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花人の謎
【閑話休題】不幸ヤンキー、”狼”が越してくる。《中編①》
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煙草休憩を終えた哉太と撫子、そしてなぜか哉太に連れられた心が洗面所から戻ってきた。ちゃんと言いつけは守ったらしい。哉太と撫子の口内から歯磨き粉の匂いが伺えた。幸は哉太と撫子には缶コーヒーを、そして心にはオレンジジュース缶をあげるのだが、心がどうして2人の元へ行ったの理由を知りたかったので、ちびちびとジュースを飲む彼女へ幸は耳元で囁く。
「なにか…哉太さんから吹き込まれたりとかした?」
「そんなことないよ~。ちょっとしたことだから平気」
「脅された…とか?」
だが小声で話し掛けていたつもりではあったが、哉太には聞こえていた様子だ。幸が訝しんで尋ねる様子を見ては嘆いていた。
「花ちゃん、俺をなんだと思ってんの…? お兄さん、悲しいっ!!!」
手で顔を抑える哉太はさておき、心に真剣に尋ねてみれば彼女は首を横に振ってからこのように答えたのだ。
「相談をされただけだよ?」
驚きの答えに幸は内心驚愕をしては泣く真似をする哉太を一瞥し思いを過らせる。
…哉太さん、小学生相手にも相談をするのか。
だが心情を読まれていたらしく、心は軽く笑ってはジュースをまた飲んだ。果汁40%未満の缶ジュースはオレンジのフレッシュさよりも甘さが勝っていた。
「哉太君がどうしてもって言うから、私なりのアドバイスを言ったの」
「アドバイス…、なんの?」
すると心は缶コーヒーを飲んでいる哉太と目を合わせた。哉太は室内だというのにサングラスを掛けていて表情は分かりづらいが、口元で人差し指を立てている。その様子を見た心は軽く息を吐いた。
「哉太君がナイショでだって~。まぁ今にも分かるかもしれないから」
「…それってどういう?」
「あ、あとそうだ」
そして彼女は付け足したように言葉を述べた。
「私、夕飯は春夏冬さんの家で食べに行くからお夕飯は要らないの。幸君、用意してたらごめんなさい」
「えっ…?」
心の言葉で幸と麗永は驚きを見せているが、なにやらニヤついている撫子が麗永の元へ駆け寄り耳元で囁いていた。話を聞き終えた彼はなに食わぬ顔を見せる哉太に怒ろうとして…辞めるのだ。
「はぁ~…。馬鹿馬鹿しい。こんな小さな子にも迷惑を掛けて…。あとでたっぷりとこの子にお礼をして下さいね」
「そんなの分かってるつ~の」
間延びしてしかも含んだような言い方をする哉太に、状況が分かっていない幸は首を傾げていた。
夜になり心が麗永と撫子と共に出て行ってしまった。簡単な食事を済ませた哉太と幸ではあるが…幸は何も言わずにパソコンのキーボードを打っている哉太に想いを馳せる。
…心が来てからは2人っきりなんて久しぶり、だよな。そしたら…その。やっぱり恋人だから…。
—エッチな事をする…よな、普通。
勝手に自身の心臓を高鳴らせる幸ではあったが哉太はパソコンで何かを打ってから画面を閉じて伸びをする。…そして立ち上がった。
―幸はその動作に鼓動を跳ねさせた。
…いよいよこれからか!!!
「あ…あの、哉太さん。その…」
しどろもどろという幸に哉太は間延びした言い方で彼に笑いかけた。どうしたものかと思っていると彼は普段よりも素っ気ない態度を取るのだ。
「花ちゃんもお疲れ様~。俺、疲れちゃったけど原稿を書かなきゃだから。先に帰れば?」
「…はい?」
いつもとは違う哉太の様子に戸惑いを見せる幸だが、それでも彼は言葉を続ける。
「あっ、でも、シャワー浴びた方が良いよね?」
「えっと…あの…、その…」
「やっべ~…。心は女の子だったから野郎どもには見せつけないようにって俺なりに気を遣ったつもりだったけど…、大丈夫かな? 麗永の家で入らせて貰えてるかな?」
…えっ、恋人としてのそういうのはしないの?
だが心ではそうは思っていても言葉に出来ないのが幸なのだ。…彼は吹っ切れない限り素直な性格とは言えないから。そんなかれは戸惑いを見せた様子で、サングラスを手に取って眺めている哉太へ話し掛ける。
「…哉太さん、あの…」
「ん~、なに~?」
目を離されてにこにこと笑っている哉太ではあるが、幸は言葉を発せない。言えな自分が居るのだ。自身が天邪鬼だからというのも大きいが…あまりにも恥ずかしい誘いをしようとしているのだから。
…「エッチしないの?」って、言いたい。でも、言えない…。恥ずかしすぎる!
「…どうかした花ちゃん?」
「あ…いや…。じゃあ、シャワー浴びてくるよ! ちょっと借りるな!」
「はいよ~。どうぞご自由にね~」
そしてパソコンに目を向けて打ち込んでいる哉太の後ろ姿を見て、軽く落ち込んでしまう。
…なんで言えないんだよ、俺の馬鹿!!!
情けなく浴室に行く幸の後ろ姿を哉太はパソコンの画面から視線を外し、にこやかに…いや、かなり企んだ笑みを見せていた。
―そして幸が浴室に入ったのを見届けて呟くのだ。
「…上手くいったか。この後の幸の行動に期待っと!」
そそくさとパソコンを閉じてから哉太は服を脱ぎ始めた。腹出しトップスをまるでグラビアアイドルのような脱ぎ方をし、そしてレザーパンツのホックとチャックを下ろす。
自身の履いている黒をベースにした赤い模様のビキニの姿で、彼は期待を込めて願うのだ。
「さぁ~て、幸はどんな反応するかな?」
―エッチなことになる事を期待!
