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第3章 新たな人材を求めて
55話 理事・清掃スタッフの密着取材
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「院長、俺の作った密着取材を見てくれる?」
理事が、なんだか自慢げに胸を張ってきた。
「どれどれ――見るよ」
パソコンの画面に映し出されたのは、かわいい笑顔の理事のアップ。
『今日は清掃スタッフの藤堂梨沙さんに、一日密着してみました』
――そうタイトルが掲げられて取材が始まった。
はあん、これがタイトルか。フフフ、なんだかこそばゆい。
(なんで俺はここで照れてるんだ?)
理事「藤堂さんは五十代半ば、演歌が大好きなスタッフで、トイレ掃除の最中に、つい鼻歌をこぼしてしまうことで有名なんです」
理事「どうして歌いながら掃除をしているんですか?」
藤堂「だって黙ってやるより、歌いながらの方が気持ちが晴れるでしょ?
患者さんにも“上手いねえ”なんて言われちゃって、嬉しくてまた声が出るのよ」
――藤堂さんはにこやかに答えてくれた。
理事「ああ、そうなんですねえ」
理事「菜の花ではお掃除のやり方が、他とはだいぶ違うと聞きましたが、他だとどんな感じなんですか?」
藤堂「あのねえ~、他では細かいことまで全部決まっていて、ただ言われた通りにやるだけなの。終わった後も細かくチェックが入るしね」
理事「なるほど。では違いをわかりやすくフリップにまとめました」
フリップに映し出された項目。
・決められた時間内に清掃を行う
・やり方やペースは各自に任されている
・出来上がりがきれいならOK
・無理そうな場合はチーフが仕事を調整してくれる
・終わらなければ皆で助け合う
・強制も細かい指示もない
・怒鳴る人がいない
理事「これでいいですか?」
――藤堂さんの顔がまたアップになる。
藤堂「うん、そうそう! そうなのよ。助け合って皆で終われるの。
ナースの皆さんも同じだって聞きましたよ。だから残業がないんですって。
なんでも院長先生の考え方だとか。面接の時に“助け合いが大事”って言われたらしいんですよね。
すごいなあと思ってね。だってナースの方はものすごく忙しいはずなのにね」
理事「もしかして……院長先生のファンなんですか?」
藤堂「ええー? もう、ちょっとー! 何言わせるのよ~!」
照れまくりながら、ドーンと夏の胸を叩く藤堂さん。
横で夏がよろめいて、映像を見ていた俺は吹き出した。
――可笑しい! クスクス笑いが止まらない。
理事「では最後に、これから応募してくる方に向けて、この職場の魅力を一言お願いします」
藤堂「ここは怒鳴られることもないし、間に合わなければチーフが“今日はこれでいいよ”って調整してくれるの。
だから気楽で、逆にちゃんとやろうって気持ちになるのよね。とにかく楽しくやってまーす!」
――満面の笑みで両手をぶんぶん振る藤堂さん。画面いっぱいに明るさがあふれた。
理事が再び登場し、締めの言葉に入る。
理事「藤堂さんの言葉には、自然な信頼がにじみますね。ではまとめとして、1日の流れをご紹介します」
フリップが映る。
藤堂さんの1日のスケジュール
午前:各階のトイレ掃除と廊下の拭き上げ
昼休み:仲間とお弁当を広げ、休憩室でおしゃべり
午後:外来や階段の床清掃を中心に動き回り、ときおり鼻歌の“BGM”が響く
ここでナースがひょいっと画面に映り込んだ。
「うちの患者さん、結構楽しみにしてるんですよ。“今日は何を歌ってくれるの?”なんてね」
――看護師の笑顔に、取材映像もほっこり。
夕方、最後のゴミ回収を終えると、藤堂さんは大きく息を吐いた。
「今日も一日、気持ちよく歌って掃除できたわ。明日も頑張るね」
――こうして彼女の一日は幕を閉じる。
テロップには、
「清掃スタッフの日常には、菜の花ならではの“自由と信頼”があふれていた」
と流れる。
「……この最後の言葉は理事が考えたの?」
理事「そうだよ。いいでしょう?」ぷっ、と笑った。
隣でワンコが頭を撫でられるのを待っていた。
理事が、なんだか自慢げに胸を張ってきた。
「どれどれ――見るよ」
パソコンの画面に映し出されたのは、かわいい笑顔の理事のアップ。
『今日は清掃スタッフの藤堂梨沙さんに、一日密着してみました』
――そうタイトルが掲げられて取材が始まった。
はあん、これがタイトルか。フフフ、なんだかこそばゆい。
(なんで俺はここで照れてるんだ?)
