診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

文字の大きさ
299 / 357
第15章 進むべき道へ

297話 コンサート前日

しおりを挟む
 明日の本番を控え、みんな緊張しまくりだ。

コンサートは18時開場、19時開演、終演は20時30分。撤収は22時まで。
朝は9時からでないと、人も荷物も入れない。

今日は臨時アルバイトやスタッフ、出演者が全員ダンススタジオ集合し、説明会が行われる。

ダンススタジオはぎっしりだ。

まず全員に部屋の入り口で、明日着るスタッフ用のTシャツが配られた。

前も後ろの<NATSU>と大書きしてあって、
その下に添えるように、Entertainment Group の文字が入っていた。

次に映像をみんなで見る。
レオさんが作った3Dのコンサート風景をプロジェクターで映し出された。
同時に音楽も流れる。

画面の左下にはスケジュールの時刻が刻まれていく。
ただ、MCとのトークは 何分間とテキストで表示される。

歌っている部分は早送り。ダンサーたちの踊りも入っていた。
全体の流れが分かりやすい。


レオさんが「大体こういう流れで演奏会を行う予定です」すると、「わ~」と、みんなのため息とともに拍手が送られた。

これから先は人数が多いため、上下に分かれて打ち合わせを実施。

ここではエリナさんや運営スタッフも全員集合し、手順や役割の確認が進められた。


上の音楽スタジオでは、販売方法をアルバイトスタッフに説明していた。

「なんか凄そうですねえ」と山科看護部長が嬉しそうに言う。
皆もうんうんと頷いていた。
うれしいようなミーハーのような?
でも頼りになる、”荷物持ち隊クラブ”のスタッフが16名、物販を手伝ってくれるそうだ。

ここでは2000人も一斉にグッズを見ると思うから、18時から18:55分までが戦争のように勝負。
その後は20:30分から30分がまた勝負。

長机ごとにグッズの名前を書いた立看板を用意した。
でないと2000人に埋もれちゃう。なるべく広い範囲に机を広げる。

少しでも分散して見てもらわないと駄目だ。

でもメグちゃんの意見で、
「もうグッズがあるならさっさと先にネット販売した方が良くないですか?
そしたら現地の混乱が減ると思いますよ」と言われ、
__みんなでダーッとなったらしい。(笑)

しかもだよ、ネットで買ってくれた人には”特典を付けないと駄目”ってメグちゃんが言ったんだって。
それで、急遽A5の写真とサインが入ったファイルを写真違いで2種類用意。

1種類はネットで販売する。もう1種類は特典用。

特典なのに部外者が欲しがって困るから、
ネットで売ってる方を買ってくださいって言う為なんだって。経験あるのかな?

とにかく、ネットで写真集を買ってくれた人に特典でファイルをつけるそうだ。

理由は、”差別化とネットで買うとお得ってことを刷り込みたい”からだそうだ。

「えー?あのメグちゃんがそう言ったの?」

桐生「ふふふ、もう僕たちはお手上げですよ。あの世界は全部メグちゃんに任せますよ」

へえ~、信じられない。メグちゃんにそんなところがあったんだ。
まあ、とにかく経験者には叶わない。
誰もファンクラブなんて入ったことがないんだからさ。

そういうわけで、ネットではどんどん先行販売を始めた。
もちろん特典付き写真集もね。

まあ、公演が終了したら舞台も楽屋もすべてさっさと撤収をしてもらおう。
それぞれにみんな緊張感と期待感でいっぱいのようだ。
すごくいい顔をしている。


それなのに、なぜか主役の夏がいまいち浮かない顔をしている。
スタジオの端の方で一人ぽつんとしていた。

「夏、どうかしたの?心配ごとが出来た?」

聞かれて夏が少しうつむいた。

「あのね、来るかどうかの返事がないから、KAIにメールしたんだよ。そしたら招待状を貰ったことは知らなかったんだって。俺音楽事務所宛てに送ったからさ。でもいろいろ事情があって、多分誰も今はいけないと思うって返事が来たんだよ。だから心配なんだよね。どうしたのかなあと思ってさ‥‥‥」

「ふ~ん。そうなんだ。もしかしたら、あの事務所の事だからなんかトラブってるのかもね。でも今心配してもしょうがないから、今日と明日は忘れて公演に集中した方が良いよ。だって後で録画を送るだろう?」

少し頬が緩んだ。
夏「うん、そうするよ。成長したとこを見せないといけないもんね」

「そうだよ、一番いいとこを見せないとね」

夏がふっと笑っていつもの表情に戻った。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『続・聖パラダイス病院』

菊池昭仁
現代文学
『聖パラダイス病院』の続編です。こんな病院なら入院生活も悪くはありません。

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

網代さんを怒らせたい

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「なあ。僕たち、付き合わないか?」 彼がなにを言っているのかわからなかった。 たったいま、私たちは恋愛できない体質かもしれないと告白しあったばかりなのに。 しかし彼曰く、これは練習なのらしい。 それっぽいことをしてみれば、恋がわかるかもしれない。 それでもダメなら、本当にそういう体質だったのだと諦めがつく。 それはそうかもしれないと、私は彼と付き合いはじめたのだけれど……。 和倉千代子(わくらちよこ) 23 建築デザイン会社『SkyEnd』勤務 デザイナー 黒髪パッツン前髪、おかっぱ頭であだ名は〝市松〟 ただし、そう呼ぶのは網代のみ なんでもすぐに信じてしまい、いつも網代に騙されている 仕事も頑張る努力家 × 網代立生(あじろたつき) 28 建築デザイン会社『SkyEnd』勤務 営業兼事務 背が高く、一見優しげ しかしけっこう慇懃無礼に毒を吐く 人の好き嫌いが激しい 常識の通じないヤツが大嫌い 恋愛のできないふたりの関係は恋に発展するのか……!?

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。

純愛以上、溺愛以上〜無愛想から始まった社長令息の豹変愛は彼女を甘く包み込む~

芙月みひろ
恋愛
保険会社の事務職として勤務する 早瀬佳奈26才。 友達に頼み込まれて行った飲み会で 腹立たしいほど無愛想な高原宗輔30才と出会う。 あまりの不愉快さに 二度と会いたくないと思っていたにも関わらず 再び仕事で顔を合わせることになる。 上司のパワハラめいた嫌がらせに悩まされていた中 ふと見せる彼の優しい一面に触れて 佳奈は次第に高原に心を傾け出す。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

処理中です...