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第三部
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立王太子式は結婚式が行われたのと同じ大聖堂と、もう一つ古い神殿での儀式があるのだという。
大聖堂での式の前に、巨大な岩のような水晶の塊が置かれている部屋にカミーユとアレクは案内された。
ほとんどの行事は事前に手順を覚えてきたけれど、この部屋のことは言われたとおりに振る舞えば良い、としか聞いていない。ダイモス王国の伝統的な儀式なのだという。
立ち会うのは王族と高位の司祭のみ。
「僕はよく知らないんだけど、王太子としての資質を占い、将来の道筋への啓示を受けるって。啓示については本人しか聞き取れない。記録を残していた王太子もいるけど、ほとんどの人が口を閉ざしているから何を言われるのかわからないんだよね」
「啓示……というのは妃も?」
「そう。妃としての啓示らしいんだけど」
儀式が始まるまで潔斎のため、と案内された部屋でアレクは肩を竦める。
ダイモスの神は決まった姿を持たない。時には半獣半身のような姿で、あるいは獣の姿で現れるのだという。
あの巨大な水晶はその前に立ったとき、初代国王が神から啓示を受けたという言い伝えがあって、神殿の最も奥に安置されていると書物で読んだことがあった。
「お前弱っちいから王なんて無理、とか言われたら凹むよねえ……」
アレクはカミーユが緊張しているのに気づいてかふにゃりと脱力した様子でもたれかかってくる。
「それを言ったらわたしも何を言われるか……」
この国に来たときに神殿で改宗手続きをしたので、カミーユは隣国出身ではあっても異教徒ではない。けれど、神の方は自分をどう見ているのか。
長く幽囚であった者などに王太子妃、ひいては将来の王妃は務まらないと言われてしまったら……。それでも努力するしかないのだけれど。
「まあでも、ご褒美を楽しみにして乗り切ろうね」
「ご褒美? 何かあったの?」
何のことかわからずにカミーユが問い返すと、アレクは満足げな笑みを浮かべる。
「新婚旅行休暇、勝ち取りました。母上にめっちゃごねられたんだけど」
どうやらアレクが国王夫妻に交渉していた休暇を許されたらしい。
アレクの母、つまり王妃はせっかくできた息子の嫁ととにかく交流したかったらしい。
『お茶会とか刺繍の会とか……それに一緒にお買い物したりおしゃべりしたかったのに、どうして領地に連れて行っちゃうの。私も息子の嫁と遊びたいのに』
と大騒ぎして、エドガー王がなんとか宥めてくれたのだとか。もともと王妃は個人的に交流している女性の友人が少ないらしい。
いずれマーガレット嬢がレイモンドに嫁いできたとしても、レイモンドは第二妃の子だから息子の嫁と思うにはちょっと距離感が違うだろう。
……お茶会とかに誘ってくださるおつもりだったのか。申し訳なさ過ぎる。何か刺繍をしたものをあとで贈らせていただこう。
「まあ、もともと転送魔法つかえば行き来できるんだから、すぐにでもカーネルに帰っちゃってもいいんだし」
元々アレクは転送魔法を覚えてからは王宮の自室にはあまりものを置いていないのだという。領地から王宮に少ない従者を連れてふらっと通っていたらしい。あの魔法陣は継続型のものなので、以前アレクが宿屋に設置していたものとは違い、何度も使用可なのだとか。
ただ、大きな行事の時だけはそれでは体裁が悪いからと護衛や使用人たちもつれて王宮に滞在しているふりをしていたらしい。
