159 / 357
第8章 もっと寮が欲しい
157話 ズーム面接・救命医とICUナース
しおりを挟む
坂本「……あのう、実は面接者にもう一人、救命医が入っていると思うのですが」
「えっ?そうですが、同じ病院ですよね?」
ふっと彼女が笑った。
「実は隣にいます。顔出ししていいですか?」
「ええ?? あははは、どういうことですか。かまいませんよ」
交替するように、照れた表情で画面に現れたのは、中々の好青年だった。
「初めまして。面接をお願いした沖田悠真、32歳です。こんな形ですみません」
「いえいえ、いいですよ。面白いですね、ふふふ」
沖田「いきなりですが……実は彼女と婚約しています。
それで――今の病院の勤務があまりにも過酷で、もう続けていくのは難しいんです。
48時間労働なんてざらで……これでは結婚もできません。
彼女もICUにいて、ふたりとも時間がなくて。もう限界なんです。
だから、思い切って東京に行こうと決めました。
僕は医大がそちらでしたから土地勘はありますが、二人で同時に就職できるかどうか不安で……。
そんなときに菜の花のHPを見て、すぐに決心しました。
どうか二人まとめて採用していただけませんか?」
「もちろんです。大歓迎ですよ。……でも、二人で寮に入りたいんですよね?」
沖田「はい。部屋は別でも構いません。同じ場所にいれば安心ですから」
「そうですか。それなら徒歩5分のワンルームマンションになりますが、家具付きで家財は不要です。大丈夫ですか?」
沖田「わあ! 良かった……ありがとうございます。本当に嬉しいです!」
「ははっ、喜んでもらえて良かった。うちは48時間勤務なんて絶対にありません。
大災害でも起きない限り、そんなことはさせません。
ナースの残業もゼロで有名なんですよ」
美佳「本当ですか?」
彼女の顔がぱっと明るくなった。
「本当です。勤務終了の1時間前になると、主任が“全員で一緒に上がれるか”を点呼するんです。
手が足りなければ、他のナースがすぐに応援に入ります。
だから時間になったら、全員一斉に帰れるんですよ」
美佳「えええーー! 信じられない!」
両手で頬を押さえ、笑顔がはじけた。
「ナースだけじゃありません。助手も清掃スタッフも、必ず点呼で確認します。
“みんなで助け合って、みんなで一緒に上がる”――それが菜の花の約束なんです」
沖田「ああ……なるほど。皆さんの顔が明るい理由が分かります。
クラブ活動の話も聞きましたが、あれも楽しそうで、彼女と笑っちゃいました」
「ふふ、ありがとうございます。……ところで、お二人はこちらに来られるなら、籍を入れる予定はありますか?
もしご夫婦なら扶養手当も出ますし、今後夫婦寮が用意できれば、優先してご案内しますよ」
沖田「うわぁ……もう理想的すぎます! 本当に嬉しい!」
「では、よければすぐにでも来ませんか? 2号館はまだ先ですが、救命医はいつでも大歓迎です。
ワンルーム2室を取り置きしますから、手ぶらでどうぞ」
美佳「本当ですか?」
「本当です、嘘じゃありません。安心してください。
そうそう、ワンルームマンションには最上階に2LDKの共用スペースがあります。
隣にはICU部長兼麻酔科部長の佐藤先生ご夫妻がお住まいですよ。
奥様もICUのベテランナースです」
美佳「わあ……すごい。私、大丈夫かなあ?」
「大丈夫ですよ。とても優しく穏やかなお二人ですから。
では、そろそろ時間ですので、この辺で失礼します。
実際に来られる日が決まったら病院へご連絡ください」
「はい、分かりました! 本当にありがとうございました!」
二人とも満面の笑顔で手を振り、画面が閉じられた。
……良かった。
本当に、心からほっとした。
――ああ、ついに救命医1名が決まったのだ!
