銀の王子は金の王子の隣で輝く

明樹

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 しばらく待ってから扉が開いて、白髪に白い髭の老人が出てきた。たぶんこの人が村長本人だろう。
 村長がラズールを見て目を見開く。

「どちら様…っ」
「悪いな」

 村長の言葉が言い終わるよりも早く、ラズールが村長の口を塞いで身体ごと押し返した。
 そして顔をこちらに向けて頷く。
 僕も慌てて中に入った。
 僕が中に入ると、ラズールが後ろ手で扉にカギをかける。そして村長の身体を押して部屋の中央まで進み、そこにあった椅子に座らせて、ようやく村長から手を離した。

「なっ、何者…!」
「静かに。痛い思いをさせたくないので、大人しくしていただけませんか?あなたがこの村の村長ですね?少々聞きたいことがあるのです」

 大声を出そうとした村長に向かって、ラズールが自分の唇に人差し指を当てながら言う。そしてもう一つの椅子を村長の対面に持ってきて僕を座らせ、自身は僕の隣に立った。

「わしを…殺すのか?」
「そのような野蛮なことはしません。だが、あなたが正直に話さない、またはこちらの言うことを聞いてくれない場合は、奥の部屋にいる家族の身に危害を加えるかもしれませんよ」
「な…っ」

 村長の椅子がガタンと揺れる。
 僕も思わず声を上げてしまうところだった。
 でも大丈夫。ラズールには何か考えがあるんだ。ここは黙って見ていよう。
 ラズールが僕の肩に手を乗せた。手から伝わる熱が温かくて、安心できた。

「聞いてもよろしいですか?」
「…なにをじゃ」
「この村にはふんだんに宝石が採れる山がある。その山の採掘場で、盗難が起こっているそうですね?」
「ああ、そうだ…」
「いつから?」
「ひと月ほど前からだ」
「今も続いてる?」
「ここ数十日は落ち着いているが、いつまた盗難が起きるかわからん」
「犯人の目星はついてるのですか?」
「ついてる。この村と隣接するイヴァル帝国の蛮民の仕業じゃ」
「そっ…」

 黙って聞いていたけど、自分の国の民を悪く言われてつい興奮してしまった。
 思わず立ち上がろうとしたところを、ラズールに肩を押さえられて我に返る。僕は、ゆっくりと息を吐いて気持ちを落ち着かせながら、椅子の背に身体を預けた。
 ずっとラズールを見ていた村長が、この時初めてこちらを見た。そしてなぜか寂しそうな顔をする。

「君…まだかなり若いのじゃないかな?その歳で賊のような真似事に加担させられて、かわいそ…」
「黙れ。…村長、会話は俺とだけにしてください。この者に関わった場合も、家族に危害を加えます」
 
 村長は驚いた様子で、僕とラズールを交互に見ていたけど、「わかった」と頷いて話を続けた。
 

 
 
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