弱っちいとか言うけど、アレクの魔法は力での強さと同じ物差しで測れない。単純な力よりも時には遙かに強力なものだ。それがこの国への益にならないはずがない。
それがわかれば彼に対する反発もいずれ消えていくだろう。
「だから先の楽しみだけ考えていれば、儀式なんてさっさと終わっちゃうよ」
アレクの言葉にカミーユは頷いた。
儀式は聖句を唱える司祭の声が響いていた。
カミーユとアレクは淡い灯りの中で祭壇に向かって並んで歩み出した。
巨大な水晶の塊の前にしつらえられた祭壇に長い錫杖が置かれている。先端の飾りにも水晶があしらわれている。
荘厳な雰囲気にカミーユは戸惑った。
カミーユの祖国は一神教で、女神を祀っていた。人族の国はほぼ同じ宗教だと聞いている。権力と資産を持ち、華やかな建築様式の神殿と美しくも派手な神像が立てられているのだという。カミーユは目にすることはなかったけれど。
シーニュでは身分にかかわらず神殿で女神に初めて拝礼したときに、特殊な刺青を右手の甲に施される。実はシーニュで亜人と人族を区別するのにもこの刺青が使われているほどだ。
けれど、カミーユは女神の刺青がない。亜人のバルバラにもなかったので気にはしていなかったけれど、おそらく離宮から出たことがないから神殿に行かなかったのだろう。
……そのせいなのか、私はシーニュでは神様の存在を感じることができなかった。ずっと閉じこめられた生活をしていても、祈りの言葉を忘れることはなかったのに。
それなのに、この部屋に入ったときから強い圧を感じていた。威圧でもなく、ただ自分とは全く違う存在の気配。
「これはご神体からこぼれた水晶で作られた杖でございます。これを手にした者の将来を神が導くとされています。お二人でこれをお持ちになってください」
そう言われて差し出された杖をアレクとカミーユは並んで拝領して、水晶の塊に頭を下げた。
その瞬間周囲がまばゆい光に照らされて、真っ白になった。
『これは随分と珍しい魂だ。何者にもなれるというのに、一国の王の妃を選んだか』
声というより空気の揺れが音になって頭の中に響いているような感覚。
……誰? わたしは今まで選ぶことなんてできなかった。気づいたら王宮の隅で暮らしていて、いきなり塔に閉じこめられて……。
ああそうか、わたしが唯一選んだのは、アレクを信じるかどうかだ。アレクを好きになって彼を信じてあの塔から出ることをわたしは選んだ。王妃になることを選んだわけではないけれど、結果としてそうなっただけだ。
……ではわたしはまだ、選ばなくてはならないことがあるのだろうか。
『おぬし自身が一国の王になることもできるだろうし、聖者として支配することもできる。自由な冒険者として生きることも、市井で静かに暮らすことも。それでもその王の妃を選ぶのか』
「わたしはただ、アレクの側で生きていきたいのです。肩書きはなんでもかまいません」
カミーユは思わず声にだして答えた。
幾度選択を突きつけられても、結果はきっと変わらない。わたしはあの塔から連れ出してくれたアレクを、この国で力に打ちのめされながらも優しさを失わなかったアレクを、たとえ彼が何も持たない人であったとしても選ぶだろう。
『……では、この先のそなたにとって必要なことを教えておこう。女神はどうやら王の選定を誤った。いずれそれはこの国にも諍いを呼ぶだろう。知ることだ。塔の中でひたすらに刃を研いできたおぬしは、これから世界を知らなければならない』
……知ること? 女神の国との諍いが起きる?
カミーユはそれが自分の祖国を指し示しているのだと理解した。
その次の瞬間頭の中に見たこともない光景がいくつも浮かび上がる。
……これは何?
