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悪巧み(リーンハルト視点)(プリシラ視点)
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ーリーンハルト視点ー
「思ったより早く片がつきそうだな」
殿下は安堵の笑みを浮かべている。
「薬の分析をして、解毒薬やより強力な薬を作ったリスミー家とアローゼン家のおかげですね」
「やはりカミルをアルプラゾラム王国に行かせたのは大正解だったな」
魔法に強いリスミー家の子弟を魔法大国のアルプラゾラム王国に留学させたらどうかと陛下に進言したのは我が父だ。
父は宰相なので、この国にとって必要な人材を若いうちから育てている。
母がアルプラゾラム王国出身で姉が王妃ということもあり、我が家とアルプラゾラム王国は近かった。
「最初はミオリア嬢を行かせるつもりだったのにカミルが先になったのには何か訳があったのか?」
「いえ、特には。リスミー侯爵が心配症で先に息子をやって、状況がわかってから娘をと思ったようです」
「だったらこの件が終わったらミオリア嬢はアルプラゾラム王国にいくんじゃないのか? お前いいのか?」
「ミオリアが行くなら私も一緒に行きますよ」
「なるほど」
私の答えに殿下は呆れたように笑う。
私達は今、プリシラに魅了されているフリをしながら、プリシラの動向を探っている。
ミオリアからプリシラの狙いは私に復讐する事だと聞いたので、プリシラが私に何かしてくるのを待っているところだ。
「プリシラは父親がアルプラゾラム王国から誘われたと知り、私からアルプラゾラムの王太子に乗り換えようとしているようだぞ。プリシラにつけている影から報告がきた」
「では、アルプラゾラム王国の王太子にも一枚噛んでもらいますか?」
「そうだな」
「プリシラに会うために極秘で我が国に来たということにしましょう。インタールには変装魔法が使える影がいます。王太子に化けてもらいましょう」
私達は国王と父に連絡し、アルプラゾラムの国王に伝書バードを飛ばした。
一応名前と姿を借りるのだから勝手にというわけにはいかない。
アルプラゾラムからOKと返事がきたのですぐに行動に移した。
ープリシラ視点ー
「プリシラ、大変だ。アルプラゾラム王国の王太子がお前に会いたいと言っているそうだ」
父が大慌てで走ってくる。
「アルプラゾラムの王太子?」
「そうだ、先日ベアトリーチェ姫を我が家に招待した時にお前のことを気に入ってくれただろう。それで王太子にお前の話をしたら会いたいと言っているそうなんだ」
へぇ~、あのおばさんなかなか役に立つじゃない。
レミニール王国よりもアルプラゾラム王国の方が大国だし、豊かだわ。
同じならアルプラゾラム王国の方がいいわね。
じゃあ、またあの薬で私に夢中にさせて、アルプラゾラム王国の王太子妃になっちゃおうかな。
「来週、極秘でレミニールに来るらしい。その時に会いたいそうだ。プリシラ、私もレミニール王国なんか捨てて、アルプラゾラム王国に行く。向こうでベアトリーチェ姫と結婚してルリッド公爵となる予定だ。公爵令嬢なら王太子妃になれる」
いいわね。神様は私に味方してくれたのね。
でもその前に復讐しなきゃね。私は何が何でもブラッドリー・ノルバスクは許さないからね。
それから少しして、私は極秘でレミニール王国に来ているアルプラゾラム王国の王太子と会った。
「はじめまして、ペルマックス嬢、叔母上から聞いてお会いしたかった。私が思っていたよりずっと美しい。プリシラ嬢と呼んでも?」
王太子は跪き、私の手に口付けをした。こんなのはじめてだわ。
ラートガー殿下はこんなことしてくれない。
やっぱり大国の王太子は違うのね。
素敵だわ。
「プリシラ、私は君に一目惚れをしたよ。ぜひ君を妃に迎えたい。アルプラゾラム王国はここから遠いけど、来てくれるか?」
「もちろんですわ。でも私は小国の侯爵令嬢。殿下とは釣り合いません」
憂う感じの伏せ目から少しだけ顔をあげて目を潤ませる。
これでばっちりね。
「大丈夫さ、君の父君が叔母上と結婚してルリッド公爵を承ると聞いている。王妹の娘となら何の問題もない。是非、父君と一緒にアルプラゾラム王国に来て欲しい。ただ、父君はまだペルマックス侯爵夫人と離縁できていないようだ。1日も早く離縁して、君も一緒にペルマックスの籍から抜けて欲しい。お願いだ」
殿下は私の手を握りじっと目を見つめる。
何で素敵なんだろう。
「わかりました。父に1日も早く離縁して、アルプラゾラムに渡るように伝えます。私もすぐにでもお側に行きとうごさいますわ」
殿下にしなだれかかり胸を押し付ける。よし、これでOKだ。
王族は薬に耐性がありかかりにくいと聞いた。確かにかかっていないようだけど、私の魅力でイチコロね。
すぐにかかったラートガー殿下って何だったの? やっぱり小国の王太子なんてそんなものね。
