261 / 363
第13章 菜の花の新しい風
259話 ところがどっこい
しおりを挟む
2号館の引き渡しから2週間が経った。
ほとんどの設営は終わっている。
診察に使う医薬品や医療器具、備品類は、どこもセッティングが完了しているようだ。
各フロアの医局も、すでに整っている。
ただ、病床のベッドにはまだシーツなどが掛けられていない。
これは看護助手が実習として行う予定で、1月になってから始めるそうだ。
今からやると、埃をかぶってしまうからだ。
1階に行くと、耳鼻科も眼科もOK。
医事課と受付、総合案内、相談ルーム、入院受付も準備できている。
ああ~でも、どうかなあ?
もしかしたら、入院受付は1階が混むようなら、4階にしてもいいかもしれない。
様子を見よう。
あとは院内処方ができる薬局。
これは薬局のメーカーさんにお願いしているので、すべてお任せの場所だ。
それから、通路を利用したミニ売店。
壁をうまく利用して、あまり場所を取らないように設計されている。
ここの担当は、菜の花フーズから派遣された小林佳奈さんと杉山朋子さん。
「お疲れ様。どうですか? 整いましたか?」
「あっ、院長先生。お疲れ様です。ありがとうございます。
もう大体は整っています。ただ、生鮮品をどの程度入れて良いのか、まだ分からないんです」
「いいですよ。様子を見ながらで。需要があってから入れても間に合いますよ。
まだオープンは1月ですからね」
「はい。わかりました」と、声を揃えてくれた。
さて、あとは10階だな。覗きに行こう。
10階は、夏や莉子がいるところだ。何やってるんだろう?
このフロアは、2日間で引っ越しを終了して、とっくに営業を開始している。
ドアを開けて、音楽事務所の方に行った。
今日の夏はレッスンに行っていて不在だ。
「西嶋さん、調子はどうですか? 制服がなかなか似合っていますよ」
ふふふ、と照れ笑いをしていた。
「電話番と聞いていたのですが、ところがどっこいでした」
「うん? どうしたの?」
「もう、難しいことばっかりやってと言われてます」
うん? と桐生さんを見ると、苦笑いをしていた。
「ああ~、あいつが犯人だね?」と桐生さんを指さした。
みんながドッと笑った。桐生さんは笑いながら、片手で顔を隠した。
「多分ね、西嶋さんもここで1年くらいやってると、すごいキャリアになると思うよ」
「えー、そうですか?」
「うん。でも他所に行かないでね。多分、ここが一番給料をもらえるはずだよ」
「はーい! 分かりました」と、元気よく返事が返ってきた。
桐生さんは、ニヤニヤしながら両手で拝むように俺に手を合わせた。
もっと拝めー!とは言わないが、「かわいがってやってね」と一言添えておいた。
その時、なんか変な歌が隣から聞こえてきた。なに??
そっちの方に行くと、アニメプラスだった。
歌っていたのは、藤堂流星さんだ。
誰かが「院長先生だ」と言ったので、
えっ? 振り返って俺を見て、歌を止めた。
「今のはなんの歌なの?」
藤堂「今のはABCDのアルファベットの歌なんですけど、
コマンドの早覚え歌と言いますか、いい加減なんですけど、どんどん替え歌にしていくんですよ。
自分がすぐ忘れることとか、覚えたいことを歌にしていくと、思い出すんですよね」
「へえ~、そうなんだ」
それを教わっていた新人、アニメーターの野村碧人さんに聞いた。
「歌ってみてどうですか? やっぱり覚えやすいですか?」
野村「はい、覚えやすいのですが、同じメロディだとダブっちゃうので、
別のメロディーを持ってきたりするんですが、今度はどのメロディーにしたかを忘れちゃうんですよね」
もう、どっとみんなが笑った。藤堂さんも苦笑いしていた。
「頑張って」と言って終わりにした。邪魔してもいけない。
ほとんどの設営は終わっている。
診察に使う医薬品や医療器具、備品類は、どこもセッティングが完了しているようだ。
各フロアの医局も、すでに整っている。
ただ、病床のベッドにはまだシーツなどが掛けられていない。
これは看護助手が実習として行う予定で、1月になってから始めるそうだ。
今からやると、埃をかぶってしまうからだ。
1階に行くと、耳鼻科も眼科もOK。
医事課と受付、総合案内、相談ルーム、入院受付も準備できている。
ああ~でも、どうかなあ?
