ぼくが風になるまえに――

まめ

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27 番外編・精霊樹のこども 03 (R18)

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「……あっ、ダレン、焦らすのヤダぁ……もう入れてよぉ」

「んっ、もっととろとろにしてやる……」

 いつもよりダレンの攻めがねちっこい。――最近エッチをしていなかったせいかな。だって、春は眠いんだもん。
 フロルが他のことを考えたとたんに、両乳首ををきゅっとつままれて、びくんと体が跳ねた。
 しつこく乳首をこねながら、ダレンはフロルの下腹部をねっとりと舐めあげる。屹立した部分だけは器用に避けて、あくまでやさしく舐めるだけの愛撫を続ける。
 ゆるやかな波のような刺激に、フロルはもどかしくて頭がおかしくなりそうだった。

「ふぇっ、ふぇぇん……ダレンが意地悪するぅ。やだぁ、あっ……あん……」

 涙を流して懇願するフロルを、満足そうにながめたダレンは、ようやく自分の剛直をフロルの奥に埋めた。ぬぷり……ぐぐっ。くちゅ、くちゅ、と艶かしい音が響く中、ずっと我慢していたフロルは簡単に達してしまった。

「フロル、もうイッたのか?気持ちよかった?ふふっ……」
 
 悪戯そうにダレンは笑うと、イッたばかりの快感に震えるフロルの身体に、ようしゃなく己を打ち付けた。

「ひぃっ、ひん。……ふぁぁん、ヤぁっ、ダレン。ぼく、もう死んじゃうぅ……」

 フロルが二度目の高みにのぼると、ダレンも彼の奥に自らの精を注ぎ込んだ。
 どこまでも深く、どこまでも遠く――心と身体がひとつに重なる。

――ぴんっ!――
 
 その瞬間、フロルの意識の奥で、なにかが“結ばれる”音がした。
 光の糸が、胸の奥からどこか遠くへ伸びていく。
 しかし、その感覚は一瞬のことで心はすぐ現実に引き戻される。
 
 くたくたになりながら、フロルは、自分の胸に倒れこみ満足そうな笑みを浮かべる、愛しい伴侶の髪をふぁさふぁさと撫でた。――いつみてもかわいいな。さっきは鬼だったけど。

 ――その糸が精霊樹へとつながっていたことに、まだ、フロルは気づいてはいなかった。
 
 けれど確かに、丘の上ではふわりと風が生まれ、眠っていた枝先にひとつ、つぼみが息づいたのだった。  

◇◇◇

 翌朝は、しとしととやわらかな雨が降っていた。
 季節は春、雨が大地にしみこむたびに、眠れる草木が目を覚ます。
 フロルの一番好きな季節だった。

 午後になり雨があがると、大きな虹の下、フロルはカノラの花芽を摘みに出かけた。明るく黄色い花はかわいらしいが、茹でて食べるとほんのり苦味があってクセになる。

「おや、こんなとこまで来ちゃったか……」
 
 カノラが群生する河原を、摘みながら歩いていくと、いつのまにか精霊樹の丘にたどりついていた。
 摘みたての黄色い花をカゴから取り出し、供物台に供える。

「今年もカノラの花の季節になったよ。春だよねえ」

 話しかけながら、精霊樹を見上げると、ちょうどフロルの頭の上くらいに、小さな白いつぼみを見つけた。

「あ!君!ついにつぼみをつけたのか!えっ? もしかしてぼくが昨日エッチしたから……?やだぁ……」

 離れていてもお見通しなのか。――フロルは精霊フロルがよろこんでいるのを、肌で感じた。
 柵をまたいで、太くなった幹に触れるととくんと脈動のようなものを感じた。

「生きてるんだよなあ……君もぼくも」

 フロルは帰宅すると、王都に住むナディクに手紙を書いた。
 精霊樹の誕生には、ナディクにずいぶん助けられた。精霊樹の仮の父といってもさしつかえないだろう。
 今回、初めて花がついたことを真っ先に報告したい人だった。きっと精霊樹のことだから、また一筋縄ではいかない出来事が待っているような気がした。

 ――――――

 ご連絡ありがとうございます。
 すぐ向かいます。
     ナディク

 ――――――

 一週間後、手紙の返事が届いた翌日に、ナディクはセルフィーユ領主邸に現れた。きっと手紙の配達と同時にあちらを発っている。
 フロルも家族も、予想した通りの早さだった。もちろん、滞在する部屋も準備はバッチリだ。

「セルフィーユ家のみなさま、ご無沙汰してます!王都の魔術研究所に勤める、魔術師ナディクでございます!今回はお呼びくださり、誠にありがとうございますっ!では、さっそく精霊樹の様子見に行きますね。なんたって、精霊樹に姿を変えてから初めての花ですよ。どんな花が咲くのか、はたまたどんな実が成るのか。精霊が生まれるかもしれませんね。ちなみにフロル殿はなにかそれに関係することをしましたか?えと、ダレン殿とするアレですよ。セッ」

「あー!あー!聞こえなーい! ナディクさん、もうそれ以上しゃべんないで!つぼみを見に行こうよー」

 フロルはナディクの口をふさぎ、彼の手をひいた。
 ナディクの出迎えに揃っていた、家族もダレンも使用人たちも、ナディクの相変わらずのノリに笑いが止まらなかった。

 
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