273 / 357
第14章 2号館がオープンへ
271話 山本君の爆弾・2
しおりを挟む
山本「……あのう、実はもっと提案があるのですが。もしヒンシュクだったら、怒らないでいただけますか?」
夏「何ですか? 先輩、はっきり言ってくださいよ」
山本「もちろん、莉子さんにも夏さんのリトグラフをたくさん描いていただいて、特集が組めるくらいになれば、またそれを取材させていただきたいです。
それをインスタに出したり、廊下に展示したりしても良いと思うんです。
これだけで、院長と夏さんで2回分の取材になりますからね」
また、みんながくすくすと笑った。
桐生「いやあ~、もうこっちが勉強になりますよ。なんだか今まで、ぼーっとしていたような気がします。
理事の絵ができたら、絵ハガキを作ってサイトで販売しましょうよ。もちろん、莉子さんのリトグラフもね」
莉子「わ~、大変。そんなにいっぱい描けるかなあ?
春ちゃんのだけは結構描いてるんだけど、全部顔だけなのよね。
今度はいろんな写真を撮りまくって、もっと普段の顔も出してみようかな」
山本「それが良いと思いますよ。
あと、最後になるんですが……ちょっとこれは言っていいのかどうか……。
オープンしたばかりですし……」
院長「いいよ。別に怒らないから、言ってみて」
山本「2号館の正面の壁面に、莉子さんが壁画を描いたらどうかなと思ったんです。
もちろん、その過程を取材させていただきたいのですが‥‥‥」
え、壁画?
シーンとしてしまった。
お互いに顔を見合わせるばかりで、何と言っていいか分からない。
新築だし……その壁に「壁画」?
考えたこともなかった。
みんな、驚きすぎて言葉が出ない。
そこへ、いきなり興奮した人がいた。
莉子「やるー! 絶対壁画をやるー!」
莉子「だって、考えたこともなかったけど、いつも人のを見て“カッコいいなあ”って思ってたんだよね。
でも社長が何て言うかなあ……建物が建ったばかりだからねえ……。それは聞いてみないといけないもんね」
桐生「そうですね。でも、いいような気もしますよ」
村瀬「僕も、それは素晴らしいと思います」
夏「いいかもしれない。
だって、この辺でビルに壁画があるところって、ないよね?
どこか知ってる?」
みんな、首をひねった。
「俺も聞いたことがないよ。
だけど、描くのはいいとして……大変すぎないか? 体力的にさ」
莉子「それだけは自信がないよ。でも、倒れたらすぐ見つけてくれるでしょう?」
「莉子、足場を作って、布をかぶせて隠して描くんだから、
倒れても誰も気づかないよ」
莉子「ええ?……」
桐生「壁画って、どれくらいの期間でできるものなんですか?
あと、1人で描くものなんですか?
莉子さんがデザインして、手分けして描いてもらったらダメなんですか?」
山本「その辺は、まだ分からないです。すみません。
描くこと自体、どんな材料で描くのかも不明ですし、外壁との兼ね合いもあると思うので、それは専門家の方に聞いていただければと。
あと、手分けするのはOKだと思います。よく数人で描いているのを見かけたことがありますよ」
夏「はい、分かりました。莉子、本当にやりたいの?」
莉子「うん。やる!
私のライフワークとして残したいの。
10年くらいでも保てばいい。
外壁を塗り直すなら、今度は別の絵を描きたいもん。
壁画なら、通る人みんなに見てもらえるもんね!」
期待感でいっぱいらしく、笑顔がこぼれている。
かわいいけどね。
村瀬さんが携帯で調べていた。
村瀬「あー、待ってください。壁画のプロ集団がいますよ。
専門に請け負っているようです。
デザインができたら、そこに相談してみてはどうでしょうか?
莉子さんが描きたい気持ちは分かりますが、3階の高さの足場に乗って描くなんて、こっちが怖くてしょうがないです。落ちたらと思うと、恐ろしすぎます。
だって、莉子さんには元気でいていただかないと、今の商売だって続かないですよ」
ぷっと、みんな笑った。
その通りだよ。
「そうだよ、莉子。怖すぎて、こっちの心臓が持たないよ。
デザインだけにしたって、同じものができるなら、プロに任せてほしいよ」
莉子「ええ?‥‥‥」
頬を膨らませて、憮然としている。
ああ~もうダメだ。
莉子は走り出してしまった。
こうなったら、誰にも止められないよ。
夏「何ですか? 先輩、はっきり言ってくださいよ」
山本「もちろん、莉子さんにも夏さんのリトグラフをたくさん描いていただいて、特集が組めるくらいになれば、またそれを取材させていただきたいです。
それをインスタに出したり、廊下に展示したりしても良いと思うんです。
これだけで、院長と夏さんで2回分の取材になりますからね」
また、みんながくすくすと笑った。
桐生「いやあ~、もうこっちが勉強になりますよ。なんだか今まで、ぼーっとしていたような気がします。
理事の絵ができたら、絵ハガキを作ってサイトで販売しましょうよ。もちろん、莉子さんのリトグラフもね」
莉子「わ~、大変。そんなにいっぱい描けるかなあ?
