【完結】剣聖と聖女の娘はのんびりと(?)後宮暮らしを楽しむ

O.T.I

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剣聖の娘、裏組織と戦う!

エステルvsクレイ

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「集合!!」

 ディセフが号令をかけ、訓練場にいた騎士・兵士を集合させる。
 ディセフの横にアルドとマリアベル(アルド達の後からやって来た)が立ってるのに気付いた彼等は、その場で臣下の礼を取ろうとするが……アルドはそれを手で制して言う。

「そのままでいい。俺たちのことは気にするな」


 そうすると、今度はクレイ、ギデオンに注目が集まる。
 そして、先程から騎士たちが気にしていたエステルにも。
 それを察したディセフが紹介を始めた。


「あ~、先ずはこちらの二人だが……格好を見れば分かると思うが、新たに我が王国騎士団に加わることになったクレイとギデオンだ。先程、任命されたばかりだな。二人とも相当な実力者で、即戦力となるのは間違いないだろう」

「よろしくお願いします」

「ぃしゃっす!!」

 ディセフの紹介を受けて二人は前に出て挨拶をする。
 すると、先輩騎士たちから拍手や「よろしく!」と言った歓迎の声が上がった。


 そして、残ったエステルへと注目が集まった。

「あ~……彼女は、何というか」

 そこでディセフはアルドに、ちら……と視線を向けたが、彼は特に説明する気は無いようだ。
 仕方なくディセフは自ら説明を続けた。

「詳細はこのあと隊長格の者に話をするんだが……近日中に大規模作戦が行われるという話は皆も聞いているだろう」

 ディセフはそう切り出したが、謎の少女エステルの紹介をするかと思っていた騎士たちは戸惑いの表情を見せた。
 だが、その疑問は直ぐに解消される。

「その作戦で重大な役割を担ってもらう事になっているのが、こちらのエステル嬢だ」

「みなさんこんにちは!!未来の聖女騎士エステルです!!よろしくお願いします!!」

 元気よく挨拶するエステルだが……『聖女騎士』なる聞き慣れない単語に、みんな頭に疑問符を浮かべていた。


(……聖女騎士って何だよ。まぁ、確かにコイツは野良聖女で、何れは騎士になるつもりだろうが。あぁ、だから『未来の』って付けたのか。一応コイツなりに考えてるんだなぁ)

 内心で妙な関心をするクレイである。


「……コホン。とにかく、彼女が作戦の要なのは間違いない。それでだな、これから彼女と騎士クレイが手合わせをするんで、その実力の程を皆にも知って欲しい」

 ディセフがそう言うと、今度は驚きの視線がエステルに集まった。
 どう見ても戦いとは無縁そうに見えるので彼らの反応は当然だろう。


「二人とも、武器はあそこにあるものを自由に使ってもらって構わない」

 ディセフが指し示した先には、訓練用の武器類が保管されている一画があった。

 エステルとクレイは早速そこで武器を吟味する。


「う~ん……どれがいいかな~……よし!これにしよう!!」

 彼女が選んだのは、以前ウィフニデアの騎士団で手合わせしたときと同じような、自身の背丈ほどもある木製の大剣だ。
 木製とは言え少女の細腕では持ち上げることすら困難と思われるそれを、エステルは難なく振り回している。
 それを見た騎士たちの反応も、かつてのウィフニデア騎士団の面々と似たようなものだった。



 対するクレイと言えば……

「お前が相手なら本気で行かないとな……(じゃないと、コイツ容赦ないから殺される)」

 エステルはクレイが相手なら全力を出してくるので、まさに命がけである。
 下手に気を抜いたら本当に死にかねないのだ。


「よし……こいつで良いか」

 そう言って彼が選んだのは……二振りのショートソードだが、右手に持つのは長め、左手に持つのは短めのもの。
 要するに、二刀流である。

 本来、彼が師ジスタルから教わったのは、あくまでも片手剣の技だ。
 このスタイルは、エステルと手合わせする中で彼女に対抗するために、彼が自分自身で編み出したものである。



 そうして武器を選んだ二人は、訓練場の中央で対峙する。

 エステルは正眼の構え。
 一方のクレイは、やや右前の半身になって両腕の力を抜き、剣の切っ先は地面を向く独特な構えだ。


「今回も勝たせてもらうよ!クレイ!」

「さて、どうかな……その慢心が命取りかもしれないぞ?」

 挑発し合う二人。
 お互いに幼い頃から何度も対戦してきた相手ゆえに、手の内は知り尽くしているが……果たして、今回の勝敗の行方は如何に?



「よし、では合図は俺が……」

「ちょっと待て、ディセフ。その前に……マリア、結界を頼む」

 ディセフが開始の合図しようとしたとき、アルドがそれを遮って妹に結界の魔法を使うように指示する。


「え?……うん、分かったわ、兄様」

 マリアベルは一瞬、「そんな大袈裟な……」と思ったが、エステルが兄と互角の力を持つと聞いたのを思い出して、言われた通りにする。


『聖なる光よ、我らを護る盾となれ』

 マリアベルが詠唱すると、観客を護るように淡い光の壁が現れた。


「よし、これで良いだろう。思う存分やってくれ」

「姫、ありがとうございます。……では、始め!!」


 ディセフの開始の合図が訓練場に響き渡る。


 エステル対クレイ。
 その戦いの火蓋が切られた……!

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