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78. 結婚式
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大聖堂のステンドグラスが彩る光の中、僕とフレッドは二人並んで司祭の前に立っていた。
僕は、肩と胸元に金糸の刺繍で家紋の施された、深紅のベルベットのローブを羽織り、隣に立つフレッドは、同じく肩と胸元に銀糸で刺繍された家紋が映える、エメラルドグリーンのベルベットのローブをまとっている。
お揃いのデザインのローブは、これからずっと寄り添って歩んでいく僕たちの、未来を表しているようでとても幸せな気持ちになった。
静粛な雰囲気の中、司祭の厳かな声が響き渡り、僕たちは誓いの言葉を交わす。
「汝、フレドリック・アーホルンは、このミッチェル・ハイネルを伴侶として受け入れ、病める時も健やかなる時も、富める時も貧しき時も、愛し、敬い、慰め、助け、死が二人を分かつまで、これを守ることを誓いますか?」
「はい、誓います」
「汝、ミッチェル・ハイネルは、このフレドリック・アーホルンを伴侶として受け入れ、病める時も健やかなる時も、富める時も貧しき時も、愛し、敬い、慰め、助け、死が二人を分かつまで、これを守ることを誓いますか?」
「はい、誓います」
司祭の言葉をじっくりと噛み締めていたら、今まで胸に込み上げてきていたものが、とうとう溢れ出してきた。
僕の視界が涙でどんどん歪んでいく。
誓いの言葉を言い終えると、司祭は僕たちに「では、指輪の交換を……」と、僕たちの思い出の指輪を差し出した。
僕はフレッドの指輪を、フレッドは僕の指輪を手に取り、お互い向き合った。
フレッドはプロポーズをしたあの時と同じように、優しく僕の手を取り、そっと指に指輪をはめた。僕も同じように、フレッドの指に指輪をはめた。
僕たちの指輪の交換を確認すると、司祭が微笑みながら言葉を続ける。
「それでは、誓いのキスを」
司祭の言葉を合図に、フレッドは僕の両手を優しく手に取り、きゅっと握りしめた。僕も握られた手を、そっと握り返す。
そしてお互いを見つめ合い、優しくそっと触れるだけの、誓いのキスをした。
「今ここで、あなたたちは夫夫となりました。おめでとうございます」
司祭の宣言とともに鐘の音が高らかに響き、僕たちの結婚の誓いが完了した。
僕とフレッドは見つめ合い、これからの未来を思い描きながら微笑んだ。
幸せな気持ちに包まれたまま、滞りなく式を終えた僕たちは、皆にお披露目するために、アーホルン公爵家の庭へ移動した。
そこには先ほど式に参列してくれた人たちの他に、披露宴に招待された人々が待ち構えていた。
僕たちは、集まってくれた人たちへ挨拶をするために、用意された主賓席へと向かった。
着席する前に、二人並んで深くお辞儀をした。そしてフレッドが来賓に向かって挨拶を始めた。
フレッドの男らしく凛々しい声を聞いていたら、僕がアーホルン領民に初めて挨拶をしたあの日の夜に、フレッドが僕に触れるだけの優しいキスをして「この先は、結婚式が終わるまで、おあずけだな」と悪戯に言ったのを急に思い出した。
まさにその結婚式が今日行われている。ということは……そう考えた僕の体が、カッと熱くなるのを感じた。あいさつの最中だと言うのに、僕の中に湧き出た感情にいたたまれなくなってしまう。
熱くなった顔をごまかすように下を向くと、参列者から「あらあら、可愛らしいわ。照れていらっしゃるわよ」という声が聞こえてきた。
僕の心の邪の部分を知らずに、参列者たちは純粋無垢な僕を微笑ましい瞳で見つめてくるものだから、ますます顔が上げられなくなる。
「ミッチ。どうした? 恥ずかしいのか?」
フレッドが心配そうに僕に声をかけてくれる。でもきっと、フレッドには僕の気持ちは筒抜けなのだと思う。
僕は返事をする代わりに、ローブの端をツンツンと引っ張った。
そんな態度の僕を見て、フレッドはふっと笑みを漏らした。
「ミッチは可愛いな」
フレッドの言葉に、僕の顔はますます赤くなってしまう。
出会ったばかりの頃のフレッドは、ずっとなにかに遠慮をしていて、言葉も少な気な少年だった。
それが今はどうだろう。自信に溢れ、自分の気持ちをストレートに伝えてくれる。
「もう……フレッドってば」
僕は照れ隠しで、フレッドの腕を服越しにペシペシと叩いた。
「ミッチ、愛してる」
参列者の前で、挨拶の途中なのにもかかわらず、フレッドは僕にそう言うと、頬にチュッとキスをした。
こんな僕たちのやり取りを見た参列者たちからは、大きな歓声と拍手が起きた。
悔しいから、僕だってフレッドへの気持ちを伝えるんだ。