さぁ、幸せな未来を迎えるためにもサクッと復讐してしまいましょう。
「思ったより早く片がつきそうだな」
殿下は安堵の笑みを浮かべている。
「薬の分析をして、解毒薬やより強力な薬を作ったリスミー家とアローゼン家のおかげですね」
「やはりカミルをアルプラゾラム王国に行かせたのは大正解だったな」
魔法に強いリスミー家の子弟を魔法大国のアルプラゾラム王国に留学させたらどうかと陛下に進言したのは我が父だ。
父は宰相なので、この国にとって必要な人材を若いうちから育てている。
母がアルプラゾラム王国出身で姉が王妃ということもあり、我が家とアルプラゾラム王国は近かった。
「最初はミオリア嬢を行かせるつもりだったのにカミルが先になったのには何か訳があったのか?」
「いえ、特には。リスミー侯爵が心配症で先に息子をやって、状況がわかってから娘をと思ったようです」
「だったらこの件が終わったらミオリア嬢はアルプラゾラム王国にいくんじゃないのか? お前いいのか?」
「ミオリアが行くなら私も一緒に行きますよ」
「なるほど」
私の答えに殿下は呆れたように笑う。
私達は今、プリシラに魅了されているフリをしながら、プリシラの動向を探っている。
ミオリアからプリシラの狙いは私に復讐する事だと聞いたので、プリシラが私に何かしてくるのを待っているところだ。
「プリシラは父親がアルプラゾラム王国から誘われたと知り、私からアルプラゾラムの王太子に乗り換えようとしているようだぞ。プリシラにつけている影から報告がきた」
「では、アルプラゾラム王国の王太子にも一枚噛んでもらいますか?」
「そうだな」
「プリシラに会うために極秘で我が国に来たということにしましょう。インタールには変装魔法が使える影がいます。王太子に化けてもらいましょう」
私達は国王と父に連絡し、アルプラゾラムの国王に伝書バードを飛ばした。
一応名前と姿を借りるのだから勝手にというわけにはいかない。
アルプラゾラムからOKと返事がきたのですぐに行動に移した。
ープリシラ視点ー
「プリシラ、大変だ。アルプラゾラム王国の王太子がお前に会いたいと言っているそうだ」
父が大慌てで走ってくる。
「アルプラゾラムの王太子?」
「そうだ、先日ベアトリーチェ姫を我が家に招待した時にお前のことを気に入ってくれただろう。それで王太子にお前の話をしたら会いたいと言っているそうなんだ」
へぇ~、あのおばさんなかなか役に立つじゃない。
レミニール王国よりもアルプラゾラム王国の方が大国だし、豊かだわ。
同じならアルプラゾラム王国の方がいいわね。
じゃあ、またあの薬で私に夢中にさせて、アルプラゾラム王国の王太子妃になっちゃおうかな。
「来週、極秘でレミニールに来るらしい。その時に会いたいそうだ。プリシラ、私もレミニール王国なんか捨てて、アルプラゾラム王国に行く。向こうでベアトリーチェ姫と結婚してルリッド公爵となる予定だ。公爵令嬢なら王太子妃になれる」
いいわね。神様は私に味方してくれたのね。
でもその前に復讐しなきゃね。私は何が何でもブラッドリー・ノルバスクは許さないからね。
それから少しして、私は極秘でレミニール王国に来ているアルプラゾラム王国の王太子と会った。
「はじめまして、ペルマックス嬢、叔母上から聞いてお会いしたかった。私が思っていたよりずっと美しい。プリシラ嬢と呼んでも?」
王太子は跪き、私の手に口付けをした。こんなのはじめてだわ。
ラートガー殿下はこんなことしてくれない。
やっぱり大国の王太子は違うのね。
素敵だわ。
「プリシラ、私は君に一目惚れをしたよ。ぜひ君を妃に迎えたい。アルプラゾラム王国はここから遠いけど、来てくれるか?」
「もちろんですわ。でも私は小国の侯爵令嬢。殿下とは釣り合いません」
憂う感じの伏せ目から少しだけ顔をあげて目を潤ませる。
これでばっちりね。
「大丈夫さ、君の父君が叔母上と結婚してルリッド公爵を承ると聞いている。王妹の娘となら何の問題もない。是非、父君と一緒にアルプラゾラム王国に来て欲しい。ただ、父君はまだペルマックス侯爵夫人と離縁できていないようだ。1日も早く離縁して、君も一緒にペルマックスの籍から抜けて欲しい。お願いだ」
殿下は私の手を握りじっと目を見つめる。
何で素敵なんだろう。
「わかりました。父に1日も早く離縁して、アルプラゾラムに渡るように伝えます。私もすぐにでもお側に行きとうごさいますわ」
殿下にしなだれかかり胸を押し付ける。よし、これでOKだ。
王族は薬に耐性がありかかりにくいと聞いた。確かにかかっていないようだけど、私の魅力でイチコロね。
すぐにかかったラートガー殿下って何だったの? やっぱり小国の王太子なんてそんなものね。
さぁ、幸せな未来を迎えるためにもサクッと復讐してしまいましょう。
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