【完結】王子から婚約解消されましたが、次期公爵様と婚約して、みんなから溺愛されています

金峯蓮華

文字の大きさ
18 / 50

我儘と新しい出会い

しおりを挟む
 事件から1週間経ち、王宮はかなり落ち着いてきた。

 側妃様と王弟殿下の派閥だった貴族たちはなんやかんやと罪が表に出てきて捕らえられたり、廃爵したりした。

 我がメトロファン伯爵家は特に何も変わりなくのんびりしている。

 今日は私はウェディングドレスの仮縫いをしてもらっている。
 お母さまとお義母さまは嬉しそうに私のドレスを眺めている。
ウェディングドレスの仮縫いは2回目だ。

 第2王子の婚約者だった時にもしたことがある。あのドレスどうなったのだろう?
お義母さまにもったいないからあれでいいと言ったら「とんでもない!」と怒られてしまった。

 それにしてもまだユリウス様と結婚するなんてピンとこない。まぁ、第2王子の時もピンてこなかったけどね。
 私はまだ結婚よりも勉強したり、遊んだりしたい。
 クリス様は結婚するってことにピンときてるのかな?

 私はお義母さまたちにバレないように小さくため息をついた。

 明日はユリウス様とお買い物に行く約束をしている。
 薔薇園事件の時に行くはずだったお店に行くらしい。美味しいスイーツも食べられるようなので、楽しみといえば楽しみなんだけどね。



 お店でドレスやら宝石やらを見だけれど、これといって欲しいものはなかった。
 ユリウス様は結婚式の時に東国ではやっている指輪の交換をしようとおっしゃり、お揃いの指輪をオーダーした。

 私の指輪はユリウス様の髪色のプラチナブロンドに合わせたプラチナとゴールド、そして瞳の色のタンザナイトをあしらった。
 ユリウス様の指輪は私の髪色のシャンパンゴールドに瞳の色のアメシスト。
 来週には出来上がるそうだ。

 ウェディングドレスや指輪を作り、いよいよ結婚するんだなぁと思うけど、まだ実感がわかない。私は余程往生際が悪いのだろう。

「ヴィオ、どうしたの? なんだか浮かない顔だね」

 おっと、顔にでていたのか? せっかく王子妃教育受けたのに、活かされてないや。

「暑さのせいですかね。なんだか体調がすぐれなくて……」
 咄嗟に嘘をついた。

「そうだね。湿度が高いからドレスを着ていると辛いよね」

 ユリウス様は指をパチンと鳴らした。
馬車の中に爽やかな風が吹いてくる。温度も少し下がったようだ、

「魔法ですか?」
「うん。私は水、氷、風の魔法が得意なんだ」
 それで怒ると寒くなるのか。

「気持ちいいです。ありがとうございます」
「ヴィオが喜ぶならなんでもするよ。もっと私に我儘を言って欲しい。私は頼りにならないかな?」

 そう言われてもなぁ。頼りになるかならないかといえば、間違いなく頼りになるけれどね。
 我儘を言えと言われても、特に希望はないのよね~。
 欲しいものも特にないし、やりたいことはだいたいやれているし。
 第2王子と結婚するのだけが嫌だったけど、それも無くなったし、今、めっちゃ快適なんだけどね。

 あっ、あった。ひとつだけ。

「頼りになりますよ。信頼しています。それでは、我儘を言ってもよろしいですか?」
「もちろん」

 ユリウス様は私の顔を覗き込んだ。

「結婚を延期してもらえないでしょうか」

 ユリウス様は一瞬固まった。

「なぜ? 理由は? 私が嫌なのかな?」

「いえ、ユリウス様が嫌だとかそんなことはないのです。ただ今の私はユリウス様には相応しくないような気がして。
 もう少し大人になるまで待ってもらうのはダメですか? その間にお好きな方ができればその方と結婚してもらっても……」

「それは聞けない」

 私の話はユリウスの言葉に遮れた。気のせいか馬車の中が爽やかな風どころか極寒になってませんか?

「私が嫌いでないのなら、結婚してから大人になればいい。それにヴィオ以外に好きな女などできる訳がない」

 も~、我儘言えと言ったくせに。

「我儘でした。申し訳ありません。もう言いませんわ」

 私は臍を曲げたような顔をしてやった。

 それからユリウス様は私の機嫌を取るような話をしていたが、無関心な態度で相槌を打つだけにした。

 馬車が屋敷に到着した。

「今日はありがとうございました」

 私はユリウスさまのエスコートを待たずに馬車からピョンと降り、スタスタと屋敷に入って行った。

 ユリウス様がどんな顔をしていたか知らないけど、我儘を言えと言ったのだ。我儘にさせてもらう。


「ヴィオお帰り。どうしたユリウス君と喧嘩でもしたか?」
「喧嘩するほど仲良くありませんわ」
 私の答えにお父さまはくすくす笑っていた。


 あれ、誰かお客様かな? 