直接頭の中に流し込まれるような感覚に、カミーユは額を押さえた。
その光景はカミーユの心を揺さぶり、惑わせるに充分だった。
真夜中に灯りを持った男たちが一件ずつ家を訪れて中の人を運び出してくる。眠っているのか全く動かない人々を餞別して荷馬車に載せる。次々と馬車は町から走り去って行き、その翌朝、今度は立派な甲冑を着た軍隊が現れて町の中へ。
そこで家の中が空っぽで、残されて殺されている者もいることがわかる。
調査しようとした軍はそこで突然暴徒化した人々に襲われ衝突するも、沈静化に失敗して撤収を余儀なくされる。
場面は山の中に切り替わる。山を切り開いて大きな横穴が開いている。大勢の人足や大きな荷車が出入りしている。人足の足は鎖で繋がれていて、剥き出しの腕には奴隷の焼き印が見える。
そして、彼らの右手には女神の刺青がない。……ということは亜人なのか。
その光景をつなぎ合わせていくうちにカミーユの中に疑念が大きく膨れ上がってきた。
……ディマンシュの事件の前年、ドミニク三世の領地で疫病騒ぎがあった。特に衛生状態が悪かった鉱山の町を中心に広がったという記録がある。けれどドミニク三世の手腕で鉱山の産出量を大きく落とすことなく建て直した、という賞賛で締めくくられていた。
それを書物で読んだ時、疫病で多くの死者を出したのにどうして産出量を減らさずにいられたのか不思議だった。奴隷だって人足として大量に買い入れるのならお金がかかるし、その分は赤字になるはずだから。
しかもドミニク三世の所領ではその鉱山が大きな利益を占めていた。
……いったいどうやって、鉱山を維持できたのか。
ロラン王子の従者は、ディマンシュで暮らしていた記憶を持っていて、親と引き離されて全くちがう町の孤児院にいたと言っている。
亜人奴隷が多い鉱山。多くの人が攫われた町。それを繋ぐのはあの事件しかない。
……もしこれが本当ならば、急がなくてはならない。
随分と長い間、真っ白い世界で様々な光景を見せられた気がする。けれど、ふと気づくと光は収まって、司祭の言葉が聞こえてきた。
……何だったのだろう。今のは。夢だったんだろうか。いや、夢だったほうが良かったのに。こんなことを知らされては、わたしは……。
カミーユはそう思いながら、隣にいるアレクの顔を窺った。
じっと手にした杖を見つめて、硬い表情で動かない。
……彼は何を見せられたのだろう。
そう思うと不安がこみ上げてきた。
わたしとアレクの未来はこのまま寄り添っていられるのだろうか。
大聖堂での式の前に、巨大な岩のような水晶の塊が置かれている部屋にカミーユとアレクは案内された。
ほとんどの行事は事前に手順を覚えてきたけれど、この部屋のことは言われたとおりに振る舞えば良い、としか聞いていない。ダイモス王国の伝統的な儀式なのだという。
立ち会うのは王族と高位の司祭のみ。
「僕はよく知らないんだけど、王太子としての資質を占い、将来の道筋への啓示を受けるって。啓示については本人しか聞き取れない。記録を残していた王太子もいるけど、ほとんどの人が口を閉ざしているから何を言われるのかわからないんだよね」
「啓示……というのは妃も?」
「そう。妃としての啓示らしいんだけど」
儀式が始まるまで潔斎のため、と案内された部屋でアレクは肩を竦める。
ダイモスの神は決まった姿を持たない。時には半獣半身のような姿で、あるいは獣の姿で現れるのだという。
あの巨大な水晶はその前に立ったとき、初代国王が神から啓示を受けたという言い伝えがあって、神殿の最も奥に安置されていると書物で読んだことがあった。
「お前弱っちいから王なんて無理、とか言われたら凹むよねえ……」
アレクはカミーユが緊張しているのに気づいてかふにゃりと脱力した様子でもたれかかってくる。
「それを言ったらわたしも何を言われるか……」
この国に来たときに神殿で改宗手続きをしたので、カミーユは隣国出身ではあっても異教徒ではない。けれど、神の方は自分をどう見ているのか。
長く幽囚であった者などに王太子妃、ひいては将来の王妃は務まらないと言われてしまったら……。それでも努力するしかないのだけれど。
「まあでも、ご褒美を楽しみにして乗り切ろうね」
「ご褒美? 何かあったの?」
何のことかわからずにカミーユが問い返すと、アレクは満足げな笑みを浮かべる。
「新婚旅行休暇、勝ち取りました。母上にめっちゃごねられたんだけど」
どうやらアレクが国王夫妻に交渉していた休暇を許されたらしい。
アレクの母、つまり王妃はせっかくできた息子の嫁ととにかく交流したかったらしい。
