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77. この先は……
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自分たちが生きるのに精一杯な中、他の領土から逃げてきたオメガを助けた、アーホルン領土の民。
助けるために手を差し伸べたものの、十分な食料を与えることもできず、体調の良くない者にまともな治療を受けさせることもできなかった。
けれど、少しずつ状態は改善されていき、受け入れたオメガたちが一人も欠けることなく、やっと普通の暮らしができるようになってきた。
ある時、オメガたちのリーダー格の男性がやってきて『ありがとうございます。あのままあの街にいたら、私たちは皆命を落としていたかもしれません』と礼を言ってきた。その言葉を聞き、この街を出ていってしまうのかとさみしく思っていたら、『お礼にこの街の復興のお手伝いをさせてください』と言い出した。
残された領民とオメガたちは、協力して領土の復興に励んだ。
一緒に生活をする中で、いつしか領民とオメガたちの中には恋仲になるものも現れた。
オメガは男でも女でも生むことのできる性。愛が芽生え、新しい命を授かり、子が増える。
長い長い年月がかかったが、領土はどんどん豊かになっていった。
「ご先祖様が、オメガを忌み嫌い遠ざけず、自分たちも苦しい生活の中助けたことで、今この地は安定している。だから、オメガこそがこの領土を救った恩人だと、現代まで言い伝えられているそうだ」
「そんな歴史があったんだね」
「文献に残っているわけではないから、本当の理由などわからない。けれど、今のアーホルン領があるのは、ご先祖様の優しさと、その恩を忘れなかったオメガたちのおかげだと言われているんだ」
言い伝えとして残されているだけで、実際のところはどうだったのかわからない。
それでも、今この時代に、オメガを差別することなく、皆平等にという考えを持つ人達がここにいることだけは、確かなんだと思う。
「だから、アーホルン領土の人たちは、オメガに対して偏見どころか、大歓迎で迎え入れるんだ。特に当主の伴侶がオメガだとわかると、アーホルン領土の未来は安泰だと、お祭り騒ぎになるのだと言っていた」
「だから、僕に対してもあんな感じだったんだね」
僕は昼間のふれあいを思い出し、自然と口元を緩ませた。あんなに幸せで楽しい時間は久しぶりだった。
オメガと分かる前は、ハイネル領のみんなと街に繰り出したりすることもあった。あの幸せな日々が、再び戻ってくるなんて。
「前世でも、生まれ変わってもオメガだったミッチが、自分らしくいられる場所。それがアーホルン公爵家であり、アーホルン領土なんだと思う」
「そんな素敵な場所に、僕を導いてくれてありがとう」
「前世では、叶わなかった願いも、ここなら叶うんだ」
「うん……。夢みたいだ」
フレッドはテーブル越しに僕の手を取ると、婚約指輪にそっと唇を落とした。
「これからはずっと一緒だ。もう二度と離さない」
「うん……うん……」
まるで結婚式の誓いのような言葉に、僕の瞳からは涙が溢れ出てくる。
僕も、「二度と離れるつもりはないよ」と伝えたいのに、溢れ出る涙がそれを阻み、ただ「うん」とうなずくことしかできなかった。
フレッドの瞳が、まっすぐ僕を捉える。そしてフレッドは身を乗り出すようにして僕に顔を近づけてきた。
僕は合図をするように、そっと瞳を閉じると、唇に温かなものが優しく触れた。
「この先は、結婚式が終わるまで、おあずけだな」
優しすぎるふれあいに、もっと……と物足りなくなっている僕に掛けられた言葉。
その言葉を理解するより前に、ぱっと目を開けると、目の前にはにやりと笑うフレッドの顔があった。
「あっ……」
それと同時に言葉の意味を理解すると、涙がピタッと止まり、今度は一気に顔が熱くなる。
そ、そうだよ。結婚するということは、そういうことで.......。全然おかしくないし、それが普通で。でも、フレッドと? え? 待って、僕とフレッドと……?
