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第5章 2号館、屋上から動き出す
95話 川瀬サイド・氷枕
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ようやく今日の仕事が終わり、寮へ戻った。
真っ先に診療カバンを持って主任の部屋へ向かう。
ノックしても返事がない。――やはりまだ具合が悪いのか?
そっとドアを開けて近づくと、主任が目を覚ました。
「具合はどう?」
「ああ、川瀬先生。昨日よりはいいみたい」
「そうか。熱を測るよ。今日は点滴をしてもらった?」
「うん、朝に二本、午後は一本かな」
聴診する。呼吸音は悪くない。腎臓を軽く押すと、主任は小さく顔をしかめた。
「まだ痛む?」
頷き返す。
「熱は三十八度二分。炎症が強いのかもしれないな。一週間以上はかかりそうだね。氷枕を持ってくるよ」
主任は小さくうなずき、また力なく目を閉じた。
胸が痛い……なんだろう、この気持ちは‥‥‥。
*
リビングに戻ると、院長がいた。
院長「あれ、帰ってたの?」
「うん。主任はまだ熱が高いね。当分治りそうにない」
院長「大丈夫だよ。こんなに医者がいるんだから、より取り見取りだろ?」
……まったく。やたら明るいな。
冷凍庫を開けると、氷枕が二つ。ひとつを取り出し、タオルで包んだ。
「ちょっと置いてくる」
主任の部屋へ戻ると、再び眠っていた。
そっと頭を持ち上げ、氷枕を当てる。
顔にかかる髪を、指でやさしく梳いて後ろへ。――はぁ……。
眠る横顔をしばらく見つめていた。
「……またあとで来よう。佐久間先生のところにも行かないと」
*
台所に戻ると、もうおかずは詰め終わっていた。
「ありがとう。届けてくるね」
北原「はい、お願いします」
院長はせっせと台所仕事を続けていた。
佐久間先生のところへ届けてから、先に風呂に入り、リビングへ戻った。
そろそろ皆が帰ってくる時間だ。
汁物も、おかずも揃っていて、寮母がいないのに豪華だ。
川瀬「なんか色々並んでるな。北原が作ったの?」
院長「まさか。全部三輪さんたちが用意してくれたんだよ」
川瀬「そうか……。主任のお粥はある? あれば持って行くよ」
院長「ああ、卵粥が作ってある。果物も切ってあるし、ヨーグルトドリンクもある。食べられるといいんだけどね」
冷蔵庫から取り出し、お茶も添えると、トレーがいっぱいになった。
落とさないように、そっと部屋を出た。
真っ先に診療カバンを持って主任の部屋へ向かう。
ノックしても返事がない。――やはりまだ具合が悪いのか?
そっとドアを開けて近づくと、主任が目を覚ました。
「具合はどう?」
「ああ、川瀬先生。昨日よりはいいみたい」
「そうか。熱を測るよ。今日は点滴をしてもらった?」
「うん、朝に二本、午後は一本かな」
聴診する。呼吸音は悪くない。腎臓を軽く押すと、主任は小さく顔をしかめた。
「まだ痛む?」
頷き返す。
「熱は三十八度二分。炎症が強いのかもしれないな。一週間以上はかかりそうだね。氷枕を持ってくるよ」
主任は小さくうなずき、また力なく目を閉じた。
胸が痛い……なんだろう、この気持ちは‥‥‥。
*
リビングに戻ると、院長がいた。
院長「あれ、帰ってたの?」
「うん。主任はまだ熱が高いね。当分治りそうにない」
院長「大丈夫だよ。こんなに医者がいるんだから、より取り見取りだろ?」
……まったく。やたら明るいな。
冷凍庫を開けると、氷枕が二つ。ひとつを取り出し、タオルで包んだ。
「ちょっと置いてくる」
主任の部屋へ戻ると、再び眠っていた。
そっと頭を持ち上げ、氷枕を当てる。
顔にかかる髪を、指でやさしく梳いて後ろへ。――はぁ……。
眠る横顔をしばらく見つめていた。
「……またあとで来よう。佐久間先生のところにも行かないと」
*
台所に戻ると、もうおかずは詰め終わっていた。
「ありがとう。届けてくるね」
北原「はい、お願いします」
院長はせっせと台所仕事を続けていた。
佐久間先生のところへ届けてから、先に風呂に入り、リビングへ戻った。
そろそろ皆が帰ってくる時間だ。
汁物も、おかずも揃っていて、寮母がいないのに豪華だ。
川瀬「なんか色々並んでるな。北原が作ったの?」
院長「まさか。全部三輪さんたちが用意してくれたんだよ」
川瀬「そうか……。主任のお粥はある? あれば持って行くよ」
院長「ああ、卵粥が作ってある。果物も切ってあるし、ヨーグルトドリンクもある。食べられるといいんだけどね」
冷蔵庫から取り出し、お茶も添えると、トレーがいっぱいになった。
落とさないように、そっと部屋を出た。
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