『お茶会とか刺繍の会とか……それに一緒にお買い物したりおしゃべりしたかったのに、どうして領地に連れて行っちゃうの。私も息子の嫁と遊びたいのに』
と大騒ぎして、エドガー王がなんとか宥めてくれたのだとか。もともと王妃は個人的に交流している女性の友人が少ないらしい。
いずれマーガレット嬢がレイモンドに嫁いできたとしても、レイモンドは第二妃の子だから息子の嫁と思うにはちょっと距離感が違うだろう。
……お茶会とかに誘ってくださるおつもりだったのか。申し訳なさ過ぎる。何か刺繍をしたものをあとで贈らせていただこう。
「まあ、もともと転送魔法つかえば行き来できるんだから、すぐにでもカーネルに帰っちゃってもいいんだし」
元々アレクは転送魔法を覚えてからは王宮の自室にはあまりものを置いていないのだという。領地から王宮に少ない従者を連れてふらっと通っていたらしい。あの魔法陣は継続型のものなので、以前アレクが宿屋に設置していたものとは違い、何度も使用可なのだとか。
ただ、大きな行事の時だけはそれでは体裁が悪いからと護衛や使用人たちもつれて王宮に滞在しているふりをしていたらしい。
弱っちいとか言うけど、アレクの魔法は力での強さと同じ物差しで測れない。単純な力よりも時には遙かに強力なものだ。それがこの国への益にならないはずがない。
それがわかれば彼に対する反発もいずれ消えていくだろう。
「だから先の楽しみだけ考えていれば、儀式なんてさっさと終わっちゃうよ」
アレクの言葉にカミーユは頷いた。
儀式は聖句を唱える司祭の声が響いていた。
カミーユとアレクは淡い灯りの中で祭壇に向かって並んで歩み出した。
巨大な水晶の塊の前にしつらえられた祭壇に長い錫杖が置かれている。先端の飾りにも水晶があしらわれている。
荘厳な雰囲気にカミーユは戸惑った。
カミーユの祖国は一神教で、女神を祀っていた。人族の国はほぼ同じ宗教だと聞いている。権力と資産を持ち、華やかな建築様式の神殿と美しくも派手な神像が立てられているのだという。カミーユは目にすることはなかったけれど。
シーニュでは身分にかかわらず神殿で女神に初めて拝礼したときに、特殊な刺青を右手の甲に施される。実はシーニュで亜人と人族を区別するのにもこの刺青が使われているほどだ。
けれど、カミーユは女神の刺青がない。亜人のバルバラにもなかったので気にはしていなかったけれど、おそらく離宮から出たことがないから神殿に行かなかったのだろう。
……そのせいなのか、私はシーニュでは神様の存在を感じることができなかった。ずっと閉じこめられた生活をしていても、祈りの言葉を忘れることはなかったのに。
それなのに、この部屋に入ったときから強い圧を感じていた。威圧でもなく、ただ自分とは全く違う存在の気配。
「これはご神体からこぼれた水晶で作られた杖でございます。これを手にした者の将来を神が導くとされています。お二人でこれをお持ちになってください」
そう言われて差し出された杖をアレクとカミーユは並んで拝領して、水晶の塊に頭を下げた。
その瞬間周囲がまばゆい光に照らされて、真っ白になった。
『これは随分と珍しい魂だ。何者にもなれるというのに、一国の王の妃を選んだか』
声というより空気の揺れが音になって頭の中に響いているような感覚。
……誰? わたしは今まで選ぶことなんてできなかった。気づいたら王宮の隅で暮らしていて、いきなり塔に閉じこめられて……。
ああそうか、わたしが唯一選んだのは、アレクを信じるかどうかだ。アレクを好きになって彼を信じてあの塔から出ることをわたしは選んだ。王妃になることを選んだわけではないけれど、結果としてそうなっただけだ。
……ではわたしはまだ、選ばなくてはならないことがあるのだろうか。
『おぬし自身が一国の王になることもできるだろうし、聖者として支配することもできる。自由な冒険者として生きることも、市井で静かに暮らすことも。それでもその王の妃を選ぶのか』
「わたしはただ、アレクの側で生きていきたいのです。肩書きはなんでもかまいません」
カミーユは思わず声にだして答えた。
幾度選択を突きつけられても、結果はきっと変わらない。わたしはあの塔から連れ出してくれたアレクを、この国で力に打ちのめされながらも優しさを失わなかったアレクを、たとえ彼が何も持たない人であったとしても選ぶだろう。
『……では、この先のそなたにとって必要なことを教えておこう。女神はどうやら王の選定を誤った。いずれそれはこの国にも諍いを呼ぶだろう。知ることだ。塔の中でひたすらに刃を研いできたおぬしは、これから世界を知らなければならない』
……知ること? 女神の国との諍いが起きる?