「僕も、愛してる!」
僕はそう言いながらくっと背伸びをして、フレッドの頬に『愛してる』のキスをした。
僕は、肩と胸元に金糸の刺繍で家紋の施された、深紅のベルベットのローブを羽織り、隣に立つフレッドは、同じく肩と胸元に銀糸で刺繍された家紋が映える、エメラルドグリーンのベルベットのローブをまとっている。
お揃いのデザインのローブは、これからずっと寄り添って歩んでいく僕たちの、未来を表しているようでとても幸せな気持ちになった。
静粛な雰囲気の中、司祭の厳かな声が響き渡り、僕たちは誓いの言葉を交わす。
「汝、フレドリック・アーホルンは、このミッチェル・ハイネルを伴侶として受け入れ、病める時も健やかなる時も、富める時も貧しき時も、愛し、敬い、慰め、助け、死が二人を分かつまで、これを守ることを誓いますか?」
「はい、誓います」
「汝、ミッチェル・ハイネルは、このフレドリック・アーホルンを伴侶として受け入れ、病める時も健やかなる時も、富める時も貧しき時も、愛し、敬い、慰め、助け、死が二人を分かつまで、これを守ることを誓いますか?」
「はい、誓います」
司祭の言葉をじっくりと噛み締めていたら、今まで胸に込み上げてきていたものが、とうとう溢れ出してきた。
僕の視界が涙でどんどん歪んでいく。
誓いの言葉を言い終えると、司祭は僕たちに「では、指輪の交換を……」と、僕たちの思い出の指輪を差し出した。
僕はフレッドの指輪を、フレッドは僕の指輪を手に取り、お互い向き合った。
フレッドはプロポーズをしたあの時と同じように、優しく僕の手を取り、そっと指に指輪をはめた。僕も同じように、フレッドの指に指輪をはめた。
僕たちの指輪の交換を確認すると、司祭が微笑みながら言葉を続ける。
「それでは、誓いのキスを」
司祭の言葉を合図に、フレッドは僕の両手を優しく手に取り、きゅっと握りしめた。僕も握られた手を、そっと握り返す。
そしてお互いを見つめ合い、優しくそっと触れるだけの、誓いのキスをした。
「今ここで、あなたたちは夫夫となりました。おめでとうございます」
司祭の宣言とともに鐘の音が高らかに響き、僕たちの結婚の誓いが完了した。
僕とフレッドは見つめ合い、これからの未来を思い描きながら微笑んだ。
幸せな気持ちに包まれたまま、滞りなく式を終えた僕たちは、皆にお披露目するために、アーホルン公爵家の庭へ移動した。
そこには先ほど式に参列してくれた人たちの他に、披露宴に招待された人々が待ち構えていた。
僕たちは、集まってくれた人たちへ挨拶をするために、用意された主賓席へと向かった。
着席する前に、二人並んで深くお辞儀をした。そしてフレッドが来賓に向かって挨拶を始めた。
フレッドの男らしく凛々しい声を聞いていたら、僕がアーホルン領民に初めて挨拶をしたあの日の夜に、フレッドが僕に触れるだけの優しいキスをして「この先は、結婚式が終わるまで、おあずけだな」と悪戯に言ったのを急に思い出した。
まさにその結婚式が今日行われている。ということは……そう考えた僕の体が、カッと熱くなるのを感じた。あいさつの最中だと言うのに、僕の中に湧き出た感情にいたたまれなくなってしまう。
熱くなった顔をごまかすように下を向くと、参列者から「あらあら、可愛らしいわ。照れていらっしゃるわよ」という声が聞こえてきた。
僕の心の邪の部分を知らずに、参列者たちは純粋無垢な僕を微笑ましい瞳で見つめてくるものだから、ますます顔が上げられなくなる。
「ミッチ。どうした? 恥ずかしいのか?」
フレッドが心配そうに僕に声をかけてくれる。でもきっと、フレッドには僕の気持ちは筒抜けなのだと思う。
僕は返事をする代わりに、ローブの端をツンツンと引っ張った。
そんな態度の僕を見て、フレッドはふっと笑みを漏らした。
「ミッチは可愛いな」
フレッドの言葉に、僕の顔はますます赤くなってしまう。
出会ったばかりの頃のフレッドは、ずっとなにかに遠慮をしていて、言葉も少な気な少年だった。
それが今はどうだろう。自信に溢れ、自分の気持ちをストレートに伝えてくれる。
「もう……フレッドってば」
僕は照れ隠しで、フレッドの腕を服越しにペシペシと叩いた。
「ミッチ、愛してる」
参列者の前で、挨拶の途中なのにもかかわらず、フレッドは僕にそう言うと、頬にチュッとキスをした。
こんな僕たちのやり取りを見た参列者たちからは、大きな歓声と拍手が起きた。
悔しいから、僕だってフレッドへの気持ちを伝えるんだ。
「僕も、愛してる!」
僕はそう言いながらくっと背伸びをして、フレッドの頬に『愛してる』のキスをした。
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