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じゅん

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3 神隠し~死者と会えるトンネル~【恐怖指数 ☆☆★★★】

神隠し~死者と会えるトンネル~【恐怖指数 ☆☆★★★】 4

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「おばあちゃんに会えないかな」
 アカリが小学二年生のころ、祖母が亡くなった。葬式のために、田舎にある祖母の家に家族で泊った。
 祖母のことは大好きだったが、その家は大嫌いだった。
 家は古く、トイレが外にあったのだ。そのトイレは和式だった。
「しかも、ぼっとんトイレなんだよ」
「なんだ、それ?」
 アカリたちはレバーやボタンで水が流れる水洗トイレに慣れているが、公共下水が整備される前は、便器の下に排泄したものを溜めておく汲み取り式のトイレだった。
 今では汲み取り式トイレは少なくなったが、祖母の家のトイレが、まさにそれだった。
「もうね、外の風がトイレの下から流れてきてお尻が冷たいし、トイレの穴に落ちちゃいそうで、メチャメチャ怖いんだよ!」
 思い出しただけでゾッとしてきた。
「でね、でね、お葬式に来ていたイトコのお兄ちゃんが、トイレの穴はお化けの世界と繋がっていて、夜一人でトイレに入ると、トイレの穴から幽霊の手がいっぱい伸びてきて、引きずり込まれるって言うのっ」
「そんなのウソに決まってんじゃん」
「だけど、怖いでしょ! 小学二年生だったんだよ!」
 そういう時に限って、夜中に目が覚めてトイレに行きたくなった。母親を起こしていっしょにトイレに行ったが、アカリは震えるほど怖かった。
「冷たい風が、幽霊の手みたいに感じるの。もう泣きそうになりながらトイレから出てね」
 小さな電球しか点いていない、暗いトイレの外で。
 ヌッと白い影が目の前に現れた。
 その顔は、死んだはずに祖母の顔だった。
「わたし、気を失っちゃって。それから暗いところがダメになったの」
「じゃあ、このトンネルでおばあちゃんに会ったら、なんてことしてくれたんだって、うらみゴトを言いたいわけか?」
「違うよっ。あれからよく考えたんだけど、おばあちゃんは最後のお別れを言いに来てくれたんじゃないかと思うんだ。なのに気絶しちゃってごめんなさいって言いたかったの。だから、おばあちゃんが出てきてくれないかな」
 そんな話をしていると、まるで手掘りをしたような、いびつな形の横穴があった。
「ここね」
 冴子が真っ先に穴に入った。いつものように背がピンと伸びている。アカリはライトで穴を照らした。
(冴子ちゃんカッコいい。怖くないのかな)
 奥行きは十五メートルほどだろうか。壁も天井も舗装されておらず、土のままになっている。もちろん電気なんてない。真っ暗だ。
「お地蔵さまがある」
 行き止まりになっている端に、ぽつんと地蔵が置かれていた。
「なんのための穴で、なんのための地蔵だろうな。あまり汚れてないから、誰かが掃除に来ているのかもしれない」
 アカリはライトを置いて、冴子を映すためのカメラを設置することにする。
「そうだ、お地蔵さまにお祈りしておこうっと」
 アカリは地蔵の前でしゃがみ、手を合わせて目を閉じた。
(ここで冴子ちゃんが一人、暗い中で待機するので、見守ってあげてください。あと、もし亡くなった人に会えるなら、おばあちゃんに会わせてください)
 よろしくお願いします、と頭を下げて目を開ける。
 しかし、目を開けたはずなのに、なにも見えない。真っ黒のままだ。
「えっ、なんで? まだライトは消してないのに。翔ちゃん、イタズラして消したんでしょ? どこ? 点けてよっ」
 返事がない。翔陽が悪ふざけをして黙っているとしても、冴子なら反応があるはずだ。
「冴子ちゃん、返事をして」
 アカリが黙ると、うわんうわんと、反響音が聞こえた。自分の声ではないみたいだった。
 まるで、別の誰かの声のような。
(やだやだ、二人ともどこ? 真っ暗で怖いよっ)
 京四郎が言っていたように、アカリは少しだけ暗闇に慣れていた。しかし、ほんの少しだけだ。恐ろしくて体が震えた。
 アカリは慌てて背負っていたリュックを下ろして、懐中電灯を取り出した。いつでも懐中電灯を持ち歩いている。
 スイッチを入れると、アカリは横穴の中の地蔵の前にいた。
(そうだよね、ここだよね。じゃあ二人はどこに行ったんだろう?)
 周囲が見えるようになって、アカリは少し落ち着いた。
 設置したはずのライトやカメラも見当たらない。
 アカリは京四郎の言葉を思い出した。

 ――神隠しが起こる、とも言われる。
 ――人がコツゼンと姿を消す現象のことだよ。

「二人は消えちゃったの? これが神隠し?」
 そんな、ばかな。
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