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第13章 菜の花の新しい風
256話 見せた?見せてないよ
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その日の夜だった。大浴場のいい湯加減で、気分よく帰ってきた。
玄関のドアを開けると、夏が腕組みして俺を待ち伏せしていた。
「ただいま~。いいお湯だったよ。夏も入っておいでよ」
莉子はダイニングテーブルで両ひじをついて、微妙な表情でこっちを見ていた。
でも、夏は睨んだまま。なんだか怒ってるようだ。
「なに? なんか怒ってるの?」
「お兄さん、なんで大浴場なんかに行くの?」
「え? なんでって、気持ちいいからでしょう? いけないの?」
「ダメに決まってるでしょう!」
「はあ? なんでダメなの?」
「だって、お兄さんの……みんなが見たんだよ!」
莉子が声を出さずに、お腹を押さえて笑ってる。
俺もプーっと吹き出してしまって、なんというか……助けてくれえ~。
笑いが止まらない‥‥‥。
「誰も俺のなんか見てないよ」
まだまだお腹が揺れてる。
「見てるに決まってるでしょう! だってお兄さんの‥‥‥なんだよ。みんな絶対、見たよ!」
あははは、笑ってもう喋れない。
「いや、見てないって。だってね、ぎりぎりまでタオルで隠してたもん。だから大丈夫だよ」
「本当?」__笑ってしまってもうダメ。ククク……。
「大丈夫だよ。みんなだって必死で自分のを隠してたよ。夏も行ってみればわかるよ」
「……じゃあ、お兄さんは、俺が他の人に見せてもいいわけ?」
えっ? 墓穴掘った?
クスクス笑いが止まらない。堪えろ、オレ。
「だってさ、減るもんじゃないし。どうってことないよ」
一瞬で夏の形相が変わった。
「もう! お兄さん、嫌い!」
捨て台詞を残して、4階にだーっと駆け上がった。
「あ~あ……春ちゃんも大変だねえ~。夏って、私よりも繊細なんだねえ」
と言いながらも、莉子はまだクスクス笑っていた。
ああ~面倒くさい。ダイニングの椅子にドカッと座った。
「春ちゃん、いいの? 夏を慰めてきたら? こじれても知らないよ」
せっかく、いい気分で帰ってきたんだけどなあ__。
夏は本当にマジでやきもち妬きだよ。
「だってさ、今までだって温泉大浴場に入ってたのにさ。菜の花で入っちゃダメなんだ」
「春ちゃんはモテるから悔しいんじゃないの? 夏はきっと、宝にしたかったんだよ。かわいそうだから、慰めてきたら?」
「はいはい、分かりましたよ」
仕方なく上に行った
4階の俺の寝室にはいなかった。
夏の部屋をノックしたけど、返事がない。
しょうがないからドアを開けたら、ベッドで頭から布団をかぶって泣いていた。
もう~どうしよう。この乙女をねえ‥‥‥。
悲しそうに嗚咽している。
こんなに泣かせたかったわけじゃない。
やっぱりかわいそうになった。
布団をめくってベッドに入った。
うつぶせで泣いていたから、背中から抱きしめた。
「夏、ごめんね。もう行かないからさ。本当に誰にも見せてないって」
「もう、絶対に行かない?」
また笑いたくなったんだけど、堪えるのが苦しい。
「うん、行かないよ。俺は夏だけのものだよ」
そしたら、くるっと仰向けになって、俺の首に両手を回して抱きついてきた。
「絶対だよ」
「うん、わかったから。ねっ、ご飯食べようよ。お腹が空いて死にそうだよ」
「うん」と頷いた。
腕で涙目をこすりながら、トボトボ歩く夏の手を引いて下に降りた。
ああ~‥‥‥。
玄関のドアを開けると、夏が腕組みして俺を待ち伏せしていた。
「ただいま~。いいお湯だったよ。夏も入っておいでよ」
莉子はダイニングテーブルで両ひじをついて、微妙な表情でこっちを見ていた。
でも、夏は睨んだまま。なんだか怒ってるようだ。
「なに? なんか怒ってるの?」
「お兄さん、なんで大浴場なんかに行くの?」
「え? なんでって、気持ちいいからでしょう? いけないの?」
「ダメに決まってるでしょう!」
「はあ? なんでダメなの?」
「だって、お兄さんの……みんなが見たんだよ!」
莉子が声を出さずに、お腹を押さえて笑ってる。
俺もプーっと吹き出してしまって、なんというか……助けてくれえ~。
笑いが止まらない‥‥‥。
「誰も俺のなんか見てないよ」
まだまだお腹が揺れてる。
「見てるに決まってるでしょう! だってお兄さんの‥‥‥なんだよ。みんな絶対、見たよ!」
あははは、笑ってもう喋れない。
「いや、見てないって。だってね、ぎりぎりまでタオルで隠してたもん。だから大丈夫だよ」
「本当?」__笑ってしまってもうダメ。ククク……。
「大丈夫だよ。みんなだって必死で自分のを隠してたよ。夏も行ってみればわかるよ」
「……じゃあ、お兄さんは、俺が他の人に見せてもいいわけ?」
えっ? 墓穴掘った?
クスクス笑いが止まらない。堪えろ、オレ。
「だってさ、減るもんじゃないし。どうってことないよ」
一瞬で夏の形相が変わった。
「もう! お兄さん、嫌い!」
捨て台詞を残して、4階にだーっと駆け上がった。
「あ~あ……春ちゃんも大変だねえ~。夏って、私よりも繊細なんだねえ」
と言いながらも、莉子はまだクスクス笑っていた。
ああ~面倒くさい。ダイニングの椅子にドカッと座った。
「春ちゃん、いいの? 夏を慰めてきたら? こじれても知らないよ」
せっかく、いい気分で帰ってきたんだけどなあ__。
夏は本当にマジでやきもち妬きだよ。
「だってさ、今までだって温泉大浴場に入ってたのにさ。菜の花で入っちゃダメなんだ」
「春ちゃんはモテるから悔しいんじゃないの? 夏はきっと、宝にしたかったんだよ。かわいそうだから、慰めてきたら?」
「はいはい、分かりましたよ」
仕方なく上に行った
4階の俺の寝室にはいなかった。
夏の部屋をノックしたけど、返事がない。
しょうがないからドアを開けたら、ベッドで頭から布団をかぶって泣いていた。
もう~どうしよう。この乙女をねえ‥‥‥。
悲しそうに嗚咽している。
こんなに泣かせたかったわけじゃない。
やっぱりかわいそうになった。
布団をめくってベッドに入った。
うつぶせで泣いていたから、背中から抱きしめた。
「夏、ごめんね。もう行かないからさ。本当に誰にも見せてないって」
「もう、絶対に行かない?」
また笑いたくなったんだけど、堪えるのが苦しい。
「うん、行かないよ。俺は夏だけのものだよ」
そしたら、くるっと仰向けになって、俺の首に両手を回して抱きついてきた。
「絶対だよ」
「うん、わかったから。ねっ、ご飯食べようよ。お腹が空いて死にそうだよ」
「うん」と頷いた。
腕で涙目をこすりながら、トボトボ歩く夏の手を引いて下に降りた。
ああ~‥‥‥。
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