もしかしたら、入院受付は1階が混むようなら、4階にしてもいいかもしれない。
様子を見よう。
あとは院内処方ができる薬局。
これは薬局のメーカーさんにお願いしているので、すべてお任せの場所だ。
それから、通路を利用したミニ売店。
壁をうまく利用して、あまり場所を取らないように設計されている。
ここの担当は、菜の花フーズから派遣された小林佳奈さんと杉山朋子さん。
「お疲れ様。どうですか? 整いましたか?」
「あっ、院長先生。お疲れ様です。ありがとうございます。
もう大体は整っています。ただ、生鮮品をどの程度入れて良いのか、まだ分からないんです」
「いいですよ。様子を見ながらで。需要があってから入れても間に合いますよ。
まだオープンは1月ですからね」
「はい。わかりました」と、声を揃えてくれた。
さて、あとは10階だな。覗きに行こう。
10階は、夏や莉子がいるところだ。何やってるんだろう?
このフロアは、2日間で引っ越しを終了して、とっくに営業を開始している。
ドアを開けて、音楽事務所の方に行った。
今日の夏はレッスンに行っていて不在だ。
「西嶋さん、調子はどうですか? 制服がなかなか似合っていますよ」
ふふふ、と照れ笑いをしていた。
「電話番と聞いていたのですが、ところがどっこいでした」
「うん? どうしたの?」
「もう、難しいことばっかりやってと言われてます」
うん? と桐生さんを見ると、苦笑いをしていた。
「ああ~、あいつが犯人だね?」と桐生さんを指さした。
みんながドッと笑った。桐生さんは笑いながら、片手で顔を隠した。
「多分ね、西嶋さんもここで1年くらいやってると、すごいキャリアになると思うよ」
「えー、そうですか?」
「うん。でも他所に行かないでね。多分、ここが一番給料をもらえるはずだよ」
「はーい! 分かりました」と、元気よく返事が返ってきた。
桐生さんは、ニヤニヤしながら両手で拝むように俺に手を合わせた。
もっと拝めー!とは言わないが、「かわいがってやってね」と一言添えておいた。
その時、なんか変な歌が隣から聞こえてきた。なに??
そっちの方に行くと、アニメプラスだった。
歌っていたのは、藤堂流星さんだ。
誰かが「院長先生だ」と言ったので、
えっ? 振り返って俺を見て、歌を止めた。
「今のはなんの歌なの?」
藤堂「今のはABCDのアルファベットの歌なんですけど、
コマンドの早覚え歌と言いますか、いい加減なんですけど、どんどん替え歌にしていくんですよ。
自分がすぐ忘れることとか、覚えたいことを歌にしていくと、思い出すんですよね」
「へえ~、そうなんだ」
それを教わっていた新人、アニメーターの野村碧人さんに聞いた。
「歌ってみてどうですか? やっぱり覚えやすいですか?」
野村「はい、覚えやすいのですが、同じメロディだとダブっちゃうので、
別のメロディーを持ってきたりするんですが、今度はどのメロディーにしたかを忘れちゃうんですよね」
もう、どっとみんなが笑った。藤堂さんも苦笑いしていた。
「頑張って」と言って終わりにした。邪魔してもいけない。
5
あなたにおすすめの小説
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
女性が少ない世界でVTuberやります!
dekoma26+ブル
恋愛
ある日朝起きてキッチンに行くとそこには知らない男性たちが! …え、お父さん⁉
なぜか突然女性の少ない世界に来てしまった少女がVTuberをしたり、学校に通ったりするお話。
※初日一気に4話投稿してから恋愛大賞エントリーしたため文字数5万これから(´;ω;`)みんなも参加するときは注意してね!
※忘れてなければ毎週火曜・金曜日の夜に投稿予定。作者ブル
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
俺に抱かれる覚悟をしろ〜俺様御曹司の溺愛
ラヴ KAZU
恋愛
みゆは付き合う度に騙されて男性不信になり
もう絶対に男性の言葉は信じないと決心した。
そんなある日会社の休憩室で一人の男性と出会う
これが桂木廉也との出会いである。
廉也はみゆに信じられない程の愛情を注ぐ。
みゆは一瞬にして廉也と恋に落ちたが同じ過ちを犯してはいけないと廉也と距離を取ろうとする。
以前愛した御曹司龍司との別れ、それは会社役員に結婚を反対された為だった。
二人の恋の行方は……
溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
吉野葉月
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる