診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

文字の大きさ
259 / 363
第13章 菜の花の新しい風

257話 最大の山場・病室のベッド搬入

しおりを挟む
 さて、昨日は夏が俺に張り付いて、寝返りも打てなかった。
身体中がこりこりだ。
ああ~、なんでこうなる。

今日は、2号館8階の技師寮の引っ越しがある。
ここは12室あるから、引っ越しも大変だ。

ところで、三浦先生に“内緒の話”があった。
会いに行くと、忙しそうにしていた。

「実は、サテの西村主任の後の技師寮が1室空いたんだけど、入りませんか?
この間引っ越したばかりだからどうかと思ったんだけど、
これから新生児で目の離せない患者も出てくると思うから、技師寮の方が楽だと思うんだけど、どうかなあ?」

ニヤッと笑った。「いいんですか?」

俺も笑った。「早い者勝ちだから、こっそり言いに来たんだよ」

三浦「では喜んで、お願いします!」

「了解。いつ頃引っ越せる?」

三浦「技師寮の引っ越しが終わったら、すぐ移りますね。よろしくお願いします」

よしよし、これで落ち着いたな。

実は、あそこを狙ってるやつが多くて、俺は何人にも聞かれたんだよね。

とりあえず、サテの部屋を見に行ったら、きれいに掃除がしてあった。
さすがに西村主任だよね。こういうところが、本当に義理堅いんだよ。

西村主任には、インカムで三浦先生が後に入ることを伝えた。

そしてこの日は、すべての技師寮が引っ越しを終了したそうだ。
まあ、先に入った医師寮のメンバーたちが手伝ったからか?
いや、それにしても手回しがいいわ。

じゃあ、三浦先生は明日には来れるかもしれないな。


翌日からは、ベッドの搬入になった。
先に病室の100床だ。

入院用のベッドは重い。だから搬入も部品ごとの搬入になる。
一応、組み立て費込みの価格なので業者にやってもらうんだけど、
その分、梱包の段ボール類はこっちで片付けるので、なるべく早く進めてもらえるようにお願いした。

4階~7階までの4フロアなので、100床を10人のスタッフが来てくれて、1日で組み立ててくれる。

花井部長の計画では、1フロアにつきベッドの片づけなどの担当者は各2名。
その間に、他のスタッフは各階のナースステーションに入れる机や椅子、本棚、デスクトップPCなどをセッティングする。
ステーションの横のキッチンには、冷蔵庫やキッチン用品などをセット。

また、他のスタッフはベンチやテーブルなどのラウンジをセットする。
これを4フロアがそれぞれ担当することになる。

他に、ベッドの搬入が終わったら、1階の耳鼻科と眼科の搬入とセッティングがある。
機械類は業者が入るが、小さい機械などはそれぞれのナース達でやってもらう。

この日は西村主任が終日、この二つの係の担当をしてくれた。
ありがたい。

今日は、できたところで終わり。続きは明日だ。

明日は、IUUや回復室、産婦人科のベッド搬入になる。

今日も疲れた。
しかし、すべて順調に回っている。

そうだ、地下はどうなってるかな?
山野課長の様子を見に行こう。

行くと、頼もしいまでに交通整理——というか、大声で指示を飛ばしまくっていた。

大型トラックが重なると、大声を出してもドライバーには聞こえにくい。
その合間に、中型や小型トラックが入ってくるから、納品受付も二人でやっていて、ものすごく大変そうだった。

しかも、サテや屋上の厨房にも食品が納品されるからね。
ちゃんと現場に届いているかな?
冷蔵庫や冷凍庫に収めないと、腐っちゃうからね。

本館の屋上の厨房は、まだ撤去しない。
ぎりぎりまで三輪さんたちがやるそうだ。

合間を見て山野さんに声をかけた。

「山野さん。お疲れ様です。大変そうですね。問題はないですか?」

「ああ~院長、そうなんですよ。声が届かなくて、勝手にトラックをバックさせて入れようとするからね。
Uターンもなかなか難しいですしね。声がかれてきましたよ」

「大変だね。もうちょっと続くからね。山場はあと4~5日だと思うので、よろしくお願いしますね」

ポケットにあった飴を差し出した。

「えー?」と言ってたが、貰ってくれた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『続・聖パラダイス病院』

菊池昭仁
現代文学
『聖パラダイス病院』の続編です。こんな病院なら入院生活も悪くはありません。

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

女性が少ない世界でVTuberやります!

dekoma26+ブル
恋愛
ある日朝起きてキッチンに行くとそこには知らない男性たちが! …え、お父さん⁉ なぜか突然女性の少ない世界に来てしまった少女がVTuberをしたり、学校に通ったりするお話。 ※初日一気に4話投稿してから恋愛大賞エントリーしたため文字数5万これから(´;ω;`)みんなも参加するときは注意してね! ※忘れてなければ毎週火曜・金曜日の夜に投稿予定。作者ブル

恋が温まるまで

yuzu
恋愛
 失恋を引きずる32歳OLの美亜。 営業課のイケメン田上の別れ話をうっかり立ち聞きしてしまう。 自分とは人種が違うからと、避けようとする美亜に田上は好意を寄せて……。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。

俺に抱かれる覚悟をしろ〜俺様御曹司の溺愛

ラヴ KAZU
恋愛
みゆは付き合う度に騙されて男性不信になり もう絶対に男性の言葉は信じないと決心した。 そんなある日会社の休憩室で一人の男性と出会う これが桂木廉也との出会いである。 廉也はみゆに信じられない程の愛情を注ぐ。 みゆは一瞬にして廉也と恋に落ちたが同じ過ちを犯してはいけないと廉也と距離を取ろうとする。 以前愛した御曹司龍司との別れ、それは会社役員に結婚を反対された為だった。 二人の恋の行方は……

溺愛ダーリンと逆シークレットベビー

吉野葉月
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。 立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。 優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?

処理中です...