中学生ユーチューバーの心霊スポットMAP

じゅん

文字の大きさ
20 / 32
4 髪切り屋敷の謎【恐怖指数 ☆★★★★】

髪切り屋敷の謎【恐怖指数 ☆★★★★】 2

しおりを挟む
 しばらくすると、立派な建物が見えてきた。まるでお城のような建物で、バルコニーは広く、玄関ポーチはドッシリとした円柱になっている。
 しかし、建てられたころは美しかっただろう白い壁はくすんで汚れ、朽ちて崩れている。広い窓も割れている部分が多く、玄関を開けなくても、どこからでも入れてしまう。
「森の中に一軒だけ建物があるなんて、おかしくね?」
「そうだね。お金持ちの別荘だと言われているよ」
 翔陽の疑問に答えながら、京四郎はいつものように、カバンから機材を出したりして、待機するための場所づくりをしている。よくもこの量を一人で運んだものだ。
「こんな場所に遊びに来るのか。金持ちは変わってるよな」
「遊びならいいんだけどね」
 京四郎のふくみのある言い方に、建物を見ていた翔陽が振り返った。
「身内が罪を犯したり、世間に隠したい奇病にかかった人を隔離するための、いわば豪華な牢獄だったという説もあるよ」
 京四郎はニヤリと笑う。
(出た、怖いエピソード!)
 心霊スポットなのだから当然なのだが、アカリは知りたくないと思った。
「ここで目撃される霊は、全身火傷やけどをした女性だという」
「火傷って……、火事でもあったのか? この建物、朽ちてはいるけど、焦げていないっぽいけどな」
 翔陽が周囲を見回しながら言うと、「火事じゃない」と京四郎は否定した。
「その女性は、日光を浴びると火傷をしてしまう病気だったようだ。だから家から出られなかった。しかも全身の毛が生えない症状もあったらしい」
「全身の毛って、髪の毛とか?」
 アカリがたずねると京四郎はうなずいて、「眉毛も、睫毛も」と答える。
「死んでもいいから晴れた日に外に出たいと家から飛び出して、全身の皮膚が火傷をしたように焼けてとけ落ち、死んでしまったと言われている」
 アカリは胸を押さえた。
(怖いけど、かわいそう……)
「その女性は赤が好きで、彼女の部屋だけ、壁や床が真っ赤らしい。そこに女性の霊が出る。そして、部屋に来た髪の長い女性に『髪をちょうだい』と頼むんだ」
 京四郎は冴子を脅かすように言った。四人の中で唯一、髪の長い女性である冴子は表情を変えない。アカリはごくりとつばを飲み込む。
「頼まれたら、どうすればいいの?」
「いい質問だね、アカリくん。『いいよ』と了承すると髪を切られ、『いやだ』と断ると首を切られるそうだ。だからここは通称『髪切り屋敷』と呼ばれている」
 京四郎はニコニコとしている。
(オカルト話をする京四郎くんは、いつも楽しそうだな)
 アカリはゲンナリとする。
「そういえば冴子くん、なぜそんなに髪を伸ばしているんだ?」
 冴子のストレートの黒髪は腰まである。ツヤツヤしていて、手入れが大変そうだ。ちなみに、冴子は今日も学校のジャージ姿だった。
「これは、願掛け。なりたい自分になれたら切る」
「なりたい自分って、なに?」
 アカリがたずねると、冴子にぽんぽんと頭に手をのせられて、ごまかされてしまった。
(冴子ちゃんは大人っぽくて、美人で、頭もいいのに。なにが足りないんだろう?)
 アカリは首をかしげた。
「さて、みんなに配るものがいくつかある。ひとつは『ワイヤレス・ヘッドセット』だ」
 片耳用で、耳穴に差し込むスピーカーと、棒状の小さなマイクがついている、コンパクトなものだ。
「今まではモニターで見ているぼくは音声を確認できたけど、ぼくからみんなに呼びかける時には、スマホを使わなければいけなかった。今日からはスマホアプリでグループ通話をオンにしていれば、どこにいてもみんなで会話ができる」
「おおっ、SPみたいでカッケーな!」
「彼らが使っているのは無線だけどね」
 いつものように出演する翔陽と冴子には自撮り用のカメラを渡し、それとは別に、もう一台のカメラを二人に渡した。
「カメラ二台持ち?」
「そう、カメラマンのアカリくんとは別行動をしてもらうからね」
(あれ、私は今日、待機かな?)
 だったらいいなあと思いながら、説明の続きを待つ。
「これだけ広い洋館だから、三人で手分けをして『赤い部屋』を探してほしい。そうだな、二階建てだから、東側を翔陽、西側の一階をアカリくん、二階を冴子くんに探索してもらおうか」
「なるほど、部屋を撮るのと自撮り用で、カメラが二台なんだ」
「別行動をするから、ヘッドセットを配ったのね」
 京四郎は、翔陽と冴子に向かって「ご名答」とニコリと笑う。
「待って待って、わたしも一人で探索するの?」
「アカリくんは顔出しNGだから、自撮りはしなくていいよ」
「そうじゃなくて、京四郎くんはわたしを、暗い場所で一人にしないって、約束してくれたよね?」
 それが動画撮影に協力する前提だったはずだ。前回はアカリが神隠しにあってしまったので、仕方がないが……。
「アカリくんは、暗闇を克服できたんだろ? じゃあ、もういいじゃないか」
 京四郎はニッコリとほほ笑む。
 ギギギッと、アカリは涙目で京四郎をにらんだ。
(京四郎くんのウソツキ! キチク! 今だって暗いところは、普通に怖いよ!)
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

見える私と聞こえる転校生

柚木ゆず
児童書・童話
「この中に、幽霊が見える人はいませんか?」  幽霊が見える中学1年生の少女・市川真鈴のクラスに転校生としてやって来た、水前寺良平。彼のそんな一言が切っ掛けとなり、真鈴は良平と共に人助けならぬ幽霊助けをすることになるのでした――。

運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!

克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)

生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!

mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの? ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。 力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる! ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。 読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。 誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。 流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。 現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇 此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

猫菜こん
児童書・童話
 私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。  だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。 「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」  優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。  ……これは一体どういう状況なんですか!?  静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん  できるだけ目立たないように過ごしたい  湖宮結衣(こみやゆい)  ×  文武両道な学園の王子様  実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?  氷堂秦斗(ひょうどうかなと)  最初は【仮】のはずだった。 「結衣さん……って呼んでもいい?  だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」 「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」 「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、  今もどうしようもないくらい好きなんだ。」  ……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。

星降る夜に落ちた子

千東風子
児童書・童話
 あたしは、いらなかった?  ねえ、お父さん、お母さん。  ずっと心で泣いている女の子がいました。  名前は世羅。  いつもいつも弟ばかり。  何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。  ハイキングなんて、来たくなかった!  世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。  世羅は滑るように落ち、気を失いました。  そして、目が覚めたらそこは。  住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。  気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。  二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。  全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。  苦手な方は回れ右をお願いいたします。  よろしくお願いいたします。  私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。  石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!  こちらは他サイトにも掲載しています。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

ローズお姉さまのドレス

有沢真尋
児童書・童話
*「第3回きずな児童書大賞」エントリー中です* 最近のルイーゼは少しおかしい。 いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。 話し方もお姉さまそっくり。 わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。 表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成

処理中です...