診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第18章 回復と未来を目指して

343話 ヴォクシブ・音楽スタジオ見学・2

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 皆が俺達に気づいて演奏を止めた。

監督のレオさんがこちらを見て、にこっと笑顔を見せてくれた。

レオ「皆さん、体の具合はどうですか?そろそろ元気になりましたか?」

夏「ご覧の通りですよ。ええとね。こちらが監督のレオさんです。みずきさんの相棒でもあります。ずっとハリウッドやロスでナイトショーなども手掛けていたそうです」

「じゃあ、皆自己紹介をしようか?」
すると次々にメンバーが自己紹介をしていった。サウンドクルーのメンバーも自己紹介をしていた。

KAI「このバンドの皆さんは夏のバックバンドになるの?」

夏「そうだよ。名前があって、ナツ・サウンド・クルーって言うんだ。全員揃うと8人かな。パーカッションやトランペット、サックスも入るし、あとピアニストのまあちゃんは編曲や作曲もしてくれるんだよ」

ジュン「じゃあ、この前の弦楽の人たちは?」

夏「弦楽の人たちはナツ・アンサンブルと言って、常時は13人なんだけど、登録制の人も入れると17人かな」

ノア「今日はブースで練習してる人もいたけど、他の人はどうしてるの?」

夏「多分、出稼ぎじゃないかな?」

KAI「はー?なにそれ?」

夏「皆、基本は無料の寮が付いて朝食は無料。活動している時は昼夜の弁当付き。毎月の最低保証が5万から15万。衣装も保証。活動する時は別途手当てが支給されるんだよ。それと空いてる時間は出稼ぎに行って良いんだ。福利厚生は浅田工業の社員になってるから手厚いよ」

皆きょろきょろとお互いの顔を見合わせていた。

夏「なに?何か変?」

KAI「いや、なんというか、恵まれすぎ?丸抱えだろう?」

夏「そうなるかな?」

ジュン「だってさ、普通は音楽で食えないやつはいろんなところでバイトするんだぜ」

ノア「ここは音楽だけ専念しようと思えばできるってことだろう?しかも衣食住付きでさ」

夏「だからさ、俺の成長待ち?」

ぷはーっと大爆笑になった!!

バンドメンバーも監督も、皆で笑い転げてしまった。

KAI「なんか俺気が抜けた!今までの俺達って何だったんだろう?苦労しすぎ?」

皆、力なく、へなへなとなってしまった。

バンドメンバーもみんな笑いながらも、ちょっと微妙な表情になっている。

院長「監督、なんかちょっとでいいんだけど、バンドのメンバーで聴かせてくれませんか?」

レオ「ああ、いいですよ。じゃあ、夏さん歌いますか?」

夏「ちょっと照れ臭いな。何が良いんだろう?」

「夏、この前の乾杯の歌?朝礼の、あれ良かったよ」

夏「じゃあ、楽譜があるかな?」

まあちゃん「ピアノで先に入りますから、歌ってください。バンドメンバーはあとから適当に入ってください」

前奏が始まった。夏が前方に進むとこちらを向いた。

夏が歌い始める。

♬「かたい絆に 思いを寄せて~♬ 乾杯 今君は人生の~♬」

夏の声も良かったけど、ピアノのリードにさりげなくバンドの音が寄り添う。

夏、またうまくなったね。

ヴォクシブのメンバーもじっと聴き入っていた。
終わると一瞬音が止まり、やがてみんなで拍手喝采だ。

KAI「すげえ~、夏はまたうまくなってる。もう独り立ちして確かに2000人聴かせられるよ。納得だよ」

みんなすごく感動してくれたみたいだ。

レオ「夏さん、またうまくなりましたね。楽しみだなあ~早く活動を始めてくださいよ。みんな待ってますよ」

ピアニストのまあちゃんが、
「夏さん、今度はヴォクシブの皆さんとやっても良いじゃないですか?それだと1万5千人くらいの会場が必要になりますけどね。楽しみですよ。バックの伴奏もダンサーも100%揃ってますしね。やればできちゃいますよ」

KAI「そうだよ。やればできるんだから勿体ないよ。みんなもそう思うだろう?」

うんうん、と皆頷いていた。

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