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俺は注目されたくない。目立ちたくない。だけど、こいつといると目立ってしまう。
エイルリスは男に背を向けると、「早く行くぞ」と歩き出した。
講義室を出たエイルリスの隣に、男が並ぶ。
「俺の名前はアレンだよ。君はエイルリスくんだよね?ルリスって呼んでいい?よろしくな」
「勝手に呼ぶな」
「いいじゃん。俺はルリスと仲良くなりたい。隣のクラスだから、なかなか話しかけれなくてどうしようと思ってたんだ。だから、今日は話しかけることができて嬉しいよ。な、俺のこともアレンって呼んで。ところで何食べたい?」
「なんでもいい」
「そうなの?じゃあさ、中庭のカフェに行こう。あそこ好きなんだよな」
「ふん」
そんな会話をしながら校舎を出る。
この間、アレンは頻繁にエイルリスの顔を見てきたが、エイルリスは一切アレンを見ていない。とにかく鬱陶しいのだ。
早く静かな場所で一人になりたい。だけど起こしてもらった礼をしないといけない。借りを作るのは嫌いだから早く返したい。ノートも写したい。講義の内容は聞きもらしたくないのだ。知識はどれほど身につけても足りないと思っているから。それなのに、眠ってしまったのは失敗だった。いつもは、何とか耐えていたのに、今日に限って寝てしまった。おかげで、こんな目立つ奴につきまとわれて、大迷惑だ。
ここは全寮制の学園で、周囲を広大な森に囲まれている上に、許可がないと外に出られないし、徒歩では森を抜けられない場所にある。
代わりに敷地内には、たくさんの店や食堂やカフェがある。
エイルリスは、いつもは人の少ない屋内の食堂で食べるのだが、今日はアレンの希望で広い中庭に面したカフェに入った。初めて来た。案の定、人が多くて辟易する。
しかも目立ちたくないというのに、アレンが空いてるテラス席を見つけて、嫌がるエイルリスを座らせた。
まだ本格的に暑くなる前の気候で、エイルリスの金髪を揺らす風が気持ちいいが、人目が気になる。でも店内は混んでいて、移動もできない。
エイルリスは仕方がないと諦めて、メニューを開いた。特に食べたい物はない。腹が満たせればそれでいい。
エイルリスはサンドウィッチを、アレンはパンケーキを注文した。
おまえ、そんな見た目でパンケーキかよ…という言葉を脳内に浮かべて、アレンを見る。
アレンが微かに首を傾げて「なに?」と聞く。
「…パンケーキで腹が膨れるのかよ」
「膨れる。ここのパンケーキ、結構ボリュームがあって美味いんだ。ルリスも食べてみろよ」
「いらない。甘い物は嫌いだ」
「そうなんだ?ルリスはパンケーキが似合うのに」
どういう意味だそれは、と口を開く前に、注文した物が運ばれてきた。
当たり前のようにエイルリスの前にパンケーキが、アレンの前にサンドウィッチが置かれる。
アレンは少しムッとした様子で、店員が離れるとすぐに皿を取り替えた。そして優雅な手つきでナイフとフォークを持ち、大きく切ったパンケーキに生クリームを乗せると、口に入れて目を細めた。
一連の流れを見ていたエイルリスは、骨付き肉が似合いそうな男が、嬉しそうにパンケーキを頬張る姿を見て、思わず笑った。といっても、ほんの少し口角が上がっただけだけど。
エイルリスは両手を握りしめて神に祈ると、サンドウィッチを手に取り口を開けた。ふと視線を感じて目を上げる。アレンが手を止めて、こちらを見つめている。
エイルリスはサンドウィッチを皿に置いて「なに?」と睨んだ。
「いや、ルリスは本当にきれいな顔をしてると思って。君と話したい人、たくさんいると思うぜ」
「興味ない。俺は誰とも仲良くなんてしたくない。一人がいいんだ」
「じゃあなんで、今は来てくれたんだ?」
「…起こしてくれた礼と、ノートを見せてもらうため。でも、俺に干渉してくるなら、もういい」
エイルリスは腰を浮かしかける。
慌ててアレンも立ち上がり、エイルリスの肩を押さえた。
「ごめん、悪かった!もう余計なことは言わない。だからここにいてくれ。ほら、そのサンドウィッチも美味いぞ?」
「……」
エイルリスは無言で皿を見た。
