中学生ユーチューバーの心霊スポットMAP

じゅん

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3 神隠し~死者と会えるトンネル~【恐怖指数 ☆☆★★★】

神隠し~死者と会えるトンネル~【恐怖指数 ☆☆★★★】 2

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「最近、質の悪い霊の被害報告があがってきているから、鈴竹市の心霊スポットは危険なのよ。私がアカリを守ってあげる」
 冴子の腕がきゅっと強くなった。
「前にも冴子ちゃん、同じようなことを言ってたね」
 そろそろ開放してほしいな、と思いながらアカリは言った。
「アカリくんからそう聞いて、ぼくも調べてみた。質の悪い霊って、赤色の髪をした和装の男だろ? その霊が出る場所には行かないよ」
 京四郎はメガネを光らせて、にっこりとほほ笑んだ。
「話もまとまったことだし、善は急げだね。今晩、第二弾の心霊スポットに行こうか。場所は鈴竹トンネル、通称『黄泉トンネル』だ」

 アカリと翔陽は自転車を走らせて、約束の夜七時より五分早く黄泉トンネルの近くに到着した。
 トンネルの脇には山につながる舗装されていない土の道と、坂道になる手前に広い空間があった。そこで京四郎が、すでに机や機材のセッティングをすませて待っていた。
「京四郎くんはいつも早いね」
「ぼくは準備があるからね。おっ、冴子くんも来たようだ」
 ライトをつけた自転車が近づいてくる。腰まである髪をなびかせて、さっそうと現れた冴子は……。
「冴子ちゃん、なんで学校のジャージを着てるの?」
「あら、動画的に問題があった? 私の持っている服の中で一番、動きやすいのだけど」
 冴子は首をかしげた。
「そうかもしれないけど」
(冴子ちゃんって、ときどきズレてる)
 冴子はスタイルがいいので、学校のシンプルなジャージでさえカッコよく見える。
「構わないよ冴子くん。さて、全員集まったから、カメラを回してもらっていいかな」
 アカリはうなずいて、ハンディカメラを手にした。
「ここは『鈴竹トンネル』。昭和初期に造られた現役のトンネルです。最近は霊の目撃情報や事故が増えているので、地元の人は近づきません。ぼくは三十分以上ここにいましたが、その間、一人も通りませんでした」
 アカリがオーケーサインを送ると、前回と同じように京四郎がプリントを読み上げ始めた。
 トンネルはアーチを描く上半分が赤いレンガ造りになっていて、下半分は大ぶりな石が組み合わさってできている。緩くカーブしていて、反対側の出口は見えない。長さは二百メートルほどある。トンネル内に電気は通っているものの、薄暗い。
「霊の目撃情報が増える前から、この場所は知る人ぞ知る心霊スポットでした。顔見知りの死者が現れて、呼びかけに応えてついて行くと、黄泉の世界に連れて行かれると言われています。つまり、死んでしまいます。そのため、通称『黄泉トンネル』とも呼ばれています」
 アカリは寒気がした。まさにトンネルから「おいで、おいで」と手招きされている気がしたのだ。
(この場所も、絶対に幽霊がいるじゃん)
 火のないところに煙は立たぬ。ちゃんと(?)幽霊のいるところが心霊スポットになっているようだ。
「第二回に黄泉トンネルを選んだのは、ぼくもここで、霊を見ているからなんだ」
「えっ」
 アカリが思わずカメラごと京四郎に顔を向けると、「ぼくは映さなくていいよ」と苦笑された。
「ぼくは交通事故にあっているんだけど」
(みんな知ってるよ、中学受験の日だよね)
 アカリはそうツッコもうとしたが、京四郎が動画用に説明しているのだと気づいて、口を閉ざした。
「その事故現場が、ここなんだ」
「えっ」
 今度はアカリだけでなく、三人の声が重なった。
「あの日、トンネル内の左側を歩いていると、反対車線の車が突然、ぼくに向かって突っ込んできた。避ける間もなかった。ぼくは車とトンネルの壁に挟まれた……、はずだった」
「挟まれてたら、死んでるんじゃね?」
「そう。ぼくもあの時、これは助からない、と思った」
 京四郎は翔陽にうなずいて見せた。
「でも気がついたら病院で、骨折ですんだ」
「とっさに避けてたんじゃねえの? もしくは、運よく車体の下に入り込んだとか」
「わからない。ただあのとき、遠のく意識の中で、死んだ姉を見た気がしたんだ」
「京四郎の姉ちゃん、生きてんじゃん」
 京四郎は首を横に振る。
「ぼくの名前、京四郎には漢数字の四が入ってる。ぼくは末っ子で、四番目なんだ」
「京四郎のきょうだいって、三人じゃ……」
 翔陽の声がだんだん小さくなる。
「一番上の姉は、死産だったんだ」
 翔陽は口をおおって「マジかよ」とつぶやいた。親友の翔陽も、京四郎の姉が亡くなっていることを知らなかったようだ。
「死産なら赤ん坊でしょ。なぜお姉さんだとわかったの?」
 冴子がたずねる。
「姉は、生きていれば二十歳なんだ。ぼくが見た女性は、大学時代の母に似ていた。ここが『黄泉トンネル』であることも考えて、一番上の姉じゃないかと思ったんだ。姉が、ぼくを助けてくれたんじゃないかって。それからぼくは、心霊現象に興味を持ったんだ」
(いい話!)
 アカリは感動してこぶしをにぎる。そういう幽霊だったら歓迎だ。
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