春ちゃんのだけは結構描いてるんだけど、全部顔だけなのよね。
今度はいろんな写真を撮りまくって、もっと普段の顔も出してみようかな」
山本「それが良いと思いますよ。
あと、最後になるんですが……ちょっとこれは言っていいのかどうか……。
オープンしたばかりですし……」
院長「いいよ。別に怒らないから、言ってみて」
山本「2号館の正面の壁面に、莉子さんが壁画を描いたらどうかなと思ったんです。
もちろん、その過程を取材させていただきたいのですが‥‥‥」
え、壁画?
シーンとしてしまった。
お互いに顔を見合わせるばかりで、何と言っていいか分からない。
新築だし……その壁に「壁画」?
考えたこともなかった。
みんな、驚きすぎて言葉が出ない。
そこへ、いきなり興奮した人がいた。
莉子「やるー! 絶対壁画をやるー!」
莉子「だって、考えたこともなかったけど、いつも人のを見て“カッコいいなあ”って思ってたんだよね。
でも社長が何て言うかなあ……建物が建ったばかりだからねえ……。それは聞いてみないといけないもんね」
桐生「そうですね。でも、いいような気もしますよ」
村瀬「僕も、それは素晴らしいと思います」
夏「いいかもしれない。
だって、この辺でビルに壁画があるところって、ないよね?
どこか知ってる?」
みんな、首をひねった。
「俺も聞いたことがないよ。
だけど、描くのはいいとして……大変すぎないか? 体力的にさ」
莉子「それだけは自信がないよ。でも、倒れたらすぐ見つけてくれるでしょう?」
「莉子、足場を作って、布をかぶせて隠して描くんだから、
倒れても誰も気づかないよ」
莉子「ええ?……」
桐生「壁画って、どれくらいの期間でできるものなんですか?
あと、1人で描くものなんですか?
莉子さんがデザインして、手分けして描いてもらったらダメなんですか?」
山本「その辺は、まだ分からないです。すみません。
描くこと自体、どんな材料で描くのかも不明ですし、外壁との兼ね合いもあると思うので、それは専門家の方に聞いていただければと。
あと、手分けするのはOKだと思います。よく数人で描いているのを見かけたことがありますよ」
夏「はい、分かりました。莉子、本当にやりたいの?」
莉子「うん。やる!
私のライフワークとして残したいの。
10年くらいでも保てばいい。
外壁を塗り直すなら、今度は別の絵を描きたいもん。
壁画なら、通る人みんなに見てもらえるもんね!」
期待感でいっぱいらしく、笑顔がこぼれている。
かわいいけどね。
村瀬さんが携帯で調べていた。
村瀬「あー、待ってください。壁画のプロ集団がいますよ。
専門に請け負っているようです。
デザインができたら、そこに相談してみてはどうでしょうか?
莉子さんが描きたい気持ちは分かりますが、3階の高さの足場に乗って描くなんて、こっちが怖くてしょうがないです。落ちたらと思うと、恐ろしすぎます。
だって、莉子さんには元気でいていただかないと、今の商売だって続かないですよ」
ぷっと、みんな笑った。
その通りだよ。
「そうだよ、莉子。怖すぎて、こっちの心臓が持たないよ。
デザインだけにしたって、同じものができるなら、プロに任せてほしいよ」
莉子「ええ?‥‥‥」
頬を膨らませて、憮然としている。
ああ~もうダメだ。
莉子は走り出してしまった。
こうなったら、誰にも止められないよ。
4
あなたにおすすめの小説
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
網代さんを怒らせたい
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「なあ。僕たち、付き合わないか?」
彼がなにを言っているのかわからなかった。
たったいま、私たちは恋愛できない体質かもしれないと告白しあったばかりなのに。
しかし彼曰く、これは練習なのらしい。
それっぽいことをしてみれば、恋がわかるかもしれない。
それでもダメなら、本当にそういう体質だったのだと諦めがつく。
それはそうかもしれないと、私は彼と付き合いはじめたのだけれど……。
和倉千代子(わくらちよこ) 23
建築デザイン会社『SkyEnd』勤務
デザイナー
黒髪パッツン前髪、おかっぱ頭であだ名は〝市松〟
ただし、そう呼ぶのは網代のみ
なんでもすぐに信じてしまい、いつも網代に騙されている
仕事も頑張る努力家
×
網代立生(あじろたつき) 28
建築デザイン会社『SkyEnd』勤務
営業兼事務
背が高く、一見優しげ
しかしけっこう慇懃無礼に毒を吐く
人の好き嫌いが激しい
常識の通じないヤツが大嫌い
恋愛のできないふたりの関係は恋に発展するのか……!?
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
純愛以上、溺愛以上〜無愛想から始まった社長令息の豹変愛は彼女を甘く包み込む~
芙月みひろ
恋愛
保険会社の事務職として勤務する
早瀬佳奈26才。
友達に頼み込まれて行った飲み会で
腹立たしいほど無愛想な高原宗輔30才と出会う。
あまりの不愉快さに
二度と会いたくないと思っていたにも関わらず
再び仕事で顔を合わせることになる。
上司のパワハラめいた嫌がらせに悩まされていた中
ふと見せる彼の優しい一面に触れて
佳奈は次第に高原に心を傾け出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる