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第55話 早馬
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翌日、筏の設置が終わると、私は子爵領のヘレンに会いに行くことにした。
芋虫の糸とショユの実、高級魚の買取をお願いするためだ。
ヘレンのエクラ商会に行くと、店員から来客中なので別室でしばらくお待ちくださいと、案内された部屋で待っていたら、廊下から怒鳴り声が聞こえる。
「本当に不愉快だ。こちらが下手に出ればいい気になりおって・・・・」
「何度もお話ししているように、本人からしばらく依頼は断って欲しいとお願いされているのです」
「我が商会を敵に回せば、こんな商会など・・・・」
うーん、これは私が出て行った方がいいかもしれない。
私はドアを開けて廊下に出る。
「魔道具師のジョージさんへ依頼中なのは私なのですよ。ちょっと複雑で宰相様からの依頼でもあるのです」
40代くらいの体格のいい男性とヘレンに向かって、私は声を掛けた。
首輪が解除できれば、父上経由で宰相様に届けるつもりだから、この際、名前をお借りしよう。
「エインズワース様」
ヘレンはわざと私の家名で呼んだ。
「エインズワース伯爵家?!」
男性が驚いているが、気づかないふりをして自己紹介する。
「初めまして、ダニエル・エインズワースです。成人後はこの子爵領を継ぐ予定です。貴殿は?」
「申し訳ございません。君、伯爵家の依頼に携わっているためだと言えば私も事を荒立てなかった。今回は諦めよう、失礼するよ」
男性は私に謝った後、ヘレンの方を向き嫌味を言ってから、逃げるようにして去って行った。
男性が見えなくなってから、ヘレンが私に話しかけてくる。
「ダニエル様、助けていただきありがとうございます。とてもしつこくて困っていたので助かりました」
ヘレンが私に頭を下げてきた。
私がいた部屋にヘレンと入り詳しく聞くと、ジョージさんがヘレンさんの所にいることを知った商人たちが来るらしい。
だけどジョージさんが発明した魔道具は、ジョージさんが在籍していた商会でしか作製・受注できないと話せば解決していた。
さっきの人は新たな魔道具を作製して、その権利を買取すると言っていたそうだ。
どうやらジョージさんが辞めた商会に、権利を渡したことが広まっているらしかった。
「だから本当に助かりました」
ヘレンは本当に困っていたようだった。
さっきの人は王都の大商会の幹部の人だそうだ。
「魔道具工房でなく、商会?」
私の疑問にヘレンが教えてくれる。
商会で権利を持っていれば、作りたい工房からは作製料を、注文受注を受ければ依頼者から利益と両方の利益を狙ってのことだろうとのこと。
儲けることに関して、やっぱり商人は敏感だということだ。
今日の件は父上に連絡して、父上から宰相様に首輪の件を報告していただこう。
嘘がバレないうちに、至急父上に手紙を書かなければ。
父上を頼りたくはないが、私では解決できない案件が舞い込んでくるから仕方ない。
それに少し父上を見直している。
家のことと、この子爵領の安寧のためとはいえ、王家などへの根回しなど本当に助かったから。
ヘレンには今後も同じような依頼の人が来たら、私の名前を出してよいと許可した。
「しかしジョージさんって、かなりの有名人だったんだね」
私は思わずつぶやいてしまった。
ヘレンの話だと、たて続けに斬新な魔道具を開発したため工房関係者や商人、魔道具利用者の間では有名だったらしい。
ジョージさん、だからほとぼりが冷めるまで島に滞在したいと言ったのか?
今回、短いが芋虫の糸が大量にあることを伝えると、ヘレンは疲れた顔から商売人の顔に戻り、目が輝きだした。
少しは復活してくれたようでよかったよ。
翌日、子爵領都で頼まれた買い出しをしていると、アラン副隊長が単独、馬に乗って私の所へやって来た。
馬から降りたアラン副隊長が私に近づく。
「伯爵様より至急のお手紙です」
「えっ?」
私は昨日父上宛てに送ったばかリだ、だから父上からの返信ではなく別の要件だろう。
私は手紙を受け取り、子爵家の屋敷から乗ってきた馬車に乗り込み手紙を読み始める。
御者には子爵家に戻るように伝えている。
読み終わった私は馬車の天井を見上げ、息をゆっくりと吐く。
子爵家につくと、執事長、騎士団長、領内管理の事務次官を呼び、父上の手紙の内容について指示を出す。
指示が終わるとリカード隊長とアラン副隊長を呼んだ。
2人を部屋に通すと私から話を切り出す。
父上からの手紙は、今王都にラクトゥーワ王国から亡命してきた100名強が到着し、この子爵領への移住を希望していること。
受け入れの準備を至急するようにとの手紙だった。
「我々が呼ばれたのは、王都から子爵領までの護衛のためでしょうか?」
話を聞いたリカード隊長が私に問うてきた。
「それもある。実は我々が知っている人なんだ。フェリクス・サザーランド氏とその家族、それに同行してきた人たちだ」
2人は移住希望者の名前を聞いて、驚きの表情をした。
私だって驚いたのだから、2人の気持ちがわかる。
なぜ亡命に至った経緯は不明だが、護衛には知り合いがいた方が彼らも安心するだろう。