理事「藤堂さんは五十代半ば、演歌が大好きなスタッフで、トイレ掃除の最中に、つい鼻歌をこぼしてしまうことで有名なんです」
理事「どうして歌いながら掃除をしているんですか?」
藤堂「だって黙ってやるより、歌いながらの方が気持ちが晴れるでしょ?
患者さんにも“上手いねえ”なんて言われちゃって、嬉しくてまた声が出るのよ」
――藤堂さんはにこやかに答えてくれた。
理事「ああ、そうなんですねえ」
理事「菜の花ではお掃除のやり方が、他とはだいぶ違うと聞きましたが、他だとどんな感じなんですか?」
藤堂「あのねえ~、他では細かいことまで全部決まっていて、ただ言われた通りにやるだけなの。終わった後も細かくチェックが入るしね」
理事「なるほど。では違いをわかりやすくフリップにまとめました」
フリップに映し出された項目。
・決められた時間内に清掃を行う
・やり方やペースは各自に任されている
・出来上がりがきれいならOK
・無理そうな場合はチーフが仕事を調整してくれる
・終わらなければ皆で助け合う
・強制も細かい指示もない
・怒鳴る人がいない
理事「これでいいですか?」
――藤堂さんの顔がまたアップになる。
藤堂「うん、そうそう! そうなのよ。助け合って皆で終われるの。
ナースの皆さんも同じだって聞きましたよ。だから残業がないんですって。
なんでも院長先生の考え方だとか。面接の時に“助け合いが大事”って言われたらしいんですよね。
すごいなあと思ってね。だってナースの方はものすごく忙しいはずなのにね」
理事「もしかして……院長先生のファンなんですか?」
藤堂「ええー? もう、ちょっとー! 何言わせるのよ~!」
照れまくりながら、ドーンと夏の胸を叩く藤堂さん。
横で夏がよろめいて、映像を見ていた俺は吹き出した。
――可笑しい! クスクス笑いが止まらない。
理事「では最後に、これから応募してくる方に向けて、この職場の魅力を一言お願いします」
藤堂「ここは怒鳴られることもないし、間に合わなければチーフが“今日はこれでいいよ”って調整してくれるの。
だから気楽で、逆にちゃんとやろうって気持ちになるのよね。とにかく楽しくやってまーす!」
――満面の笑みで両手をぶんぶん振る藤堂さん。画面いっぱいに明るさがあふれた。
理事が再び登場し、締めの言葉に入る。
理事「藤堂さんの言葉には、自然な信頼がにじみますね。ではまとめとして、1日の流れをご紹介します」
フリップが映る。
藤堂さんの1日のスケジュール
午前:各階のトイレ掃除と廊下の拭き上げ
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午後:外来や階段の床清掃を中心に動き回り、ときおり鼻歌の“BGM”が響く
ここでナースがひょいっと画面に映り込んだ。
「うちの患者さん、結構楽しみにしてるんですよ。“今日は何を歌ってくれるの?”なんてね」
――看護師の笑顔に、取材映像もほっこり。
夕方、最後のゴミ回収を終えると、藤堂さんは大きく息を吐いた。
「今日も一日、気持ちよく歌って掃除できたわ。明日も頑張るね」
――こうして彼女の一日は幕を閉じる。
テロップには、
「清掃スタッフの日常には、菜の花ならではの“自由と信頼”があふれていた」
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