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4 髪切り屋敷の謎【恐怖指数 ☆★★★★】
髪切り屋敷の謎【恐怖指数 ☆★★★★】 1
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「まだかよ、京四郎!」
「この辺りのハズなんだけどな……」
京四郎はスマートフォンの地図アプリを見ながら、翔陽に返事をした。
アカリたちは三十分以上、森の中を歩いていた。
目的地に行くためには山道を歩かなければいけないとわかっていたので、アカリたちはまだ明るい夕方五時に山のふもとで待ち合わせた。
九月の後半になり、日が落ちて暗くなる時間がだんだん早くなっているので、夕方六時から撮影をスタートしよう、と打ち合わせていた。
「情報でも、わかりづらい場所にあると書いてあった。見つけられずに断念する人も多くて、『幻の屋敷』と呼ばれていたり、選ばれた人しかたどり着けない、なんて言われることもある」
「なんとか見つけたいよな」
(いいえ! 見つけられなくていいです。もう帰りたいです!)
アカリはすでに泣きそうになっていた。
先日、亡くなった祖母に「怖いの、飛んでいけ~」とおまじないをかけてもらってから、暗闇の怖さが薄れた。
おかげで、外灯のある住宅街などでは懐中電灯をつけなくても歩けるようになり、カバンに入れる懐中電灯の数は三つから一つに減った。
だから、今、アカリが脅えているのは暗さではなかった。
(もう秋なのに、虫が多すぎ! シカなのかタヌキなのかわからないけど、急に草むらがガサガサッて動くのも怖い!)
アカリは霊感があるので、森がザワザワとしているのは霊のしわざではないとわかるけれど、幽霊ではなくても急になにかが動けば驚くし、怖い。
しかも屋敷は、いつも冷静な冴子が泣きだすかもしれないというほど怖いと、オカルトマニアである京四郎のお墨付きなのだ。
(どうか、屋敷が見つかりませんように!)
アカリはそればかり祈りながらカメラを回していた。今回は屋敷が見つかるかどうかも重要なので、目的地に着く前から撮影していた。
「みんな、ちょっととまって。こういうこともあろうかと……」
京四郎は、世界一高いエベレストに登るのかというくらい、大きなカバンを背負っていた。カバンが頭より高い位置にはみ出してる。
そのカバンを地面に下ろすと、なにやら探し始めた。
「はい、空撮用のドローン」
手の平にのるサイズの、鉄のカタマリのようなものを取り出した。
「それがドローン? 小さいんだね」
わたしはドローンにカメラを向けた。
「持ち運びやすいように、小さくて折りたためるものにしたんだ。ほら、こうしたら見慣れた形になるよ」
プロペラのついた四つのアームを広げると、機体の下にカメラがついていた。この形ならアカリもテレビで見たことがある。
「カッケー! こんなの持ってたのかよ!」
「今日のために用意した。空撮は動画映えするから、いつかは入手しようと思っていたんだ」
(京四郎くん、この動画のためにいくら使ったんだろう……)
知りたくなったが、恐ろしくて聞けない。
「空から屋敷を探してみよう」
木が光をさえぎって周囲が暗いため、アカリたちは懐中電灯をつけているが、まだ日は落ち切っていない。森の中に建物があるのなら、まだ見つけることは可能だろう。
京四郎がコントローラーを操作すると、ドローンがヘリコプターのように垂直に上昇した。プロペラの風切り音とモーター音が混ざった“ウィーン!”という音がかなり大きい。工事現場の音にも似ている。
ビデオゲームのコントローラーのような先にはスマートフォンが取り付けてあって、ドローンが撮影した映像が映っている。
「おおっ、スゲー! おれも操作したいっ」
「簡単だよ。とはいえ、少し練習したほうがいいから、今日持って帰ればいい」
「貸してくれんの? やったぜ!」
そんな話をしている間にも、ドローンは森を上から映していた。落ちかけた日が横から森を照らして、葉の明暗を浮かび上がらせていた。
「上からぜんぜん、通ってきた道が見えないじゃん。完全にケモノ道。歩きにくかったはずだよな」
「ここ」
冴子がスマートフォンの画面を指さした。枝葉に埋もれて見えづらいが、洋館の屋根のようなものが見えた。京四郎はその部分をズームにする。
「確かに、ここに建造物があるね。ぼくらがいるのはこの位置だから、それほど遠くない」
場所を確認できたところで、ドローンを回収して、アカリたちは再び歩き出した。
(ひええっ、いる、いるよ。だんだんゾクゾクしてきた)
アカリは身震いした。
「この辺りのハズなんだけどな……」
京四郎はスマートフォンの地図アプリを見ながら、翔陽に返事をした。
アカリたちは三十分以上、森の中を歩いていた。
目的地に行くためには山道を歩かなければいけないとわかっていたので、アカリたちはまだ明るい夕方五時に山のふもとで待ち合わせた。
九月の後半になり、日が落ちて暗くなる時間がだんだん早くなっているので、夕方六時から撮影をスタートしよう、と打ち合わせていた。
「情報でも、わかりづらい場所にあると書いてあった。見つけられずに断念する人も多くて、『幻の屋敷』と呼ばれていたり、選ばれた人しかたどり着けない、なんて言われることもある」
「なんとか見つけたいよな」
(いいえ! 見つけられなくていいです。もう帰りたいです!)
