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11話 守れなかった者と、守ろうとする者
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「どうしてライを殺した。ドラウロ……!」
「別に殺したわけじゃない。瀕死にしただけだ。なぁ、レイン」
「そうだよ。別に殺してない。もしかしたらどこかで助かってるかもよ」
「あれだけ腹に斬り込んでおいてよく言うよ」
「多分内臓傷ついてるよ。クククッ」
「っ……!」
ハーシュは、歯を思い切り食いしばりながらドラウロ達から離れて自室に向かった。
私は力不足だ……!
守りたいものを、守ることが出来ない……!
勇者なのに!
自室の扉を勢いよく開け、閉める時は力任せに引っ張った。
頭の奥まで響くような音が扉から発せられるが、そんなことは今どうでもいい。
もう、隣の部屋からは何も音が聞こえてこない。
ハーシュの隣の部屋はライに部屋で、隣から聞こえる生活音が何故か心を落ち着かせた。
椅子を引く音や、片付ける音、物を落とした音や、窓を開ける音。
その何も特別でない音達が、ハーシュの心を落ち着かせた。
それなのに今は、隣からは何も聞こえない。
ドラウロ達の話し声と、外の人の声しか聞こえない。
ハーシュを守れなかった私に、生きる意味などあるのだろうか。
ハーシュがいない世界に、私は――。
そう頭をよぎった直後、自分の頬を思い切りビンタした。
何で勝手にライがいないと決めつける。
もしかしたら、どこかで生きているかもしれないではないか。
奇跡が起こって傷が治ってるかもしれない……ではないか……。
そんな希望は、普通に考えたら無いに等しい。
誰も通らないような洞窟の奥底で、食料もなく医療道具もない。
そんな状態で、傷が治るだろうか。
「信じろ」
そんなことを考えるな。
ただ私は、ライが生きていると信じればいい。
そんな簡単に、ライが死ぬはずがない。
絶対にライを見つけ出してみせる。
「まだ寝ていやがるぜ。こいつら」
「仕方ないさ。起きる時間は人それぞれだからね」
俺とジューザラスは、椅子で寝ていたためいつまでも寝ていられるわけがなく、外が明るくなる前には目が覚めてしまった。
だが、グラ達が寝ているベッドは結構ふかふかだ。
そのせいで、全くこの2人は起きる気配がない。
今から召喚しようと思うんだが……別に大丈夫だよな。
凄まじい光を放ってしまうが、怒られてしまったらその時はその時だ。
「もうあ・い・つ・とは話がついてる。召喚しても何の問題もねぇってよ」
「そうか。なら、特に心配なく召喚できるな」
正直、心配がないわけがない。
ジューザラスの部下が大体どんな神なのか想像できてしまう。
でも、己を強くするためには、こんな事で戸惑っている場合じゃない。
「スキル《神族召喚》」
俺がそう発した直後、同じように金の光が放ち始めた。
俺は腕で顔を覆い、光を目に入れないようにする。
こうでもしないと、しばらく普通に見る事が出来なくなってしまう。
「眩しいぞ……何やっているんだ……」
「まだ私達寝てるのにぃ……」
何か声が聞こえるが、それには反応しないでおく。
起きる時間はそれぞれと言ったが、早起きはやっぱり大切だろ?
光りが収まっていくと、そこには長い黒髪にところどころ赤が混じり、右の瞳が黒、左の瞳が赤という独特な雰囲気が出ている女がいた。
「召喚してくれて……どうもです……。ジューザラス様の部下の……ルーレルです……。よろしくです……」
あれ……?
俺がしていた想像と全く違うぞ……。
「別に殺したわけじゃない。瀕死にしただけだ。なぁ、レイン」
「そうだよ。別に殺してない。もしかしたらどこかで助かってるかもよ」
「あれだけ腹に斬り込んでおいてよく言うよ」
「多分内臓傷ついてるよ。クククッ」
「っ……!」
ハーシュは、歯を思い切り食いしばりながらドラウロ達から離れて自室に向かった。
私は力不足だ……!
守りたいものを、守ることが出来ない……!
勇者なのに!
自室の扉を勢いよく開け、閉める時は力任せに引っ張った。
頭の奥まで響くような音が扉から発せられるが、そんなことは今どうでもいい。
もう、隣の部屋からは何も音が聞こえてこない。
ハーシュの隣の部屋はライに部屋で、隣から聞こえる生活音が何故か心を落ち着かせた。
椅子を引く音や、片付ける音、物を落とした音や、窓を開ける音。
その何も特別でない音達が、ハーシュの心を落ち着かせた。
それなのに今は、隣からは何も聞こえない。
ドラウロ達の話し声と、外の人の声しか聞こえない。
ハーシュを守れなかった私に、生きる意味などあるのだろうか。
ハーシュがいない世界に、私は――。
そう頭をよぎった直後、自分の頬を思い切りビンタした。
何で勝手にライがいないと決めつける。
もしかしたら、どこかで生きているかもしれないではないか。
奇跡が起こって傷が治ってるかもしれない……ではないか……。
そんな希望は、普通に考えたら無いに等しい。
誰も通らないような洞窟の奥底で、食料もなく医療道具もない。
そんな状態で、傷が治るだろうか。
「信じろ」
そんなことを考えるな。
ただ私は、ライが生きていると信じればいい。
そんな簡単に、ライが死ぬはずがない。
絶対にライを見つけ出してみせる。
「まだ寝ていやがるぜ。こいつら」
「仕方ないさ。起きる時間は人それぞれだからね」
俺とジューザラスは、椅子で寝ていたためいつまでも寝ていられるわけがなく、外が明るくなる前には目が覚めてしまった。
だが、グラ達が寝ているベッドは結構ふかふかだ。
そのせいで、全くこの2人は起きる気配がない。
今から召喚しようと思うんだが……別に大丈夫だよな。
凄まじい光を放ってしまうが、怒られてしまったらその時はその時だ。
「もうあ・い・つ・とは話がついてる。召喚しても何の問題もねぇってよ」
「そうか。なら、特に心配なく召喚できるな」
正直、心配がないわけがない。
ジューザラスの部下が大体どんな神なのか想像できてしまう。
でも、己を強くするためには、こんな事で戸惑っている場合じゃない。
「スキル《神族召喚》」
俺がそう発した直後、同じように金の光が放ち始めた。
俺は腕で顔を覆い、光を目に入れないようにする。
こうでもしないと、しばらく普通に見る事が出来なくなってしまう。
「眩しいぞ……何やっているんだ……」
「まだ私達寝てるのにぃ……」
何か声が聞こえるが、それには反応しないでおく。
起きる時間はそれぞれと言ったが、早起きはやっぱり大切だろ?
光りが収まっていくと、そこには長い黒髪にところどころ赤が混じり、右の瞳が黒、左の瞳が赤という独特な雰囲気が出ている女がいた。
「召喚してくれて……どうもです……。ジューザラス様の部下の……ルーレルです……。よろしくです……」
あれ……?
俺がしていた想像と全く違うぞ……。
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