スキル素潜り ~はずれスキルで成りあがる

葉月ゆな

文字の大きさ
56 / 62

第56話 経緯

しおりを挟む
フェリクスさんたち家族はこの館にしばらく滞在。

それ以外の人たちは、宿や綺麗にした空き家に分散して泊まる予定となっている。

出迎えた騎士たちが、誘導してくれているだろう。


半日ほど待つと馬車が2台、騎士たちに誘導されて屋敷に着いた。

「フェリクスさん。お久しぶりです。長旅お疲れさまでした。詳しい話は明日聞きますので、今日はしっかりと休んでください」

フェリクスさんの家族は、奥さんとお子さんが3人、侍女?お手伝いさんらしき若い女性が2人だった。


「無理を聞いていただきありがとうございます。皆を代表してお礼申し上げます」

フェリクスさんが私に頭を下げた。

「出来るだけのことはしますので安心してください」

今日はゆっくり休んでもらうため、我が家の侍女にフェリクスさん一家の案内を任せた。



翌日、応接室でフェリクスさんから、亡命に至った話を聞く。

簡単に言えば第2王子の失態と、海賊のアジトを潰しに行ったがもぬけの殻で、海賊と繋がっていると疑いを掛けられ辞職に追い込まれたらしい。


リカード隊長から受け取った父上からの手紙に、ラクトゥーワ王国内では第1王子派と第2王子派が、王位をめぐって国内が割れていること。

そして第2王子は国際会議の失態と、海賊と繋がっていて自国民を売った話が広がり、王位継承権をはく奪されたことが書かれていた。


「フェリクスさんは、第2王子派なのかな?」

「いえ、私は男爵家の3男ですし、実家は田舎なのでどちらの派閥にも属していないのです」

「それならばなぜ?」

「今回、海軍でも誰かが責任を取らないといけませんから・・・・」

フェリクスさんは言葉を選び、慎重に話をしていた。


「職を失ったとしても追放でないなら、なぜ我が領に?」

「ここでなら私の経験が役に立つと思いました」

なるほど、ラクトゥーワ王国内では再就職先がいい条件でなかったのかもしれない。

ならばどこが自分の価値を評価してもらえるところと考え、ここに来たということか。


海賊船だった船がそれなりにあるし、人材不足で船を持て余している状態だからね。

しかし思い切ったなぁー。


一緒に来た人たちは、フェリクスさんの部下たちとその家族らしい。

他国へ100人以上が一緒に来るなんて、フェリクスさん本当に慕われているんだね。

フェリクスさんたちを雇用することは決まっているが、詳細は今後詰めていく。

まずは生活ができるようにしてからの方が、みんな安心して仕事に励めるだろう。


目先のすることを決めたので、フェリクスさんは一緒について来てくれた人たちを安心させたいから、宿とか回ってきたいというので許可した。

要望があれば聞いて来てほしいと私はフェリクスさんに言い、騎士と一緒に行くように手配を指示して別れた。



しばらくして、今度はアラン副隊長が報告にやって来る。

以前誘拐されてラクトゥーワへ帰国希望の怪しい2人組と王都で再会したそうだ。

どうやらフェリクスさんの部下で、自国民の誘拐犯・・・海賊たちを追っていて逆に捕まってしまったらしかった。


あの時は怪しいとアラン副隊長たちに警戒されつつも、ラクトゥーワへ帰国することを許可してくれてことに感謝していると頭を下げられたそうだ。

フェリクスさんからも、お礼を言われたらしい。


アラン副隊長たちも、王都でフェリクスさんからある程度のことは聞いていたみたい。

「サザーランド氏は、おそらく独自に動いて海賊を討伐しようとしていて、逆に海賊と繋がっている者たちに辞職に追い込まれたのではないでしょうか?」

「海賊と繋がっていたのは第2王子派で、王子が失脚して第2王子派は海軍でも力を失ったのではないのか?」

フェリクスさんは、第1王子、第2王子どちらの派閥にも属していなかったと私に言っていたから疑問に思ったのだ。


憶測だと言いながら、アラン副隊長意見を述べる。

「第2王子派の有力貴族が、海軍での地位を失わないために、サザーランド氏に責任を押し付けたのではないでしょうか?」

海軍の中の第2王子派で地位がある人たちは、今回の件が失敗に終わっても自分たちは関係ないと言い訳できるようにするために、また自分たちの代わりに切ることが出来る者として、立場の弱いフェリクスさんを護衛団長に抜擢した可能性があると言う。


なるほどね、成功すれば自分たちの手柄、失敗すればフェリクスさんに押し付ける算段だったということなら納得だ。

もしかしてフェリクスさんが選ばれたのは、海賊を捕まえようと追っていたことが、第2王子派にバレたのかもしれないな。

だから責任を取らされたフェリクスさんは、嫌気がさしてここへ来た可能性が高い。

ここでなら自分の価値を評価してくれると確信があったのだろう。

フェリクスさんたちが来てくれたのは嬉しい。

数年は大丈夫だが、雇う人が増えたため、新たな資金源確保をするために、船の活用・・・・貿易を真剣に考えないといけなくなった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

