診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第13章 菜の花の新しい風

258話 第2の山場・ICUと産婦人科

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 昨日、病室のベッド100床のセッティングがすべて完了した。
今日は引き続き、3階のICUと回復室のベッド組み立て。

それから、麻酔科外来、放射線科外来、臨床工学士室、循環器研究室と部屋数が多いため、
カンファレンスルームと研修生のミーティングルームが兼用になってしまった。

ただし、なんとか指導医室は確保できた。
とはいえ、設営はそれぞれに大変だ。

同時に2階では、産婦人科のベッドの組み立て。
陣痛室、分娩室、ベビールームには保育器の搬入。

このベビールームは、サテの2階の検査室などがある通路に繋がっている。
まあ、非常口だね。普段は双方とも閉じているが、
万が一火災の時は、この非常口からキャスター付きの保育器をどんどん逃がすことができる。

もちろん、動けない妊産婦もだ。これは内部の人間だけが知っている。
まあ、赤ちゃんは宝だからね。

奥には泌尿器科がある。
ここはナースが2名しかいないので、医師と力を合わせて設営してほしい。

あと、医局の設営もある。
机や椅子、パソコン、ベンチなどの搬入とセッティング。

川瀬や三浦小児科医が、ナースや助産師たちと一緒に、せっせと進めてくれていた。

三浦医師が忙しいため、しばらくは2号館採用の小児科医に、本館の小児科外来を担当してもらっている。

各係には、診察台やカートキャビネット、机、椅子、パソコンのセッティング。

2階と3階は、今日と明日が山場になる。



さて、5日目になると「大体できました」と報告が来るようになった。
大物は終わり、あとは係別に細かい備品類をセットすることになる。

さて、外科はここからがメインだから、一番大変。

手術室のAI手術機械の組み立てに、メーカーさんがチームを組んでやって来た。

岩城や佐久間先生、速見先生の外科チームも興味津々。
2名が、違う角度から録画を回していた。

手術室は“大”と“中”があるため、両方の設営をしないといけないが、
皆、AIの方を見逃すまいと必死だった。

まあ、順番は良いよ。
ただ、ナースが右往左往していないか?

医局の設営もしないとね。
でもまあ、放っておこう。好きにやってくれ。


今度は、サテの4階の物流センターに行った。

うわ~、どこもかしこもてんこ盛りだ。
氷壁の間を通るようなもんだ。もう足の踏み場もない。

「あっ、院長先生」と声がかかった。小林えりかさんだ。
ここで薬品類など、細かいものを整理整頓している。

「どう? なんとかやれてる? 納品が多くて大変そうだけど」

「そうなんですよ。頭の中がメリーゴーランドです」

うん? ぷっと笑った。楽しいなあ。

「皆、係の人たちがちゃんとやりに来てるかなあ?」

「ああ、多分そうだとは思いますが、一度に何人も来るので、
私が自分の仕事に集中してやってると、誰が何をしたのか全然分からないんですよ。
手も回らないし」

「うん、わかった。気にしなくていいよ。
みんな勝手にやってると思うから、自分のペースでやって良いよ」

にっこり笑って「はーい」と答えてくれた。可愛いな。

自分の世界に入ってやってるんだろうから、きっと仕事は楽しいんだろうね。

そんな人が一人でもいてくれて、よかった。


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