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花人の謎
【閑話休題】不幸ヤンキー、”狼”が越してくる。《中編②》
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春夏冬家にて、心は麗永の妹であるうららの手料理を食していた。ちなみに撫子も夕飯をご馳走になっている。初めは心の姿を見て驚いていたうららではあったが、嫌な顔などせずにリビングへと通されて心は彼女に歓迎をされた。
今回の春夏冬家の夕飯は煮込みハンバーグとオニオンスープとサラダだ。美味しいが最近は幸の手料理を食しているおかげで舌が肥えているので、少し物足りなさを感じる。…しかしそれでも、心は目の前でにこにこと笑っているうららの一挙一同で身体を震わせてしまう。
―なぜなら自分はうららの秘密を暴いた人間で、彼女の人生を大きく変えてしまった人間だからだ。最近はうららも女優業にまた戻れるように、バイトを減らして演技の練習を欠かさずにしているようだ。それは彼女の兄である麗永から聞いていて、うらら自身もまだまだ完璧な演技力まではいかないが、努力しているおかげなのか女優業に光が差して来たらしい。…まだ主演ではなく、脇役ではあるものの彼女の演技への威力は監督にも伝わったようだ。
―だから心は余計に混乱し、無言を貫いていた。自分がまた1人の人間を苦しめてしまうのを悔いているから。2度としないことを誓っているから。
初めは麗永しか居ないと思っていたのにまさかうららまで居るとは思いも依らずにいたが、でもそれは当たり前だ。…うららの自宅でもあるのだから。
「心ちゃん、美味しい?」
「……あ、はい」
「もしかして口に合わないかったかな~?」
「……とんでもないです。美味しいですよ」
「ふ~ん…、それなら良かったけれど!」
普通は歓迎も何もされない身ではあるのだが、うららは気にもせずに彼女に接しては夕飯美味しいかどうかを尋ねてくる。こんなのテレパシーが通じなくても分かる。うららは、彼女は心に気を許しているし、しかも仲良くなろうとしているのだ。だから少女は困惑してしまう。
…私があなたの人生を壊してしまったのに。変えてしまったのに。迷惑を掛けてしまったのに…なぜ?
心はそんなうららを不可思議に思いながら無心でハンバーグを食す。…少しデミグラスがしょっぱい印象を受けたが、黙って食していた。…それでもうららは話しかけるのだ。
「ハンバーグは久しぶりに作ったのだけれど、美味しいかな?」
にっこりと微笑んで尋ねる彼女に心はなんと言えば良いのかが分からず、薄っぺらい感想を述べようとする。しかし代わりに答えたのは、彼女の実兄であった。
「まぁ全体を見積もって60点くらいでしょう。デミグラスソースが少し尖っている味わいがあるので、砂糖を入れてから煮詰めすぎないようにして見て下さい。少し塩味があります」
「…お兄ちゃんには聞いていないけど…」
「あとはオニオンスープは玉ねぎをもっと炒めてからじゃないとコクが出ませんよ。まだシャキシャキした歯ごたえがありますから、忍耐強く炒めるべきですね。僕個人としては、最初にバターを入れるより最後の風味として入れた方がまろやかで贅沢な味わいになるでしょう」
「だから! お兄ちゃんには聞いてないし、私は心ちゃんに聞いてるの~!」
「心さんはうららさんと違って気遣いが出来ますから遠慮されているのですよ。…そんな、普段から台所に立たずにしたい時だけ作られるのも、困りものですよ」
「うぅ…それは…まぁ」
麗永に、難癖という注文を受けているうららは見て心は彼女が怒るのではないかと危惧し、心情を読んでみた。…だが意外にも、彼女はそこまで怒ってはいない。だが少々文句を言いたいようだと心は悟った。
「そんなに言うならさ~、お兄ちゃんが毎日作ってよ。私だって演技のレッスンとか、バイトとか、宿題とか色々あるから台所に立てないだけであって…」
「僕は今日も忙しかったんですよ。それはお互い様です」
食後のコーヒーを口に運んではしたたかに微笑む兄へうららはなにも言えない様子だ。
…この人にお父さんが負けたのは、こういう弁が立つ人じゃなかったからだろうな~。
なんとなくそう思っては残りのハンバーグを食す心に、麗永は妹に向けて説教を交えたのだ。
「それに僕はうららさんの為にも言ってるんです。しかも給料が少し上がったとはいえ、食費に光熱費に家賃にあなたのお小遣いに…。食費だってうららさんに渡してるんですから、これぐらいワガママを言ったって構わないでしょう?」
「うっ…。それは…まぁ」
反論が出来ずに現実から目を背けさせようとさせない兄に頭が上がらない、日本が認めた超天才子役の妹。そんな2人を見てはますます不思議に思ってしまう。
…なんでこの人はそれでもお兄さんのことが好きなのだろう?