 サロンに見知らぬ男女が座っている。男性は私と同じ歳くらいで、女性は少し若いかなぁ?
 お父さまが私にお二人を紹介した。

「ヴィオ、今日からしばらくうちに滞在することになった、私の甥のフィルと姪のライザだ」

 お父さまの甥と姪って?

「メトロファン伯爵家の長女のヴィオレッタでございます」

 私はとりあえずカーテシーをした。

「フィリップス・ヴァンガーリンです。しばらくお世話になります」
「妹のエリザベス・ヴァンガーリンです。よろしくお願いします」
 綺麗なカーテシーだ。

 ヴァンガーリンということは、ヴァンガーリン国の王族か?
 普段すっかり忘れているが、お父さまはヴァンガーリン国の国王陛下の弟だ。

「第3王子のお見合いよ」
 お母さまはふふふと笑う。

 妹の見合いに兄が付いてきたのか?

「叔父上のところに一度来てみたかったので、この、機会にライザについてきました。従兄弟のヴィオレッタ嬢やリカルド殿にもお会いしたかった」

 フィリップ様は私の手を取りキスをした。

 いや~、こんなことユリウス様以外からされたことない。

 私は真っ赤になってしまったようだ。

しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された侯爵令嬢ですが、帝国の次席秘書官になりました ――王の隣ではなく、判断を誤らせない場所へ

ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として王宮に仕える侯爵令嬢ゼクレテァ。 彼女は華やかな場に立つことはなく、ただ静かに、しかし確実に政務と外交を支えていた。 ――その役割が、突然奪われるまでは。 公の場で告げられた一方的な婚約破棄。 理由はただひとつ、「愛している相手がいるから」。 ゼクレテァは感情を見せることなく、その決定を受け入れる。 だが彼女が王宮を去った後、王国には小さな歪みが生じ始めた。 些細な行き違い、遅れる判断、噛み合わない政策。 それらはやがて、国家全体を揺るがす事態へと発展していく。 一方、行き場を失ったゼクレテァの前に、思いもよらぬ「選択肢」が差し出される。 求められたのは、身分でも立場でもない。 彼女自身の能力だった。 婚約破棄から始まる、 静かで冷静な逆転劇。 王の隣に立つことを拒んだ令嬢は、 やがて「世界を動かす場所」へと歩み出す――。 -

ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…

ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。 一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。 そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。 読んでいただけると嬉しいです。

天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎ ギルドで働くおっとり回復役リィナは、 自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。 ……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!? 「転ばないで」 「可愛いって言うのは僕の役目」 「固定回復役だから。僕の」 優しいのに過保護。 仲間のはずなのに距離が近い。 しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。 鈍感で頑張り屋なリィナと、 策を捨てるほど恋に負けていくカイの、 コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕! 「遅いままでいい――置いていかないから。」

訳あり侯爵様に嫁いで白い結婚をした虐げられ姫が逃亡を目指した、その結果

柴野
恋愛
国王の側妃の娘として生まれた故に虐げられ続けていた王女アグネス・エル・シェブーリエ。 彼女は父に命じられ、半ば厄介払いのような形で訳あり侯爵様に嫁がされることになる。 しかしそこでも不要とされているようで、「きみを愛することはない」と言われてしまったアグネスは、ニヤリと口角を吊り上げた。 「どうせいてもいなくてもいいような存在なんですもの、さっさと逃げてしまいましょう!」 逃亡して自由の身になる――それが彼女の長年の夢だったのだ。 あらゆる手段を使って脱走を実行しようとするアグネス。だがなぜか毎度毎度侯爵様にめざとく見つかってしまい、その度失敗してしまう。 しかも日に日に彼の態度は温かみを帯びたものになっていった。 気づけば一日中彼と同じ部屋で過ごすという軟禁状態になり、溺愛という名の雁字搦めにされていて……? 虐げられ姫と女性不信な侯爵によるラブストーリー。 ※小説家になろうに重複投稿しています。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。

猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で―― 私の願いは一瞬にして踏みにじられました。 母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、 婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。 「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」 まさか――あの優しい彼が? そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。 子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。 でも、私には、味方など誰もいませんでした。 ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。 白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。 「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」 やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。 それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、 冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。 没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。 これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。 ※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ ※わんこが繋ぐ恋物語です ※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ

新婚初夜に『白い結婚にしてほしい』と言われたので論理的に詰めたら夫が泣きました

ささい
恋愛
「愛人がいるから、白い結婚にしてほしい」 政略結婚の初夜にそう告げた夫ルーファス。 妻カレンの反応は—— 「それ、契約不履行ですよね?」 「あなたの感情論、論理的に破綻してますよ?」 泣き落としは通じない。 そして初夜の翌朝、夫は泣いていた。 逃げ道は全部塞がれ、気づけば毎日論破されていた。 これは、論破され続けた夫がなぜか幸せになる話。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

処理中です...