診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第16章 光 ― スポットライトの向こうへ

306話 夏の新しい名前?

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 倒れてから6日目。ようやく夏が朝礼に出られるようになった。

6階のフロアに姿を見せた瞬間、声援と大拍手が巻き起こった。
「カッコいい!」なんて掛け声まで飛んでいた。

夏は照れまくり。

俺が合図を送ると、台に乗って挨拶を始めた。

「おはようございます。先日のコンサートでは、皆さんにお越しいただき、
さらに応援までいただいて、本当にありがとうございました。
すごくうれしかったです。また頑張るので、よろしくお願いします」

その瞬間──

「おーじー!」と、みんなが叫んだ。

夏が「えっ?」という顔で桐生くんを見て、首をかしげた。
俺も意味が分からなかった。

桐生さんが小声で夏に言った。

「“王子様”の“王子”ですよ。新しい理事のあだ名らしいです」

夏は笑って、恥ずかしそうに両手で顔を隠してしまった。

会場は大爆笑。

誰かの「せーの!」の掛け声で、みんながそろって叫んだ。

「王子ー! がんばってぇ~!」

──笑うな。まったく。
もう夏もお手上げだよ。

でも、ちゃんと手を振ってた。「ありがとう」って言いながら。

まあ確かに、“リージー”と“オージー”は響きが似てるけどね。

今や、事務所でもアニメプラスでも、みんなが“王子”って呼んでるらしい。
もちろん、ダンスチームも音楽チームも全員だとか。
呼びやすいのかな?

それとも、終演後に寝込んだことで、“か弱い”イメージがついたのかもしれない。

──まあ、いいさ。
か弱い人には、ハードなことを要求しづらいからね。

ちょうどいい。
“王子”って呼ばれると、なんだか許されることが多くなる気がする。

──ラッキーだ。

ところで、桐生さんに「あとで事務所に来てほしい」と言われた。

「何かあるの?」
「メグちゃんがプレゼンしたいそうなので、院長や理事にも来てほしいそうです」
「え? なにごとなの?」

ニヤニヤして、教えてくれない。なんだろう?

──メグちゃんがプレゼン?
びっくりだ。いきなりそこまで行ったか。

事務所の会議室に行くと、なぜかみんながニコニコしていた。

メグ「わざわざお越しいただいてすみません。でも、理事や院長先生の許可がいるんですよ」

──えー、なんだろう?

夏と顔を見合わせた。

メグ「では、始めます。これを見てください」

そう言って、スケッチブックを開いた──。


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