前世でリクと恋人だったときだって、結婚の約束はしたけど、まだ清い関係のままだった。
生まれ変わった今だって、色々あって、やっと二人の気持ちを確かめあったばかりで、キスだってそっと触れるだけで……。
「うわーっ!!」
急にめちゃくちゃ恥ずかしくなって、僕は叫びながら顔を覆った。
顔を覆ってしまった僕には見えなかったけど、きっと楽しそうに笑うフレッドが目の前にいたのだと思う。
助けるために手を差し伸べたものの、十分な食料を与えることもできず、体調の良くない者にまともな治療を受けさせることもできなかった。
けれど、少しずつ状態は改善されていき、受け入れたオメガたちが一人も欠けることなく、やっと普通の暮らしができるようになってきた。
ある時、オメガたちのリーダー格の男性がやってきて『ありがとうございます。あのままあの街にいたら、私たちは皆命を落としていたかもしれません』と礼を言ってきた。その言葉を聞き、この街を出ていってしまうのかとさみしく思っていたら、『お礼にこの街の復興のお手伝いをさせてください』と言い出した。
残された領民とオメガたちは、協力して領土の復興に励んだ。
一緒に生活をする中で、いつしか領民とオメガたちの中には恋仲になるものも現れた。
オメガは男でも女でも生むことのできる性。愛が芽生え、新しい命を授かり、子が増える。
長い長い年月がかかったが、領土はどんどん豊かになっていった。
「ご先祖様が、オメガを忌み嫌い遠ざけず、自分たちも苦しい生活の中助けたことで、今この地は安定している。だから、オメガこそがこの領土を救った恩人だと、現代まで言い伝えられているそうだ」
「そんな歴史があったんだね」
「文献に残っているわけではないから、本当の理由などわからない。けれど、今のアーホルン領があるのは、ご先祖様の優しさと、その恩を忘れなかったオメガたちのおかげだと言われているんだ」
言い伝えとして残されているだけで、実際のところはどうだったのかわからない。
それでも、今この時代に、オメガを差別することなく、皆平等にという考えを持つ人達がここにいることだけは、確かなんだと思う。
「だから、アーホルン領土の人たちは、オメガに対して偏見どころか、大歓迎で迎え入れるんだ。特に当主の伴侶がオメガだとわかると、アーホルン領土の未来は安泰だと、お祭り騒ぎになるのだと言っていた」
「だから、僕に対してもあんな感じだったんだね」
僕は昼間のふれあいを思い出し、自然と口元を緩ませた。あんなに幸せで楽しい時間は久しぶりだった。
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「前世でも、生まれ変わってもオメガだったミッチが、自分らしくいられる場所。それがアーホルン公爵家であり、アーホルン領土なんだと思う」
「そんな素敵な場所に、僕を導いてくれてありがとう」
「前世では、叶わなかった願いも、ここなら叶うんだ」
「うん……。夢みたいだ」
フレッドはテーブル越しに僕の手を取ると、婚約指輪にそっと唇を落とした。
「これからはずっと一緒だ。もう二度と離さない」
「うん……うん……」
まるで結婚式の誓いのような言葉に、僕の瞳からは涙が溢れ出てくる。
僕も、「二度と離れるつもりはないよ」と伝えたいのに、溢れ出る涙がそれを阻み、ただ「うん」とうなずくことしかできなかった。
フレッドの瞳が、まっすぐ僕を捉える。そしてフレッドは身を乗り出すようにして僕に顔を近づけてきた。
僕は合図をするように、そっと瞳を閉じると、唇に温かなものが優しく触れた。
「この先は、結婚式が終わるまで、おあずけだな」
優しすぎるふれあいに、もっと……と物足りなくなっている僕に掛けられた言葉。
その言葉を理解するより前に、ぱっと目を開けると、目の前にはにやりと笑うフレッドの顔があった。
「あっ……」
それと同時に言葉の意味を理解すると、涙がピタッと止まり、今度は一気に顔が熱くなる。
そ、そうだよ。結婚するということは、そういうことで.......。全然おかしくないし、それが普通で。でも、フレッドと? え? 待って、僕とフレッドと……?
前世でリクと恋人だったときだって、結婚の約束はしたけど、まだ清い関係のままだった。
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「うわーっ!!」
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顔を覆ってしまった僕には見えなかったけど、きっと楽しそうに笑うフレッドが目の前にいたのだと思う。
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