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話し合い ③
しおりを挟む「いい大人が俺と瑞稀を別れさせるため、瑞稀を待ち伏せしたり、手切れ金を渡したり、よくもそんな恥ずかしいことができましたね。俺は瑞稀をこんなに苦しめたあなた達が憎い。でも俺は冷静に話をしようとここに来ました。なのにあなた達は反省どころか、まだ瑞稀を馬鹿にしたような態度。心底嫌気がさしました。金輪際俺たちに関わらないでください」
ギリリっと晴人は嫌悪感を隠そうともせず、実の両親を睨んだ。
このままでは、本当に晴人さんと旦那様、奥様が喧嘩別れしてしまう。
「晴人さん。僕は大丈夫です」
怒りに震える晴人の手を瑞稀は握り、座ってくださいと目で訴える。
晴人は瑞稀の意図を汲み取ったように、静かに座った。
「僕はただ、小切手をお返しして、晴人さんと旦那様、奥様が以前のように仲良くしていただきたいだけです」
鞄の中から一度も使われなかった小切手を取り出し、
「奥様、いただいた小切手、お返ししたいと思います」
すっと母親の前に差し出す。
母親はそれを見つめ、苦虫を噛み潰したような顔で瑞稀を睨んだ。
「確かに僕はあの時、この小切手を受け取りました。でも僕はこの小切手が欲しくて晴人さんの前からいなくなったわけじゃないんです。僕はただ晴人さんの幸せを願っていたんです。決して旦那様と奥様との関係を悪くしよとなんて、あの時も今も思っていません。それだけはわかってください」
瑞稀は2人の目を見て、しっかりと言った。
昔、瑞稀の母と晴人の住む屋敷で暮らしていた時から、晴人の両親は晴人を心から愛していることを、近くで見てきた。
瑞稀に晴人と別れるように話をしたのも、晴人のためだと思ってのことだと、瑞稀も今ではよくわかっている。
でも晴人は昨日、自分と一緒にいたいと言ってくれた。
選んでくれた。
そして自分も晴人と一緒にいたいと願った。
100%晴人の両親に怒りがあるわけではないが、もう、晴人の幸せのために離れ離れになってほしいといわれても、晴人と一緒にいること、それは絶対に譲れないと思った。
「影口を言われているのを庇ってあげたり、働きやすいようにと住み込みさせてあげ、あんなによくしてあげていたのに、こんな風に恩を仇で返すなんて、ほんとにどんな教育をされたのか……」
「!!」
怒りで血相を変えた晴人が何か言おうとしたのを、瑞稀が
「大丈夫です」
止めた。
「旦那様と奥様には、本当によくしていただきました。感謝しています。でも今回のことと母の育て方とは全く別の話です。僕は……晴人さんと選んだ道を進んでいくとお伝えしたかっただけです」
「……」
「僕は幼い頃から奥様も旦那様も、お優しい方だと感じていました。今、奥様も旦那様も晴人さんが実家に寄りつかなくなったことを悲しまれて、そんなことを言われてるだけだってわかるんです。僕のことはいいんです。でも晴人さんとしっかりと話をして、以前のような関係に戻ってほしいんです。それが僕の願いです」
晴人が父親を尊敬し、医者の道を選んだあの頃に。
母親を大事にしていたあの頃の家族に、瑞稀は戻って欲しかった。
完全に壊れてしまう前に、家族の絆をもとに戻したかった。
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