そんなことを思っていると不意にある男が心へ声を掛けたのである。
今回の春夏冬家の夕飯は煮込みハンバーグとオニオンスープとサラダだ。美味しいが最近は幸の手料理を食しているおかげで舌が肥えているので、少し物足りなさを感じる。…しかしそれでも、心は目の前でにこにこと笑っているうららの一挙一同で身体を震わせてしまう。
―なぜなら自分はうららの秘密を暴いた人間で、彼女の人生を大きく変えてしまった人間だからだ。最近はうららも女優業にまた戻れるように、バイトを減らして演技の練習を欠かさずにしているようだ。それは彼女の兄である麗永から聞いていて、うらら自身もまだまだ完璧な演技力まではいかないが、努力しているおかげなのか女優業に光が差して来たらしい。…まだ主演ではなく、脇役ではあるものの彼女の演技への威力は監督にも伝わったようだ。
―だから心は余計に混乱し、無言を貫いていた。自分がまた1人の人間を苦しめてしまうのを悔いているから。2度としないことを誓っているから。
初めは麗永しか居ないと思っていたのにまさかうららまで居るとは思いも依らずにいたが、でもそれは当たり前だ。…うららの自宅でもあるのだから。
「心ちゃん、美味しい?」
「……あ、はい」
「もしかして口に合わないかったかな~?」
「……とんでもないです。美味しいですよ」
「ふ~ん…、それなら良かったけれど!」
普通は歓迎も何もされない身ではあるのだが、うららは気にもせずに彼女に接しては夕飯美味しいかどうかを尋ねてくる。こんなのテレパシーが通じなくても分かる。うららは、彼女は心に気を許しているし、しかも仲良くなろうとしているのだ。だから少女は困惑してしまう。
…私があなたの人生を壊してしまったのに。変えてしまったのに。迷惑を掛けてしまったのに…なぜ?
心はそんなうららを不可思議に思いながら無心でハンバーグを食す。…少しデミグラスがしょっぱい印象を受けたが、黙って食していた。…それでもうららは話しかけるのだ。
「ハンバーグは久しぶりに作ったのだけれど、美味しいかな?」
にっこりと微笑んで尋ねる彼女に心はなんと言えば良いのかが分からず、薄っぺらい感想を述べようとする。しかし代わりに答えたのは、彼女の実兄であった。
「まぁ全体を見積もって60点くらいでしょう。デミグラスソースが少し尖っている味わいがあるので、砂糖を入れてから煮詰めすぎないようにして見て下さい。少し塩味があります」
「…お兄ちゃんには聞いていないけど…」
「あとはオニオンスープは玉ねぎをもっと炒めてからじゃないとコクが出ませんよ。まだシャキシャキした歯ごたえがありますから、忍耐強く炒めるべきですね。僕個人としては、最初にバターを入れるより最後の風味として入れた方がまろやかで贅沢な味わいになるでしょう」
「だから! お兄ちゃんには聞いてないし、私は心ちゃんに聞いてるの~!」
「心さんはうららさんと違って気遣いが出来ますから遠慮されているのですよ。…そんな、普段から台所に立たずにしたい時だけ作られるのも、困りものですよ」
「うぅ…それは…まぁ」
麗永に、難癖という注文を受けているうららは見て心は彼女が怒るのではないかと危惧し、心情を読んでみた。…だが意外にも、彼女はそこまで怒ってはいない。だが少々文句を言いたいようだと心は悟った。
「そんなに言うならさ~、お兄ちゃんが毎日作ってよ。私だって演技のレッスンとか、バイトとか、宿題とか色々あるから台所に立てないだけであって…」
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食後のコーヒーを口に運んではしたたかに微笑む兄へうららはなにも言えない様子だ。
…この人にお父さんが負けたのは、こういう弁が立つ人じゃなかったからだろうな~。
なんとなくそう思っては残りのハンバーグを食す心に、麗永は妹に向けて説教を交えたのだ。
「それに僕はうららさんの為にも言ってるんです。しかも給料が少し上がったとはいえ、食費に光熱費に家賃にあなたのお小遣いに…。食費だってうららさんに渡してるんですから、これぐらいワガママを言ったって構わないでしょう?」
「うっ…。それは…まぁ」
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