異世界で王城生活~陛下の隣で~

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 長い廊下を進み大きな扉の前に着いた。
 観音開きの背の高い扉が二人掛かりで開かれると、そこは大広間って感じ。
 床は大理石なのか艶があって滑りそうだ。
 その部屋の一番奥に何段か高いステージがあった。
 玉座って言うんだろうね。大きくて立派な椅子だよ。
 私達が来るのを待っていたおじ様たちが一斉に頭を下げる。

 私は玉座の下まで陛下に連れられて進む。陛下は階段を上り玉座に座ると、私をその横に立たせた。

「皆キャステルからおおよその事は聞いているだろうが、彼女が今朝王城内にこの世にはない車と云うもので突然現れた、異世界人のユリカ・タサキだ」
「は、初めまして。ユリカ・タサキと申します」

「この方が……」
 皆さん神妙なお顔をして、私の事を見ています。

「タサキ殿と申されるのか。話はキャステルから聞いております。数代前の王の時代には聖女召喚が行われていたの確かです。この世界とは別のところからやって来た人間がいたと文献には残っておりますが、いろいろ不都合が生じて、あれは禁止されました。我々が召喚した訳でもなく、タサキ殿がここへ来たという事は、神のお導きに違いありません。グランティア王国はユリカ・タサキ殿を客人として丁重に持て成すべきでございますな、陛下」

「ああ、ドラフクター大公。私もそう思っておる」
 一番偉そうだと思われるおじさまの言葉に陛下も当然だと言わんばかりに答えた。
 少し陛下に似ている気がするので、王家の人かもしれないな。

「あっ、ありがとうございます」
 私は慌てて頭を下げた。
「面を上げよ」陛下が声を掛けてくれた。こうしてみるとさっきまでの陛下とは別人だわ。
「はい」

「ふむ、なかなか可愛いお顔をされておりますな。陛下の側室になる気はございませんか、タサキ殿?」
 ドラフクターさんが、にんまりと笑いながらとんでもないことを言いおった!

「え?とんでもないです!陛下の側室だなんて、私のような小娘には務まりません。辞退させて頂きます」
「ふふふ、そうですか。残念な事ですな、陛下」
 そう言って陛下の方を見ながらドラフクターさんは声を立てて笑ったのです。
 隣の陛下が何故かため息を吐き、呆れ顔で私の事を見つめて来ます。

 なに、なんなの陛下?
 他のおじさま達もにやにや笑ってるよ。どういう事ですか?
 丁寧にお断りしたけど、何か言い間違いでもしちゃいましたか?それとも揶揄われたのをマジで返事して笑われたの?

「ユリカ嬢のために、客室の用意を。侍女二名と護衛を一人付ける」
「「「御意」」」
 周りにいる人たちが一斉に返事をして頭を下げます。
 おお、なんか凄い。
「ユリカ、此奴が、宰相のドミニクだ。何でも相談に乗ってくれる」
 そう言って、イケオヤジを紹介してくれた。
「宰相を務めております、ドミニク・マーキュリアルと申します。我がグランティア王国へようこそ、ユリカ・タサキ殿。何かございましたらなんなりとお申し付け下さい」
「あっ、ありがとうございます。宜しくお願い致します」
 ドミニクさんは小柄でやせ型、年は四十前半て感じだろうか?

「それからさっき、呆けた事を言っていたのは、私の大叔父のドラフクターだ。悪気はないので気にせずともよい」
 あっ、さっきの側室って揶揄われたやつね。
「大丈夫です。気にしてませんので」
 私はにっこりと微笑んでみせた。

「側室……ということは無いな」
 陛下のつぶやきに、キャステルさんとドミニクさんが顔を見合わせている。

 どうせそうでしょうよ。こんな十五、六にしか見えない娘を一国の国王陛下が、相手にするわけないわよ。
 ましてや、こんなイケメン陛下は女なんてより取り見取りでしょうよ。

 少しふてぐされ気味の私に陛下は言う。

「私が宣言したのだ。今からユリカは我が国の大切な客人となった。必要なものがあったら侍女に言えばドミニクに伝えてくれる。願いは何でも叶えられるぞ」
「えっ、そうなんですか?」
「その通りですよ、ユリカ嬢。他国から来たお姫様と変わらぬ待遇、それ以上であります」
 キャステルさんの態度もまた変わった?

 王様の一言凄し!!!

 そんな訳で王城内を案内して貰いながら、私は部屋が準備できるまで陛下の執務室で待つことになったのでした。
 
「シリウス陛下」
「何だ、ユリカ」

 陛下は執務机の上に山済みとなっている書類に目を通している最中だった。
 眉間に皺をよせ、私の方を見る事もなく返事を返す。

「私、部屋を用意してくれなくても大丈夫ですよ?」
「何故だ?」
 書類をめくる手を止め、私の方に視線を向けた。
 綺麗な目だなー……って、今はそんな事関係ないぞ!友里香。

「さっき見たでしょう?私、キャンちゃんの中で十分暮らせますから」
「キャンちゃんか。しかし、私が客人と認めた以上それは無理だな」
「えー、何でですか!」
「ユリカには侍女と護衛が付く事になる。その者たちを、アレの外に控えさせるつもりか?」
「ん-、侍女さんも護衛さんもいりませんよ」
「客人となった以上そういう訳にはいかないのだ。日中キャンちゃんのところへ出向く事は可能だが、夜は王宮内で休んでもらう」
 ぶー。私は口をへの字に曲げて態度で抗議したが、陛下とキャステルさんに笑われただけだった。

 部屋の準備が出来たとの知らせが来たので、キャステルさんと侍従さんに案内される。
 陛下はお仕事が溜まっているようなので、晩餐の時に迎えに来てくれると言っていた。




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