聖女召喚の儀式に失敗したので旅に出ます

仲室日月奈
ファンタジー
異世界から聖女を召喚する儀式を失敗した宮廷魔術師長イェレミアス。 激怒した国王によって王宮から追い出されて無職になったため、冒険者のパーティーに入れてもらおうと決意。 乗合馬車で訪れた交易都市で、異世界の少女と運命の出会いを果たす。 王宮から追放された魔術師と、僕っ子男装聖女のお話。

我々はモブである。名前は出てない。

ふくふく堂
ファンタジー
世の中、やたらめったらと王子や高位貴族が婚約破棄を突き付けるのが流行っている。それも大概卒業パーティーでだ。親の目を盗んで事を起こすのに最適な場なのかもしれないが、卒業パーティーの主役は卒業生のはずだ。そう、我々卒業生のはずなのだ。 我々は、今こそ、鬱憤を、晴らす!

僕に仕えるメイドは世界最強の英雄です1~またクビになったけど、親代わりのメイドが慰めてくれるので悲しくなんてない!!~

あきくん☆ひろくん
ファンタジー
仕事を失い、居場所をなくした青年。 彼に仕えるのは――世界を救った英雄たちだった。 剣も魔法も得意ではない主人公は、 最強のメイドたちに守られながら生きている。 だが彼自身は、 「守られるだけの存在」でいることを良しとしなかった。 自分にできることは何か。 この世界で、どう生きていくべきか。 最強の力を持つ者たちと、 何者でもない一人の青年。 その主従関係は、やがて世界の歪みと過去へと繋がっていく。 本作は、 圧倒的な安心感のある日常パートと、 必要なときには本格的に描かれる戦い、 そして「守られる側の成長」を軸にした 完結済み長編ファンタジーです。 シリーズ作品の一編ですが、本作単体でもお楽しみいただけます。 最後まで安心して、一気読みしていただければ幸いです。

冤罪スローライフ

一樹
ファンタジー
いろいろあったおっさんが外国で田舎暮らしする話です。 小説家になろうで連載投稿してます。

ここは貴方の国ではありませんよ

水姫
ファンタジー
傲慢な王子は自分の置かれている状況も理解出来ませんでした。 厄介ごとが多いですね。 裏を司る一族は見極めてから調整に働くようです。…まぁ、手遅れでしたけど。 ※過去に投稿したモノを手直し後再度投稿しています。

『これも「ざまぁ」というのかな?』完結 - どうぞ「ざまぁ」を続けてくださいな・他

こうやさい
ファンタジー
 短い話を投稿するのが推奨されないということで、既存のものに足して投稿することにしました。  タイトルの固定部分は『どうぞ「ざまぁ」を続けてくださいな・他』となります。  タイトルやあらすじのみ更新されている場合がありますが、本文は近いうちに予約投稿されるはずです。  逆にタイトルの変更等が遅れる場合もあります。  こちらは現状 ・追放要素っぽいものは一応あり ・当人は満喫している  類いのシロモノを主に足していくつもりの短編集ですが次があるかは謎です。  各話タイトル横の[]内は投稿時に共通でない本来はタグに入れるのものや簡単な補足となります。主観ですし、必ず付けるとは限りません。些細な事に付いているかと思えば大きなことを付け忘れたりもします。どちらかといえば注意するため要素です。期待していると肩透かしを食う可能性が高いです。  あらすじやもう少し細かい注意書き等は公開30分後から『ぐだぐだ。(他称)』(https://www.alphapolis.co.jp/novel/628331665/878859379)で投稿されている可能性があります。よろしければどうぞ。 URL of this novel:https://www.alphapolis.co.jp/novel/628331665/750518948

【完結】私の結婚支度金で借金を支払うそうですけど…?

まりぃべる
ファンタジー
私の両親は典型的貴族。見栄っ張り。 うちは伯爵領を賜っているけれど、借金がたまりにたまって…。その日暮らしていけるのが不思議な位。 私、マーガレットは、今年16歳。 この度、結婚の申し込みが舞い込みました。 私の結婚支度金でたまった借金を返すってウキウキしながら言うけれど…。 支度、はしなくてよろしいのでしょうか。 ☆世界観は、小説の中での世界観となっています。現実とは違う所もありますので、よろしくお願いします。

《完結》金貨5000枚で売られた王太子妃

ぜらちん黒糖
恋愛
​「愛している。必ず迎えに行くから待っていてくれ」 ​甘い言葉を信じて、隣国へ「人質」となった王太子妃イザベラ。 旅立ちの前の晩、二人は愛し合い、イザベラのお腹には新しい命が宿った。すぐに夫に知らせた イザベラだったが、夫から届いた返信は、信じられない内容だった。 「それは本当に私の子供なのか?」

処理中です...