ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃

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社会人 編

許すも許さないも、ないよ

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 ハッと、オレの言葉に狼谷は顔を上げた。
 そして、こくこくと勢いよく首を縦に振った。

「センパイのことは好きだ! 先輩が何だって、好きだったんだ、多分。変に言い訳して、自分の気持ちを隠して、先輩と後輩なんだからおかしいって。だけど、もう、違う。センパイ……寧さん。好きだ。オレの事許してくれるなら、オレの謝罪を、受け入れて、欲しい……」

 ぎゅっとオレの服の裾を掴む指に、力が入ったのがわかった。
 こんなに格好良くて、いくらでも相手がいて、オレのようなオメガなんてヤリ捨てしまってもなんの問題もない奴なのに、必死にオレに謝罪して、許しを乞うている。

「狼谷……許すも、許さないも、ないよ」

 オレの言葉に、狼谷の表情が酷く歪んだ。
 何でまた泣きそうになっているんだろう、と思っていると、

「そ、そう、だよな。オレ、本当にセンパイからしたら、酷いこと、した……から。だけど、だけどさあ……ちょっとぐらい……」

 眉と口にきゅっと力を入れて、泣くまいと我慢しいる顔をした。
 と、ここで、ようやくオレは、こいつが大きな勘違いをしている事に気づいた。

「ああ! 違うよ、狼谷。とっくに、許してるって事だ。あれで、助かったのはオレの方なんだ。確かに、まあ、した後の行動には傷ついたけど……お前の気遣いだった事が、ようやくわかったから。これまでも、お前に対して、怒ったり許さないって、思ったこと無いよ。むしろオレの方が申し訳ないと思ってたんだから」

 つい頭を撫でてやりながらそう言うと、みるみる後輩の顔が真っ赤になっていった。頬が上気している。
 こんな大男に思うのもなんだが、かわいらしい表情だった。獣耳がピンと立ち、尻尾がブンブン左右に揺れている。

「あ、あの、そしたら、その、寧さんは、その……オレのこと…好き?」
「ああ、好きだよ」

 しどろもどろに紡がれる言葉に、いとも簡単に返事をすると、なぜかまたしょんぼりした大型犬の顔になった。

「あ、えっと、それは、そのつまり……今までみたいな、先輩後輩として、って、こと…?」

 それ以上の事を望んでいる、と、顔にありありと書いている後輩に、思わず笑ってしまった。
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