異世界で王城生活~陛下の隣で~

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5キャンちゃんと陛下

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※お気に入り555ありがとうございます♥
 本日はほんの少し書き進めることが出来ましたので、お昼に投稿いたしました。
 夜にまた1話追加致します。
**********

 このキャンピングカーは外国から輸入したもので日本ではまだ数台?日本車より幅も広いし、六~七人は優に寝泊まりが出来る。私はキャンちゃんに乗り込み、エンジンをスタートさせた。
 
 ブロロロ――――

 陛下たちとキャンちゃんの見張りに立っていた二人の兵士が、やはり後ずさった。
 小屋の中には排気ガスが……
 こんな綺麗な世界に害をもたらすのは良くないなー。まあ、どちらにしても燃料が無くなったらお飾りになるだろうけど。
 小屋から出して運転席から降りると、陛下が傍に寄って来る。

「どうして動くのだ。やはり魔法なのか?」
「魔法なんて使えませんよ。キャンちゃんは燃料で動くんです。それと、屋根を見て下さい」
「なんだこれは、鏡みたいなものが付いているぞ」
「それはソーラーパネルと言って、太陽の光を受けてエネルギーに変えて充電してるんですよ」
「ソーラー?太陽光?」
「はい、車の中の機器は電気を使っているんです。バッテリーという箱があって、そこに電気が蓄電されているんです。電池が切れた時の為に、太陽から熱を貰って常に充電をしているの」
「良く判らないが、不思議としか言いようがない」
「中を見てみます?」
「ああ、頼む」
「ここが運転席。手でハンドル操作とギアの入れ替えをします。このペダルを踏むと車が動き出して、こっちを踏むとブレーキが掛かり止まります」
「ふむ。座り心地が良さそうな椅子だな」
「この前の計器でさっき言った、燃料の残量が分かります。昨日満タンにしたので、燃料はフルに近いですね。でも、これが切れたら……」
「使えなくなるのか?」
「はい、そうです。車は走れなくなるけど、中にある機器類はソーラーシステムがあるので大丈夫です。凄いでしょう?」
 さっき天使もどきが、神様のお詫びで電気類は永久使用できるって言ってたけどね。

「後ろを見て下さい。私の居住空間ですよ」
 サイドの扉を開けてみせる。

「な、何だここは!まるで部屋じゃないか」
 二人は木目仕様の内装を見て驚いてる。

「えへへ、うちはお金持ちって言ったでしょう?祖父と父は車やキャンプが好きなので、高級仕様車を買ってくれて、私好みにカスタイマイズしたんです」
「高級……カスタ?って……装飾品は無いけど、王家専用の馬車にも引けを取りませんね」
 向かい合わせにもなるL字型のソファにテーブル。折り畳み式のダイニングテーブルにキッチンとシャワーも備え付けである。
 このキャンピングカーお値段は内装費込みで二千万円近くするのよ。金貨二百枚よ!

「ねえ、陛下。この運転席の上と、このソファはちょっと動かすとベッドになるの。それから後ろにも広めのベッドもあるのよ、ほら!」
 私が後部の閉めていたカーテンを開けると、ベッドにゴロンと横になる。すると、何を思ったのか陛下も上って来て横に寝転んで来た。

「うわっ、何で横に寝るの!」

「なんでって、ユリカがベッドだというから寝てみただけだ」

「へ、陛下、ですぞ!!!」

「キャステル、同衾などとバカな事を云うんじゃない!ただ横になっているだけだ」

「横の窓から景色も空も見えるのだな。ああ、天井もか。私の寝台はもっと広いが、このくらいのスペースはなんか落ち着く」

 陛下は外を見る為に、私と向かい合わせのような体制になった。
 少し眩しそうに外を見ている顔を見て、私の心臓がトクンと跳ねた。

「あ、あのう、こっちも見て下さい。ここでお料理も出来るんです!」

 ドキマギしてしまった胸の鼓動を沈めようと焦り、慌ててベッドから降りる。

「こんな狭い場所で料理が出来るというのか?」
「そ、そうなんです。とりあえず、殿下もキャステルさんもこっちに座って貰えますか」

「ああ」「はい」

 そそくさとケトルを取り出し水を入れてコンロにかけた。
 湯を沸かしてインスタントコーヒーを入れ、二人の前に置く。

「良い香りですね」とキャステルさんが目を瞑って言った。
「そうだな」
 香りは二人とも満足したようだ。
「そのままでは苦いので、砂糖とミルクをお好みで入れて下さいね」
 私も自分のカップを持って、キャステルさんの横に腰を下ろした。

「なぜ、キャステルの横に座る?」

「えっ、だって。陛下のお隣なんて恐れ多いです」
した仲だと云うのにか?」
「「へっ?」」
 キャステルさんと同時に変な声が出てしまった。

「陛下いい加減にして下さい」
 キャステルさんに何を言われようともマイペースな陛下に驚いてしまう。
 砂糖とミルクの両方を入れて澄まして飲む陛下。

「あれ、なんか普通に飲んじゃってるけど、こういう世界ってお毒見とかするんじゃないんですか?」

「……何も考えてなかった」
「そうでしたね」
 二人は沈んだ声でぼそりと答えた。


 こうして、キャンちゃん試乗会は終わった。


 私たちはお城の中に戻って来ました。
 今度通されたのはもっと立派なお部屋です。私がキョロキョロしていると、私の執務室だと陛下が教えてくれました。

「宰相にユリカを会わせなくてはならないな」
「そうですね、今後の事を相談しなくてはなりません」
「私、牢屋とかに入れられちゃうの?」
「いや、そんな事は無い。間者では無いと分かれば、客人として迎えられる」
 本当だろうか。
「キャステル、ドミニクに伝令を。今までの経過を直に説明してきてくれ」
「はい」

 キャステルさんが宰相だというドミニクさんのところへ行った後、陛下とまた二人きりとなってしまう。

「ユリカは今、何歳なのだ?」

「私ですか?二十歳ですけど陛下は?」
「私は三十一だが……ユリカは二十歳なのか?どう見ても十五、六にしか見えんが」
「失礼ですね!ちゃんと成人してますよ」
 日本人て海外の人から見ると幼く見えるって言うけど、こちらの世界でもそうなのかな。

「随分お若くて陛下になるなんて、結婚はしてるんですか?」
「否、妃は迎えていない」
「そ、そうなんですか」
「俺には弟がいるのだが、身体が弱くてな。でも結婚はしているぞ。私は第一王子だったが、本当は国王の座は弟に譲り諸国漫遊の旅に出たかった」
「ふーん、色々あるんですね」
「ああ、俺は王になんかならずに自由に生きたかっただけだがな」
「そうは言っても、王族なら自分優先なんて出来ないでしょう?」
「その通りだ」

 ………………

 なんかしんみりとしてしまったところへ、キャステルさんが戻って来た。

「陛下、宰相を含め居合わせた大臣たちを謁見室で待たせております」
「そうか、しかしその服装では」
 陛下が彼のコートを羽織ったままの私に視線を向けてくる。
「あっ、ご心配なく。さっきキャンちゃんからGパンを持って来たので。着替える場所を貸してください」
「ん?ああ、ならば隣室を使え」

 私は隣の部屋を借りてハーフパンツからGパンに着替える。お偉いさんたちに会うのに生足は良くないよね。
 着替えた私を見て殿下は「ドレスではないのか」と呟くのが聞こえたけど、聞かなかった事にして借りた上着をお返した。



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