に死亡してしまった。 目覚めたらその世界で最も嫌われ、前世でも嫌われ続けていたあの落ちぶれた元王族《ヴァントリア・オルテイル》になっていた。 同じ檻に入っていた子供を看病したのに殺されかけ、王である兄には冷たくされ…………それでもめげずに頑張ります! 俺を襲ったことで連れて行かれた子供を助けるために、まずは脱獄からだ! 重複投稿:小説家になろう(ムーンライトノベルズ) 注意: 残酷な描写あり 表紙は力不足な自作イラスト 誤字脱字が多いです! お気に入り・感想ありがとうございます。 皆さんありがとうございました! BLランキング1位(2021/8/1 20:02) HOTランキング15位(2021/8/1 20:02) 他サイト日間BLランキング2位(2019/2/21 20:00) ツンデレ、執着キャラ、おバカ主人公、魔法、主人公嫌われ→愛されです。 いらないと思いますが感想・ファンアート?などのSNSタグは #嫌01 です。私も宣伝や時々描くイラストに使っています。利用していただいて構いません!

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)  インスタ @yuruyu0   Youtube @BL小説動画 です!  プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです! ヴィル×ノィユのお話です。 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました! 時々おまけのお話を更新するかもです。 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。

藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。 妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、 彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。 だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、 なぜかアラン本人に興味を持ち始める。 「君は、なぜそこまで必死なんだ?」 「妹のためです!」 ……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。 妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。 ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。 そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。 断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。 誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。

処理中です...