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ラズールが僕の方を向く。
僕はシャツを握りしめたまま、話し出した。
「ラズール、僕がここに戻ってきたのは、姉上を助けるためだよ。このままだと、たぶん姉上の病は治らない。姉上は助からない。僕だけが姉上を助けられるんだ」
「どういうことです?」
「夢を…見たんだ。母上が亡くなられた日に、僕は高熱を出して倒れた。その時に母上が夢に出てきて、姉上が再び病に倒れたこと、姉上を助けられるのは僕だけだということを話してくれた。だから僕は、バイロン国に使者として来たトラビスに頼んで、連れ帰ってもらったんだ」
「あなたしか助けられないとは、どういうことなのですか?」
ラズールの顔が、声が怖い。怒っているようだ。今から僕が、良からぬことを言うと気づいたようだ。
ラズールは立ち上がると、僕に手を伸ばした。
僕はラズールの手を避けて、横に移動する。なんとか平静をよそおうと笑ってみせるけど、頬が震えてうまく笑えない。
「ラズール…昔に話してくれたこと、覚えてる?」
「なんの…話ですか」
「呪われた子には、蔦のような痣が身体にあるって話」
「確かに…そんな話をしました。ですが、あなたの身体にはどこにもありません」
「…前はね。ラズール、よく見てて」
「なにを…」
僕は震える指でシャツのボタンを外していく。全て外すと、ゆっくりとシャツを脱いで床に落とした。
あらわになった僕の上半身を見て、ラズールが息を飲む音がした。
「それは…一体…」
「呪われた子の証。僕は本当に呪われた子だったんだよ」
「以前にはそんなもの、なかったではないですかっ」
「母上が亡くなった日と同じ日に、いきなり現れたんだ。驚いちゃった…」
「だから…戻ってこられたのですか」
「そうだよ…。呪われた子の役目は、決まっている」
「何をするおつもりですか」
「僕の心臓を貫いて、その血を姉上に飲ませる。そうすれば姉上は助かり、イヴァル帝国も安泰…」
「ダメだっ!」
話してる途中で、いきなり強く抱きしめられた。痛いほどに抱きしめられて、僕の顔が歪む。触れるラズールの肌が熱くて、鼓動が激しくて、せっかくの決意が揺らぎそうになる。
もしかして僕は、不幸ではなかったのかもしれない。生まれてからずっと、僕はラズールに守られてきた。城を出てからは、リアムと出会って、愛し愛される喜びを知った。幸せというものを知った。もう充分だ。
僕はラズールの背中に腕を回して、一度だけ抱きしめた。そして逞しい胸を強く押して身体を離す。
「フィル様、俺は納得しません!」
「おまえの意見は聞かない。これは命令だ。僕はやるべきことをやる。絶対に邪魔をするな。そしてラズール、おまえが僕を殺すんだ」
「嫌です!」
ラズールが即座に拒絶の言葉を叫ぶ。
僕はラズールに甘えたくなる衝動を我慢して、更に冷たく言い放った。
僕はシャツを握りしめたまま、話し出した。
「ラズール、僕がここに戻ってきたのは、姉上を助けるためだよ。このままだと、たぶん姉上の病は治らない。姉上は助からない。僕だけが姉上を助けられるんだ」
「どういうことです?」
「夢を…見たんだ。母上が亡くなられた日に、僕は高熱を出して倒れた。その時に母上が夢に出てきて、姉上が再び病に倒れたこと、姉上を助けられるのは僕だけだということを話してくれた。だから僕は、バイロン国に使者として来たトラビスに頼んで、連れ帰ってもらったんだ」
「あなたしか助けられないとは、どういうことなのですか?」
ラズールの顔が、声が怖い。怒っているようだ。今から僕が、良からぬことを言うと気づいたようだ。
ラズールは立ち上がると、僕に手を伸ばした。
僕はラズールの手を避けて、横に移動する。なんとか平静をよそおうと笑ってみせるけど、頬が震えてうまく笑えない。
「ラズール…昔に話してくれたこと、覚えてる?」
「なんの…話ですか」
「呪われた子には、蔦のような痣が身体にあるって話」
「確かに…そんな話をしました。ですが、あなたの身体にはどこにもありません」
「…前はね。ラズール、よく見てて」
「なにを…」
僕は震える指でシャツのボタンを外していく。全て外すと、ゆっくりとシャツを脱いで床に落とした。
あらわになった僕の上半身を見て、ラズールが息を飲む音がした。
「それは…一体…」
「呪われた子の証。僕は本当に呪われた子だったんだよ」
「以前にはそんなもの、なかったではないですかっ」
「母上が亡くなった日と同じ日に、いきなり現れたんだ。驚いちゃった…」
「だから…戻ってこられたのですか」
「そうだよ…。呪われた子の役目は、決まっている」
「何をするおつもりですか」
「僕の心臓を貫いて、その血を姉上に飲ませる。そうすれば姉上は助かり、イヴァル帝国も安泰…」
「ダメだっ!」
話してる途中で、いきなり強く抱きしめられた。痛いほどに抱きしめられて、僕の顔が歪む。触れるラズールの肌が熱くて、鼓動が激しくて、せっかくの決意が揺らぎそうになる。
もしかして僕は、不幸ではなかったのかもしれない。生まれてからずっと、僕はラズールに守られてきた。城を出てからは、リアムと出会って、愛し愛される喜びを知った。幸せというものを知った。もう充分だ。
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「フィル様、俺は納得しません!」
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「嫌です!」
ラズールが即座に拒絶の言葉を叫ぶ。
僕はラズールに甘えたくなる衝動を我慢して、更に冷たく言い放った。
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