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1.謎の理由で婚約破棄
しおりを挟むいつもなら、王太子妃教育の時間のはずが何故か王太子様ヴレイヴ=クロム様に王宮内の応接室の一室に呼び出されたのです。それも宰相をしているお父様を交えて。
「仕事がまだたくさんあるんだが…」
と、お父様は愚痴を漏らしていましたが王族、それも王太子様からの呼び出しですから応じないわけにはいきません。やむを得ず、いやいや来たのでしょう。
「揃ったようだな」
得意気にヴレイヴ様は仰いますが、我々親子はどちらかというとヴレイヴ様に待たされていました。
「本日、この時をもって私ヴレイヴ=クロムはミシェル=オーグとの婚約を破棄する」
婚約を破棄?私は何かヴレイヴ様に粗相をしたのでしょうか?
「なんでも同名の町娘 『ミシェル』に対して嫌がらせをしていたようだな?」
どこ情報でしょうか?王太子妃教育を受けている私にそのような時間はありませんが?
「『ミシェル』という名前はわりと多い名前だと思いますが?特定の者でもいるのですか?」
お父様も不思議に思いますよねぇ?
「はぁ、シラを切る気かぁ。街の片隅でパン屋を手伝って家庭のやりくりをしている健気な少女。見目は茶髪に金の瞳だ」
「王太子様はその娘の事をよくご存じのようですね?」
そんなに知っているのならば、誰が嫌がらせをしているのかも知っているでしょうに。
「ミシェル=オーグとの婚約破棄の後、彼女を私の婚約者としようと考えている」
「ヴレイヴ王子!その事は陛下や王妃殿下にはお伝えしていているのですか?」
「ちょっとしたサプライズにしようと思う」
ちょっとしていない…。宰相としてお父様は処理しなければならない書類が膨大に発生するでしょうし、これまで王子妃候補として名前が挙がっていた貴族家が黙っていないでしょう。
この王子はそんなことがわからないみたい…。
私が思ってたよりもず――――っと頭の中がカランコロンとしているみたい。
見た目だけなら、金髪碧眼の見るからに王子様なんだけど、頭の中が残念なようです。
「『ミシェル』と同じ名だしな。ハッハッハッ」
ついでにお花畑なんだろうか?カランコロン言っている頭の中に花は咲くんだろうか?
「気分がいいから慰謝料は請求しないでやるぞ?今後は王太子に捨てられたキズモノ令嬢として生活をしていくといい。ハッハッハッ」
お父様も流石に怒っている。
「ヴレイヴ様?私は娘が王太子妃だから宰相の座につくことができたわけでして……娘が王太子妃でなくなった今、私は宰相の職を辞め、自身の領地経営に力を注ぎたいと存じます」
「ふむ、そういえばそうだなぁ。まぁ、いい。好きにせよ」
「では、好きにさせて頂こうと思います」
お父様も策士なので、宰相として使える部下を引き抜き、我が公爵家の領地経営に一役買ってもらうこととしたらしい。
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給金についてはうちも公爵家なので心配はない。公爵家の割に無駄遣いをしない一家なのでどちらかというとお金は溜まっている。
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