診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第13章 菜の花の新しい風

255話 10階・莉子のアトリエ引っ越し

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 昨日は夜遅くまで、引っ越し作業が続いた。

川瀬医師は自分の荷物を医師寮に運んでいた。
まあ、荷物が少ないからすぐ終わるしね。

そして、川瀬看護師長の荷物も夜遅くまで運んでいたようだ。
結局、その日中に終了したそうだ。
運んでしまえば川瀬師長もゆっくり片付けることができる。

さて、アニメプラスと音楽事務所もすべて運び終わり、家具や什器を整えた。
あとは細かいものを収納したり、パソコン類を繋いだりしていた。
莉子もここで手伝っていた。

夏の音楽事務所は、それほど運ぶものはない。
せいぜいパソコン類と書類、ファイルに備品くらいだ。

商談用のガラスのブースは厚手で、音が外に漏れにくいようになっている。
それよりも、全体のゆったり感がすごい。
「狭く見える」と建築士に言われていたが、実際に見るとそんなことはない。

外の廊下はガラスのような透明な壁面で、真ん中だけが薄いベージュのような色のすりガラスになっている。
通る人の視線を遮るようになっていて、モダンで高級感のあるオフィスになっていた。


通路の添ったガラスの壁面は、

<Natsu Entertainment Group>(夏輝の音楽事務所・夏輝が経営者)
<NATSU artist Inc>(夏輝が社長で、莉子や桃香の為のエージェント会社)
<Nanohana Anime Plus Inc>(桐生さんが社長・浅田父が会長・夏は取締役・莉子も社外取締役)
<RIKO Company Limited>(莉子の製品を作っている法人会社・浅田父が社長)
<Riko's Atelier>(莉子の個人会社)

と、5つの英語のロゴが大きく書かれていた。

知ってはいたがこうして文字で並べると、うちの奥さんはすごい事業家になっていた。
莉子は、ここにリトグラフを作るアトリエも持っている。

10階は、この会社群が入っているだけだ。

しかし、中を見た莉子が「なんだか私のアトリエが狭くなった気がする……」と言っていた。
夏が知らん顔をしたので、俺は笑いたいのを堪えた。

夏の音楽事務所が横やりで入ってきたんだから、こうなるよね。
しかも音楽事務所は、夏、桐生、村瀬、佐伯、三枝、西嶋メグ——6人なんだからさ。
莉子に勝ち目はないよ。

俺は、莉子のリトグラフの引っ越しを手伝った。
音楽事務所の引っ越しはもう終わっていたから、皆一緒に手伝ってくれた。

この日は、9階の医師寮の引っ越しもすべて終わっていた。
三浦先生の綿密なスケジュール作りの賜物だろう。

さあ、皆で大浴場に入るぞ。

でも行ったら満員で、男風呂の入口には長い列ができていた。
女子は誰も待っていない。莉子がニヤッとして中に入った。

くそー。

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