そろりそろりと浴室へと静かに近づき様子を伺おうとする哉太は、期待に胸を膨らませて幸の行動を監視するのであった。
「なにか…哉太さんから吹き込まれたりとかした?」
「そんなことないよ~。ちょっとしたことだから平気」
「脅された…とか?」
だが小声で話し掛けていたつもりではあったが、哉太には聞こえていた様子だ。幸が訝しんで尋ねる様子を見ては嘆いていた。
「花ちゃん、俺をなんだと思ってんの…? お兄さん、悲しいっ!!!」
手で顔を抑える哉太はさておき、心に真剣に尋ねてみれば彼女は首を横に振ってからこのように答えたのだ。
「相談をされただけだよ?」
驚きの答えに幸は内心驚愕をしては泣く真似をする哉太を一瞥し思いを過らせる。
…哉太さん、小学生相手にも相談をするのか。
だが心情を読まれていたらしく、心は軽く笑ってはジュースをまた飲んだ。果汁40%未満の缶ジュースはオレンジのフレッシュさよりも甘さが勝っていた。
「哉太君がどうしてもって言うから、私なりのアドバイスを言ったの」
「アドバイス…、なんの?」
すると心は缶コーヒーを飲んでいる哉太と目を合わせた。哉太は室内だというのにサングラスを掛けていて表情は分かりづらいが、口元で人差し指を立てている。その様子を見た心は軽く息を吐いた。
「哉太君がナイショでだって~。まぁ今にも分かるかもしれないから」
「…それってどういう?」
「あ、あとそうだ」
そして彼女は付け足したように言葉を述べた。
「私、夕飯は春夏冬さんの家で食べに行くからお夕飯は要らないの。幸君、用意してたらごめんなさい」
「えっ…?」
心の言葉で幸と麗永は驚きを見せているが、なにやらニヤついている撫子が麗永の元へ駆け寄り耳元で囁いていた。話を聞き終えた彼はなに食わぬ顔を見せる哉太に怒ろうとして…辞めるのだ。
「はぁ~…。馬鹿馬鹿しい。こんな小さな子にも迷惑を掛けて…。あとでたっぷりとこの子にお礼をして下さいね」
「そんなの分かってるつ~の」
間延びしてしかも含んだような言い方をする哉太に、状況が分かっていない幸は首を傾げていた。
夜になり心が麗永と撫子と共に出て行ってしまった。簡単な食事を済ませた哉太と幸ではあるが…幸は何も言わずにパソコンのキーボードを打っている哉太に想いを馳せる。
…心が来てからは2人っきりなんて久しぶり、だよな。そしたら…その。やっぱり恋人だから…。
—エッチな事をする…よな、普通。
勝手に自身の心臓を高鳴らせる幸ではあったが哉太はパソコンで何かを打ってから画面を閉じて伸びをする。…そして立ち上がった。
―幸はその動作に鼓動を跳ねさせた。
…いよいよこれからか!!!
「あ…あの、哉太さん。その…」
しどろもどろという幸に哉太は間延びした言い方で彼に笑いかけた。どうしたものかと思っていると彼は普段よりも素っ気ない態度を取るのだ。
「花ちゃんもお疲れ様~。俺、疲れちゃったけど原稿を書かなきゃだから。先に帰れば?」
「…はい?」
いつもとは違う哉太の様子に戸惑いを見せる幸だが、それでも彼は言葉を続ける。
「あっ、でも、シャワー浴びた方が良いよね?」
「えっと…あの…、その…」
「やっべ~…。心は女の子だったから野郎どもには見せつけないようにって俺なりに気を遣ったつもりだったけど…、大丈夫かな? 麗永の家で入らせて貰えてるかな?」
…えっ、恋人としてのそういうのはしないの?
だが心ではそうは思っていても言葉に出来ないのが幸なのだ。…彼は吹っ切れない限り素直な性格とは言えないから。そんなかれは戸惑いを見せた様子で、サングラスを手に取って眺めている哉太へ話し掛ける。
「…哉太さん、あの…」
「ん~、なに~?」
目を離されてにこにこと笑っている哉太ではあるが、幸は言葉を発せない。言えな自分が居るのだ。自身が天邪鬼だからというのも大きいが…あまりにも恥ずかしい誘いをしようとしているのだから。
…「エッチしないの?」って、言いたい。でも、言えない…。恥ずかしすぎる!
「…どうかした花ちゃん?」
「あ…いや…。じゃあ、シャワー浴びてくるよ! ちょっと借りるな!」
「はいよ~。どうぞご自由にね~」
そしてパソコンに目を向けて打ち込んでいる哉太の後ろ姿を見て、軽く落ち込んでしまう。
…なんで言えないんだよ、俺の馬鹿!!!
情けなく浴室に行く幸の後ろ姿を哉太はパソコンの画面から視線を外し、にこやかに…いや、かなり企んだ笑みを見せていた。
―そして幸が浴室に入ったのを見届けて呟くのだ。
「…上手くいったか。この後の幸の行動に期待っと!」
そそくさとパソコンを閉じてから哉太は服を脱ぎ始めた。腹出しトップスをまるでグラビアアイドルのような脱ぎ方をし、そしてレザーパンツのホックとチャックを下ろす。
自身の履いている黒をベースにした赤い模様のビキニの姿で、彼は期待を込めて願うのだ。
「さぁ~て、幸はどんな反応するかな?」
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