アカリはすでに泣きそうになっていた。
先日、亡くなった祖母に「怖いの、飛んでいけ~」とおまじないをかけてもらってから、暗闇の怖さが薄れた。
おかげで、外灯のある住宅街などでは懐中電灯をつけなくても歩けるようになり、カバンに入れる懐中電灯の数は三つから一つに減った。
だから、今、アカリが脅えているのは暗さではなかった。
(もう秋なのに、虫が多すぎ! シカなのかタヌキなのかわからないけど、急に草むらがガサガサッて動くのも怖い!)
アカリは霊感があるので、森がザワザワとしているのは霊のしわざではないとわかるけれど、幽霊ではなくても急になにかが動けば驚くし、怖い。
しかも屋敷は、いつも冷静な冴子が泣きだすかもしれないというほど怖いと、オカルトマニアである京四郎のお墨付きなのだ。
(どうか、屋敷が見つかりませんように!)
アカリはそればかり祈りながらカメラを回していた。今回は屋敷が見つかるかどうかも重要なので、目的地に着く前から撮影していた。
「みんな、ちょっととまって。こういうこともあろうかと……」
京四郎は、世界一高いエベレストに登るのかというくらい、大きなカバンを背負っていた。カバンが頭より高い位置にはみ出してる。
そのカバンを地面に下ろすと、なにやら探し始めた。
「はい、空撮用のドローン」
手の平にのるサイズの、鉄のカタマリのようなものを取り出した。
「それがドローン? 小さいんだね」
わたしはドローンにカメラを向けた。
「持ち運びやすいように、小さくて折りたためるものにしたんだ。ほら、こうしたら見慣れた形になるよ」
プロペラのついた四つのアームを広げると、機体の下にカメラがついていた。この形ならアカリもテレビで見たことがある。
「カッケー! こんなの持ってたのかよ!」
「今日のために用意した。空撮は動画映えするから、いつかは入手しようと思っていたんだ」
(京四郎くん、この動画のためにいくら使ったんだろう……)
知りたくなったが、恐ろしくて聞けない。
「空から屋敷を探してみよう」
木が光をさえぎって周囲が暗いため、アカリたちは懐中電灯をつけているが、まだ日は落ち切っていない。森の中に建物があるのなら、まだ見つけることは可能だろう。
京四郎がコントローラーを操作すると、ドローンがヘリコプターのように垂直に上昇した。プロペラの風切り音とモーター音が混ざった“ウィーン!”という音がかなり大きい。工事現場の音にも似ている。
ビデオゲームのコントローラーのような先にはスマートフォンが取り付けてあって、ドローンが撮影した映像が映っている。
「おおっ、スゲー! おれも操作したいっ」
「簡単だよ。とはいえ、少し練習したほうがいいから、今日持って帰ればいい」
「貸してくれんの? やったぜ!」
そんな話をしている間にも、ドローンは森を上から映していた。落ちかけた日が横から森を照らして、葉の明暗を浮かび上がらせていた。
「上からぜんぜん、通ってきた道が見えないじゃん。完全にケモノ道。歩きにくかったはずだよな」
「ここ」
冴子がスマートフォンの画面を指さした。枝葉に埋もれて見えづらいが、洋館の屋根のようなものが見えた。京四郎はその部分をズームにする。
「確かに、ここに建造物があるね。ぼくらがいるのはこの位置だから、それほど遠くない」
場所を確認できたところで、ドローンを回収して、アカリたちは再び歩き出した。
(ひええっ、いる、いるよ。だんだんゾクゾクしてきた)
アカリは身震いした。
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