「最近王都との行き来や、海賊討伐など出張が続くがよろしく頼むよ」
「かしこまりました。準備でき次第王都へ参ります」
それから3週間後、フェリクスさんたちが子爵領に入ったと屋敷に早馬がついた。
芋虫の糸とショユの実、高級魚の買取をお願いするためだ。
ヘレンのエクラ商会に行くと、店員から来客中なので別室でしばらくお待ちくださいと、案内された部屋で待っていたら、廊下から怒鳴り声が聞こえる。
「本当に不愉快だ。こちらが下手に出ればいい気になりおって・・・・」
「何度もお話ししているように、本人からしばらく依頼は断って欲しいとお願いされているのです」
「我が商会を敵に回せば、こんな商会など・・・・」
うーん、これは私が出て行った方がいいかもしれない。
私はドアを開けて廊下に出る。
「魔道具師のジョージさんへ依頼中なのは私なのですよ。ちょっと複雑で宰相様からの依頼でもあるのです」
40代くらいの体格のいい男性とヘレンに向かって、私は声を掛けた。
首輪が解除できれば、父上経由で宰相様に届けるつもりだから、この際、名前をお借りしよう。
「エインズワース様」
ヘレンはわざと私の家名で呼んだ。
「エインズワース伯爵家?!」
男性が驚いているが、気づかないふりをして自己紹介する。
「初めまして、ダニエル・エインズワースです。成人後はこの子爵領を継ぐ予定です。貴殿は?」
「申し訳ございません。君、伯爵家の依頼に携わっているためだと言えば私も事を荒立てなかった。今回は諦めよう、失礼するよ」
男性は私に謝った後、ヘレンの方を向き嫌味を言ってから、逃げるようにして去って行った。
男性が見えなくなってから、ヘレンが私に話しかけてくる。
「ダニエル様、助けていただきありがとうございます。とてもしつこくて困っていたので助かりました」
ヘレンが私に頭を下げてきた。
私がいた部屋にヘレンと入り詳しく聞くと、ジョージさんがヘレンさんの所にいることを知った商人たちが来るらしい。
だけどジョージさんが発明した魔道具は、ジョージさんが在籍していた商会でしか作製・受注できないと話せば解決していた。
さっきの人は新たな魔道具を作製して、その権利を買取すると言っていたそうだ。
どうやらジョージさんが辞めた商会に、権利を渡したことが広まっているらしかった。
「だから本当に助かりました」
ヘレンは本当に困っていたようだった。
さっきの人は王都の大商会の幹部の人だそうだ。
「魔道具工房でなく、商会?」
私の疑問にヘレンが教えてくれる。
商会で権利を持っていれば、作りたい工房からは作製料を、注文受注を受ければ依頼者から利益と両方の利益を狙ってのことだろうとのこと。
儲けることに関して、やっぱり商人は敏感だということだ。
今日の件は父上に連絡して、父上から宰相様に首輪の件を報告していただこう。
嘘がバレないうちに、至急父上に手紙を書かなければ。
父上を頼りたくはないが、私では解決できない案件が舞い込んでくるから仕方ない。
それに少し父上を見直している。
家のことと、この子爵領の安寧のためとはいえ、王家などへの根回しなど本当に助かったから。
ヘレンには今後も同じような依頼の人が来たら、私の名前を出してよいと許可した。
「しかしジョージさんって、かなりの有名人だったんだね」
私は思わずつぶやいてしまった。
ヘレンの話だと、たて続けに斬新な魔道具を開発したため工房関係者や商人、魔道具利用者の間では有名だったらしい。
ジョージさん、だからほとぼりが冷めるまで島に滞在したいと言ったのか?
今回、短いが芋虫の糸が大量にあることを伝えると、ヘレンは疲れた顔から商売人の顔に戻り、目が輝きだした。
少しは復活してくれたようでよかったよ。
翌日、子爵領都で頼まれた買い出しをしていると、アラン副隊長が単独、馬に乗って私の所へやって来た。
馬から降りたアラン副隊長が私に近づく。
「伯爵様より至急のお手紙です」
「えっ?」
私は昨日父上宛てに送ったばかリだ、だから父上からの返信ではなく別の要件だろう。
私は手紙を受け取り、子爵家の屋敷から乗ってきた馬車に乗り込み手紙を読み始める。
御者には子爵家に戻るように伝えている。
読み終わった私は馬車の天井を見上げ、息をゆっくりと吐く。
子爵家につくと、執事長、騎士団長、領内管理の事務次官を呼び、父上の手紙の内容について指示を出す。
指示が終わるとリカード隊長とアラン副隊長を呼んだ。
2人を部屋に通すと私から話を切り出す。
父上からの手紙は、今王都にラクトゥーワ王国から亡命してきた100名強が到着し、この子爵領への移住を希望していること。
受け入れの準備を至急するようにとの手紙だった。
「我々が呼ばれたのは、王都から子爵領までの護衛のためでしょうか?」
話を聞いたリカード隊長が私に問うてきた。
「それもある。実は我々が知っている人なんだ。フェリクス・サザーランド氏とその家族、それに同行してきた人たちだ」
2人は移住希望者の名前を聞いて、驚きの表情をした。
私だって驚いたのだから、2人の気持ちがわかる。
なぜ亡命に至った経緯は不明だが、護衛には知り合いがいた方が彼らも安心するだろう。
「最近王都との行き来や、海賊討伐など出張が続くがよろしく頼むよ」
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