診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

文字の大きさ
346 / 363
第18章 回復と未来を目指して

344話 ヴォクシブ・俺達の未来

しおりを挟む
 夏の歌を聴いた後は、みんなで5階に行った。

そこは夏のグッズが段ボール箱で山積みになっていた。

受付には、マコこと松井誠君と、かなピンこと持田香菜さんが事務仕事をしていた。

俺達を見ると二人とも「ええーーっ?」と両手を口元に当てて驚いていた。

夏「お疲れ様です。今日はヴォクシブのメンバーに見学してもらってます。自己紹介をお願いします」

マコ「初めまして、松井誠です。マコと呼んでください。舞台装置の専門学校を出て、今後は裏方の舞台装置を作っていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします」

かなピン「初めまして、持田香菜です。皆さんに“かなピン”と呼ばれています。私は夏さんのグッズの整理や納品管理が仕事です。あとは事務所のメグちゃんと連携して、ファンクラブのことをいろいろやっています。よろしくお願いします」

メンバーも挨拶していたが、ノア君が「はあ~」とため息をついていた。

「ノア君、どうしたの?疲れた?」

KAI「お兄さん、俺分かる。だってさ、夏はまだ始めたばかりなのに、これだけグッズがあって、しかも専任の事務員までいるんだよ。新人でそんな人いないよ。俺達なら分かるよ。それにしても夏は全く規模が違うから、マジため息ものだよ」

夏「えへへへ、俺もそう思うんだよね。気持ちが全然ついていけないもん」

KAI「そうだ、俺達のグッズってどうなったんだろう?ものすごい量があるはずなんだけど、捨てたのかな?」

夏「違うよ、向こうが買って欲しいって言うから買い取ったんだ。今は工場に置かせてもらってるよ」

ジュン「そうなんだ。ありがとうございます。でもあんまり保存しておけないよね?Tシャツとか黄ばんでくるでしょう?」

夏「うちでも新たにヴォクシブのカッコいいデザインで作りたいと思ってるんだ。だから上の6階はまだ空いてるから、そこに置こうと思ってるんだよね。コンスタントに活動できるようになったら、上にも事務員を置かないと駄目だろうね」

院長「だからオリオン時代のグッズはプレゼントにするとかさ、何か活かした方がいいよね?」

トーマ「そうだよね。こういう休んでる期間になんかイベントをやって、そこでプレゼントをしたいよね。抽選でも良いし、安いチケットにしてTシャツ付きでもいいしね。なんでもいいんだけどさ」

院長「一度棚卸したら?」

夏「それはね、大丈夫。引き取る時にリストがあったから」

院長「そしたら休んでる間にできることを考えてもいいかもね」

ノア「そうですよね。そろそろ次を考えた方がいいよね?」

夏「それさ、監督やみずきさんにお願いして考えてもらったら?そのためにいるんだからさ」

KAI「うん?そんなことでいいの?」

笑う。やってもらうことに慣れてないんだね。多分、それが普通だよ。

院長「良いんじゃない。まだみんな療養中なんだから、ややこしいことを背負う必要はないんだよ。監督やみずきさんはプロなんだから、やってもらうと良いよ。一度乗ってみたら?分業でいいんだよ」

ノア「そうなんだ。なんだかちょっと笑えて来た。あんまりそういう経験はないよね?」

KAI「おんぶに抱っこだもんな」
みんなでどっと笑った。

夏「じゃあさ、充電中になってるんだから、何らかの途中経過というか、ちょっとあいさつ代わりに何かした方がいいよね?そこでグッズの在庫がはけるようにしようよ。

できれば再活動する時には新しいグッズを出した方がいいと思うよ。ファンもその方が新鮮でしょう?
デザインを考えないといけないな。莉子にも考えてもらおうか?」

KAI「ええ?高いんじゃないの?無理だよ」

夏「大丈夫だよ。任せてよ。ただねえ、莉子は今忙しいんだ。午前は作詞をしてるし、午後は壁画を書くからデッサンをやってるんだ。時々はゲームの打ち合わせもしてるしさ。どこかで時間が取れるかな?でも聞いてみるよ」

院長「よし、じゃあ帰ろう。みんな疲れたでしょう?」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『続・聖パラダイス病院』

菊池昭仁
現代文学
『聖パラダイス病院』の続編です。こんな病院なら入院生活も悪くはありません。

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

女性が少ない世界でVTuberやります!

dekoma26+ブル
恋愛
ある日朝起きてキッチンに行くとそこには知らない男性たちが! …え、お父さん⁉ なぜか突然女性の少ない世界に来てしまった少女がVTuberをしたり、学校に通ったりするお話。 ※初日一気に4話投稿してから恋愛大賞エントリーしたため文字数5万これから(´;ω;`)みんなも参加するときは注意してね! ※忘れてなければ毎週火曜・金曜日の夜に投稿予定。作者ブル

恋が温まるまで

yuzu
恋愛
 失恋を引きずる32歳OLの美亜。 営業課のイケメン田上の別れ話をうっかり立ち聞きしてしまう。 自分とは人種が違うからと、避けようとする美亜に田上は好意を寄せて……。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。

俺に抱かれる覚悟をしろ〜俺様御曹司の溺愛

ラヴ KAZU
恋愛
みゆは付き合う度に騙されて男性不信になり もう絶対に男性の言葉は信じないと決心した。 そんなある日会社の休憩室で一人の男性と出会う これが桂木廉也との出会いである。 廉也はみゆに信じられない程の愛情を注ぐ。 みゆは一瞬にして廉也と恋に落ちたが同じ過ちを犯してはいけないと廉也と距離を取ろうとする。 以前愛した御曹司龍司との別れ、それは会社役員に結婚を反対された為だった。 二人の恋の行方は……

溺愛ダーリンと逆シークレットベビー

吉野葉月
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。 立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。 優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?

処理中です...