「えっ?そうですが、同じ病院ですよね?」
ふっと彼女が笑った。
「実は隣にいます。顔出ししていいですか?」
「ええ?? あははは、どういうことですか。かまいませんよ」
交替するように、照れた表情で画面に現れたのは、中々の好青年だった。
「初めまして。面接をお願いした沖田悠真、32歳です。こんな形ですみません」
「いえいえ、いいですよ。面白いですね、ふふふ」
沖田「いきなりですが……実は彼女と婚約しています。
それで――今の病院の勤務があまりにも過酷で、もう続けていくのは難しいんです。
48時間労働なんてざらで……これでは結婚もできません。
彼女もICUにいて、ふたりとも時間がなくて。もう限界なんです。
だから、思い切って東京に行こうと決めました。
僕は医大がそちらでしたから土地勘はありますが、二人で同時に就職できるかどうか不安で……。
そんなときに菜の花のHPを見て、すぐに決心しました。
どうか二人まとめて採用していただけませんか?」
「もちろんです。大歓迎ですよ。……でも、二人で寮に入りたいんですよね?」
沖田「はい。部屋は別でも構いません。同じ場所にいれば安心ですから」
「そうですか。それなら徒歩5分のワンルームマンションになりますが、家具付きで家財は不要です。大丈夫ですか?」
沖田「わあ! 良かった……ありがとうございます。本当に嬉しいです!」
「ははっ、喜んでもらえて良かった。うちは48時間勤務なんて絶対にありません。
大災害でも起きない限り、そんなことはさせません。
ナースの残業もゼロで有名なんですよ」
美佳「本当ですか?」
彼女の顔がぱっと明るくなった。
「本当です。勤務終了の1時間前になると、主任が“全員で一緒に上がれるか”を点呼するんです。
手が足りなければ、他のナースがすぐに応援に入ります。
だから時間になったら、全員一斉に帰れるんですよ」
美佳「えええーー! 信じられない!」
両手で頬を押さえ、笑顔がはじけた。
「ナースだけじゃありません。助手も清掃スタッフも、必ず点呼で確認します。
“みんなで助け合って、みんなで一緒に上がる”――それが菜の花の約束なんです」
沖田「ああ……なるほど。皆さんの顔が明るい理由が分かります。
クラブ活動の話も聞きましたが、あれも楽しそうで、彼女と笑っちゃいました」
「ふふ、ありがとうございます。……ところで、お二人はこちらに来られるなら、籍を入れる予定はありますか?
もしご夫婦なら扶養手当も出ますし、今後夫婦寮が用意できれば、優先してご案内しますよ」
沖田「うわぁ……もう理想的すぎます! 本当に嬉しい!」
「では、よければすぐにでも来ませんか? 2号館はまだ先ですが、救命医はいつでも大歓迎です。
ワンルーム2室を取り置きしますから、手ぶらでどうぞ」
美佳「本当ですか?」
「本当です、嘘じゃありません。安心してください。
そうそう、ワンルームマンションには最上階に2LDKの共用スペースがあります。
隣にはICU部長兼麻酔科部長の佐藤先生ご夫妻がお住まいですよ。
奥様もICUのベテランナースです」
美佳「わあ……すごい。私、大丈夫かなあ?」
「大丈夫ですよ。とても優しく穏やかなお二人ですから。
では、そろそろ時間ですので、この辺で失礼します。
実際に来られる日が決まったら病院へご連絡ください」
「はい、分かりました! 本当にありがとうございました!」
二人とも満面の笑顔で手を振り、画面が閉じられた。
……良かった。
本当に、心からほっとした。
――ああ、ついに救命医1名が決まったのだ!
4
あなたにおすすめの小説
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
網代さんを怒らせたい
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「なあ。僕たち、付き合わないか?」
彼がなにを言っているのかわからなかった。
たったいま、私たちは恋愛できない体質かもしれないと告白しあったばかりなのに。
しかし彼曰く、これは練習なのらしい。
それっぽいことをしてみれば、恋がわかるかもしれない。
それでもダメなら、本当にそういう体質だったのだと諦めがつく。
それはそうかもしれないと、私は彼と付き合いはじめたのだけれど……。
和倉千代子(わくらちよこ) 23
建築デザイン会社『SkyEnd』勤務
デザイナー
黒髪パッツン前髪、おかっぱ頭であだ名は〝市松〟
ただし、そう呼ぶのは網代のみ
なんでもすぐに信じてしまい、いつも網代に騙されている
仕事も頑張る努力家
×
網代立生(あじろたつき) 28
建築デザイン会社『SkyEnd』勤務
営業兼事務
背が高く、一見優しげ
しかしけっこう慇懃無礼に毒を吐く
人の好き嫌いが激しい
常識の通じないヤツが大嫌い
恋愛のできないふたりの関係は恋に発展するのか……!?
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
純愛以上、溺愛以上〜無愛想から始まった社長令息の豹変愛は彼女を甘く包み込む~
芙月みひろ
恋愛
保険会社の事務職として勤務する
早瀬佳奈26才。
友達に頼み込まれて行った飲み会で
腹立たしいほど無愛想な高原宗輔30才と出会う。
あまりの不愉快さに
二度と会いたくないと思っていたにも関わらず
再び仕事で顔を合わせることになる。
上司のパワハラめいた嫌がらせに悩まされていた中
ふと見せる彼の優しい一面に触れて
佳奈は次第に高原に心を傾け出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる