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お仕事のはずなのに、そんな顔であんなことをするのは少し狡いと思う
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逃亡した飼い猫を捕まえるかのようにノアの襟首を掴んだグレイアスは、そのままぐいっと顔を近付ける。
対してノアは、自分の首がもげるんじゃないかと心配するくらい横を向く。
「……お前、城を出るって言ったけど、まさかローガンに脅されて怖気づいたのか?」
「まさか。ってか先生、実名公表するのはやめてください」
「うるさい。それよりも、今更殿下を見捨てるようなことを言うんだ?黙秘するなら、力づくで吐かせるぞ。その前に答えろ」
凄んでいるグレイアスは、前髪が邪魔なようで、何度も空いている方の手でかき上げている。
そういう仕草が、年上のお姉さまの心を鷲掴みにするんだなとノアは妙に納得する。
しかし、そこまで凄まれるこの現状は、納得できない。なぜならノアは───
「いやあの……ちょっと孤児院の皆が元気かどうか確認してくるだけで、すぐに戻ってきますけど?まぁ、溜まりに溜まったお休みをそろそろ消化させていただこうとも思ってまして。つまり、単なる一時帰宅するだけです」
っという理由だからである。
だからノアはグレイアスからこんな扱いを受ける義理はない。
そう主張しようとしたけれど、現在グレイアスは魂をどこかに落としてしまったかのような呆けた顔をしているので、ノアはそっちの方に気持ちを全部持っていかれてしまった。
「……は?一時帰宅??」
「ええ、そうです。お仕事の取り決めをした際に、殿下から10日に一度はお休みして良いよって言われていたんです。ただ、休む必要がなかったからこれまで取ってなかっただけで……って、先生?聞いてます??私、契約違反っぽいことはしてないですよ。あと、そろそろ、その手を離してくださーい」
びよーんと持ち上げられた状態で、懇切丁寧に説明をして、ついでに身柄拘束を解いてもらうようお願いしたら、あっさりとグレイアスは手を離した。
ただあっさりしすぎて、ノアはその場にぺしょりと尻もちを付く。できれば、一言くらい予告が欲しかった。
「つまり、あなたはこれからも殿下の傍にいるってことでよろしいですか、ノア様?」
急に口調が戻ったグレイアスに、ノアは痛みに顔を顰めながらも、こくりと頷いた。
「痛ててっ……あ、はい。ひとまずは夏が過ぎて、完璧に秋になるまではお世話になるつもりです。……まぁそんな長く働きたいと言っても、殿下には殿下の都合があるから」
「殿下の都合は、どうでもいいんです。とにかくあなたは、まだここに居るんですね?」
「居ますよー」
「……」
潰れたお尻を撫でながらノアが雑な返事をすれば、なぜかここでグレイアスは顎に手を当て、思考の森に入ってしまった。
ここはグレイアスの私室で彼のプライベート空間だから、考え事をしようが、お茶を飲もうが、居眠りしようが好きにすれば良いと思う。
だがしかし、尻もちの件だけは、ちょっとは謝って欲しかったとノアは思う。
という気持ちをジト目で訴えてみるが、グレイアスの瞳にはノアは完璧に映っていない。
そして、ノアが自分が透明人間になってしまったかと本気で不安になったころ、ようやっとグレイアスは思考の森から帰還した。
そして、こう呟いた。
「よし、これは利用できそうだ」
対してノアは、自分の首がもげるんじゃないかと心配するくらい横を向く。
「……お前、城を出るって言ったけど、まさかローガンに脅されて怖気づいたのか?」
「まさか。ってか先生、実名公表するのはやめてください」
「うるさい。それよりも、今更殿下を見捨てるようなことを言うんだ?黙秘するなら、力づくで吐かせるぞ。その前に答えろ」
凄んでいるグレイアスは、前髪が邪魔なようで、何度も空いている方の手でかき上げている。
そういう仕草が、年上のお姉さまの心を鷲掴みにするんだなとノアは妙に納得する。
しかし、そこまで凄まれるこの現状は、納得できない。なぜならノアは───
「いやあの……ちょっと孤児院の皆が元気かどうか確認してくるだけで、すぐに戻ってきますけど?まぁ、溜まりに溜まったお休みをそろそろ消化させていただこうとも思ってまして。つまり、単なる一時帰宅するだけです」
っという理由だからである。
だからノアはグレイアスからこんな扱いを受ける義理はない。
そう主張しようとしたけれど、現在グレイアスは魂をどこかに落としてしまったかのような呆けた顔をしているので、ノアはそっちの方に気持ちを全部持っていかれてしまった。
「……は?一時帰宅??」
「ええ、そうです。お仕事の取り決めをした際に、殿下から10日に一度はお休みして良いよって言われていたんです。ただ、休む必要がなかったからこれまで取ってなかっただけで……って、先生?聞いてます??私、契約違反っぽいことはしてないですよ。あと、そろそろ、その手を離してくださーい」
びよーんと持ち上げられた状態で、懇切丁寧に説明をして、ついでに身柄拘束を解いてもらうようお願いしたら、あっさりとグレイアスは手を離した。
ただあっさりしすぎて、ノアはその場にぺしょりと尻もちを付く。できれば、一言くらい予告が欲しかった。
「つまり、あなたはこれからも殿下の傍にいるってことでよろしいですか、ノア様?」
急に口調が戻ったグレイアスに、ノアは痛みに顔を顰めながらも、こくりと頷いた。
「痛ててっ……あ、はい。ひとまずは夏が過ぎて、完璧に秋になるまではお世話になるつもりです。……まぁそんな長く働きたいと言っても、殿下には殿下の都合があるから」
「殿下の都合は、どうでもいいんです。とにかくあなたは、まだここに居るんですね?」
「居ますよー」
「……」
潰れたお尻を撫でながらノアが雑な返事をすれば、なぜかここでグレイアスは顎に手を当て、思考の森に入ってしまった。
ここはグレイアスの私室で彼のプライベート空間だから、考え事をしようが、お茶を飲もうが、居眠りしようが好きにすれば良いと思う。
だがしかし、尻もちの件だけは、ちょっとは謝って欲しかったとノアは思う。
という気持ちをジト目で訴えてみるが、グレイアスの瞳にはノアは完璧に映っていない。
そして、ノアが自分が透明人間になってしまったかと本気で不安になったころ、ようやっとグレイアスは思考の森から帰還した。
そして、こう呟いた。
「よし、これは利用できそうだ」
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