カミーユはそれが自分の祖国を指し示しているのだと理解した。
その次の瞬間頭の中に見たこともない光景がいくつも浮かび上がる。
……これは何?
直接頭の中に流し込まれるような感覚に、カミーユは額を押さえた。
その光景はカミーユの心を揺さぶり、惑わせるに充分だった。
真夜中に灯りを持った男たちが一件ずつ家を訪れて中の人を運び出してくる。眠っているのか全く動かない人々を餞別して荷馬車に載せる。次々と馬車は町から走り去って行き、その翌朝、今度は立派な甲冑を着た軍隊が現れて町の中へ。
そこで家の中が空っぽで、残されて殺されている者もいることがわかる。
調査しようとした軍はそこで突然暴徒化した人々に襲われ衝突するも、沈静化に失敗して撤収を余儀なくされる。
場面は山の中に切り替わる。山を切り開いて大きな横穴が開いている。大勢の人足や大きな荷車が出入りしている。人足の足は鎖で繋がれていて、剥き出しの腕には奴隷の焼き印が見える。
そして、彼らの右手には女神の刺青がない。……ということは亜人なのか。
その光景をつなぎ合わせていくうちにカミーユの中に疑念が大きく膨れ上がってきた。
……ディマンシュの事件の前年、ドミニク三世の領地で疫病騒ぎがあった。特に衛生状態が悪かった鉱山の町を中心に広がったという記録がある。けれどドミニク三世の手腕で鉱山の産出量を大きく落とすことなく建て直した、という賞賛で締めくくられていた。
それを書物で読んだ時、疫病で多くの死者を出したのにどうして産出量を減らさずにいられたのか不思議だった。奴隷だって人足として大量に買い入れるのならお金がかかるし、その分は赤字になるはずだから。
しかもドミニク三世の所領ではその鉱山が大きな利益を占めていた。
……いったいどうやって、鉱山を維持できたのか。
ロラン王子の従者は、ディマンシュで暮らしていた記憶を持っていて、親と引き離されて全くちがう町の孤児院にいたと言っている。
亜人奴隷が多い鉱山。多くの人が攫われた町。それを繋ぐのはあの事件しかない。
……もしこれが本当ならば、急がなくてはならない。
随分と長い間、真っ白い世界で様々な光景を見せられた気がする。けれど、ふと気づくと光は収まって、司祭の言葉が聞こえてきた。
……何だったのだろう。今のは。夢だったんだろうか。いや、夢だったほうが良かったのに。こんなことを知らされては、わたしは……。
カミーユはそう思いながら、隣にいるアレクの顔を窺った。
じっと手にした杖を見つめて、硬い表情で動かない。
……彼は何を見せられたのだろう。
そう思うと不安がこみ上げてきた。
わたしとアレクの未来はこのまま寄り添っていられるのだろうか。
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