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第6章 菜の花寮の大騒動
102話 川瀬サイド・見習い寮父
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部屋にいるとノックされた。主任だった。
「どうしたの? ご飯も食べないで。温めてもってきたわよ」
その声を聞いた瞬間、なんだか耐えきれなくなって、一気に涙があふれてしまった。
そばに来た彼女をそっと抱きしめ、しばらく泣いていた。
「俺さ……寮生たちに父親のように思って欲しいんだけど、どうすればいいの?」
少し笑って、「誰かに何か言われたの?」
俺も頬がゆるんだ。
「北原がさ、俺に“寮生の気持ちになれ”って言ったんだよ。母親を盗られる子どもの気持ちを思えって。
そういえば、自分の子どもにもろくに相手をしなかったなあって思って……後悔しちゃったよ」
「うん、わかった。今からでも間に合うよ」
「間に合うのか? どうすればいい?」
「じゃあ、先に食べて。私も持ってきたから、一緒に食べよう」
中々涙が引かない俺に、彼女はただ微笑んでくれた。
ご飯は喉をなかなか通らなかった。
「じゃあ汁物でも飲む? ポットに入れてきたのよ」
コップに汁物を入れて渡してくれた。
温かい汁物が喉を潤した。……だから皆欲しがるんだな。
「ね、中々すぐには思い通りにはならないかもしれないけど、まず寮母の仕事を覚えてみる?
仕事もしながらだから大変だと思うけど、私がやってるくらいだから、あなたなら出来るよ。
明日の朝は一緒にやろう」
「うん、そうだな。そうするよ。君が5時に起きるなら、俺も5時に起きて寮に行くから」
その夜は、寮母の仕事の手順を一通り聞いて、パソコンに記録した。
彼女の仕事を代われるくらいになろうと思った。
*
翌朝。アラームをかけて5時に起き、寮に行った。
佐久間先生の食器も受付に置いてあったから、忘れずに持っていった。
着替える時間がもったいないのでスクラブ姿のまま。……そうだ、エプロンが必要だな。
明日買ってこよう。2枚くらいあれば足りるか。
佳代ちゃんも来て、真っ先に汁物を温め始めた。
昨日メモした通りだ。
「あとはご飯だな」
電気釜を見ると、すでに炊き上がっていた。
電気ジャーに移すため、しゃもじを探す。
「はい、どうぞ」と彼女が手渡してくれた。
「これはいつもどこに入れてるの?」
「シンク横の引き出し。……今度、引き出しや戸棚の中の写真を撮って一覧にすれば覚えやすいわよ」
「ああ、それはいいな。部屋に貼っておこう」
西村「ご飯はね、全体を切るように混ぜながら移してください」
「了解」
大きなしゃもじで10合ものご飯を混ぜるのは熱いし力も要るし、こぼしそうで大変だった。
さらに小さい炊飯器で炊いた5合分も合わせてジャーへ。
……これを女手でやってきたのは大変だ。これからは俺がやろう。
「あとは器を並べる……いや、飯椀はジャーのそばだな」
あたふたしながらも、昨日聞いた手順を思い出しながら進めた。
しゃもじは水につけるんだな。
「しゃもじ入れはどれ?」
「あ、これよ」
手渡された入れ物を受け取ると、「これはいつもどこに仕舞うの?」
「戸棚の中、ここ」
「ああ、了解」
慣れないながらも、なんとか7時までに準備が整った。
7時になると寮生たちが一斉にリビングに入ってきた。
「あれ? 川瀬先生が手伝ってるの?」
少し笑われたけど、「そうだよ。寮母さんが静養中だからね」
「へえ~、ありがとうございます!」と口々に言ってくれた。
佳代ちゃんを見ると、にっこりしていた。
「どうしたの? ご飯も食べないで。温めてもってきたわよ」
その声を聞いた瞬間、なんだか耐えきれなくなって、一気に涙があふれてしまった。
そばに来た彼女をそっと抱きしめ、しばらく泣いていた。
「俺さ……寮生たちに父親のように思って欲しいんだけど、どうすればいいの?」
少し笑って、「誰かに何か言われたの?」
俺も頬がゆるんだ。
「北原がさ、俺に“寮生の気持ちになれ”って言ったんだよ。母親を盗られる子どもの気持ちを思えって。
そういえば、自分の子どもにもろくに相手をしなかったなあって思って……後悔しちゃったよ」
「うん、わかった。今からでも間に合うよ」
「間に合うのか? どうすればいい?」
「じゃあ、先に食べて。私も持ってきたから、一緒に食べよう」
中々涙が引かない俺に、彼女はただ微笑んでくれた。
ご飯は喉をなかなか通らなかった。
「じゃあ汁物でも飲む? ポットに入れてきたのよ」
コップに汁物を入れて渡してくれた。
温かい汁物が喉を潤した。……だから皆欲しがるんだな。
「ね、中々すぐには思い通りにはならないかもしれないけど、まず寮母の仕事を覚えてみる?
仕事もしながらだから大変だと思うけど、私がやってるくらいだから、あなたなら出来るよ。
明日の朝は一緒にやろう」
「うん、そうだな。そうするよ。君が5時に起きるなら、俺も5時に起きて寮に行くから」
その夜は、寮母の仕事の手順を一通り聞いて、パソコンに記録した。
彼女の仕事を代われるくらいになろうと思った。
*
翌朝。アラームをかけて5時に起き、寮に行った。
佐久間先生の食器も受付に置いてあったから、忘れずに持っていった。
着替える時間がもったいないのでスクラブ姿のまま。……そうだ、エプロンが必要だな。
明日買ってこよう。2枚くらいあれば足りるか。
佳代ちゃんも来て、真っ先に汁物を温め始めた。
昨日メモした通りだ。
「あとはご飯だな」
電気釜を見ると、すでに炊き上がっていた。
電気ジャーに移すため、しゃもじを探す。
「はい、どうぞ」と彼女が手渡してくれた。
「これはいつもどこに入れてるの?」
「シンク横の引き出し。……今度、引き出しや戸棚の中の写真を撮って一覧にすれば覚えやすいわよ」
「ああ、それはいいな。部屋に貼っておこう」
西村「ご飯はね、全体を切るように混ぜながら移してください」
「了解」
大きなしゃもじで10合ものご飯を混ぜるのは熱いし力も要るし、こぼしそうで大変だった。
さらに小さい炊飯器で炊いた5合分も合わせてジャーへ。
……これを女手でやってきたのは大変だ。これからは俺がやろう。
「あとは器を並べる……いや、飯椀はジャーのそばだな」
あたふたしながらも、昨日聞いた手順を思い出しながら進めた。
しゃもじは水につけるんだな。
「しゃもじ入れはどれ?」
「あ、これよ」
手渡された入れ物を受け取ると、「これはいつもどこに仕舞うの?」
「戸棚の中、ここ」
「ああ、了解」
慣れないながらも、なんとか7時までに準備が整った。
7時になると寮生たちが一斉にリビングに入ってきた。
「あれ? 川瀬先生が手伝ってるの?」
少し笑われたけど、「そうだよ。寮母さんが静養中だからね」
「へえ~、ありがとうございます!」と口々に言ってくれた。
佳代ちゃんを見ると、にっこりしていた。
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