ここで席を立って騒がれても困る。仕方がない。食べ終わるまではここにいよう。
そう思って、再びサンドウィッチを手に持ち、無言で食べ始めた。
エイルリスは男に背を向けると、「早く行くぞ」と歩き出した。
講義室を出たエイルリスの隣に、男が並ぶ。
「俺の名前はアレンだよ。君はエイルリスくんだよね?ルリスって呼んでいい?よろしくな」
「勝手に呼ぶな」
「いいじゃん。俺はルリスと仲良くなりたい。隣のクラスだから、なかなか話しかけれなくてどうしようと思ってたんだ。だから、今日は話しかけることができて嬉しいよ。な、俺のこともアレンって呼んで。ところで何食べたい?」
「なんでもいい」
「そうなの?じゃあさ、中庭のカフェに行こう。あそこ好きなんだよな」
「ふん」
そんな会話をしながら校舎を出る。
この間、アレンは頻繁にエイルリスの顔を見てきたが、エイルリスは一切アレンを見ていない。とにかく鬱陶しいのだ。
早く静かな場所で一人になりたい。だけど起こしてもらった礼をしないといけない。借りを作るのは嫌いだから早く返したい。ノートも写したい。講義の内容は聞きもらしたくないのだ。知識はどれほど身につけても足りないと思っているから。それなのに、眠ってしまったのは失敗だった。いつもは、何とか耐えていたのに、今日に限って寝てしまった。おかげで、こんな目立つ奴につきまとわれて、大迷惑だ。
ここは全寮制の学園で、周囲を広大な森に囲まれている上に、許可がないと外に出られないし、徒歩では森を抜けられない場所にある。
代わりに敷地内には、たくさんの店や食堂やカフェがある。
エイルリスは、いつもは人の少ない屋内の食堂で食べるのだが、今日はアレンの希望で広い中庭に面したカフェに入った。初めて来た。案の定、人が多くて辟易する。
しかも目立ちたくないというのに、アレンが空いてるテラス席を見つけて、嫌がるエイルリスを座らせた。
まだ本格的に暑くなる前の気候で、エイルリスの金髪を揺らす風が気持ちいいが、人目が気になる。でも店内は混んでいて、移動もできない。
エイルリスは仕方がないと諦めて、メニューを開いた。特に食べたい物はない。腹が満たせればそれでいい。
エイルリスはサンドウィッチを、アレンはパンケーキを注文した。
おまえ、そんな見た目でパンケーキかよ…という言葉を脳内に浮かべて、アレンを見る。
アレンが微かに首を傾げて「なに?」と聞く。
「…パンケーキで腹が膨れるのかよ」
「膨れる。ここのパンケーキ、結構ボリュームがあって美味いんだ。ルリスも食べてみろよ」
「いらない。甘い物は嫌いだ」
「そうなんだ?ルリスはパンケーキが似合うのに」
どういう意味だそれは、と口を開く前に、注文した物が運ばれてきた。
当たり前のようにエイルリスの前にパンケーキが、アレンの前にサンドウィッチが置かれる。
アレンは少しムッとした様子で、店員が離れるとすぐに皿を取り替えた。そして優雅な手つきでナイフとフォークを持ち、大きく切ったパンケーキに生クリームを乗せると、口に入れて目を細めた。
一連の流れを見ていたエイルリスは、骨付き肉が似合いそうな男が、嬉しそうにパンケーキを頬張る姿を見て、思わず笑った。といっても、ほんの少し口角が上がっただけだけど。
エイルリスは両手を握りしめて神に祈ると、サンドウィッチを手に取り口を開けた。ふと視線を感じて目を上げる。アレンが手を止めて、こちらを見つめている。
エイルリスはサンドウィッチを皿に置いて「なに?」と睨んだ。
「いや、ルリスは本当にきれいな顔をしてると思って。君と話したい人、たくさんいると思うぜ」
「興味ない。俺は誰とも仲良くなんてしたくない。一人がいいんだ」
「じゃあなんで、今は来てくれたんだ?」
「…起こしてくれた礼と、ノートを見せてもらうため。でも、俺に干渉してくるなら、もういい」
エイルリスは腰を浮かしかける。
慌ててアレンも立ち上がり、エイルリスの肩を押さえた。
「ごめん、悪かった!もう余計なことは言わない。だからここにいてくれ。ほら、そのサンドウィッチも美味いぞ?」
「……」
エイルリスは無言で皿を見た。
ここで席を立って騒がれても困る。仕方がない。食べ終わるまではここにいよう。
そう思って、再びサンドウィッチを手に持ち、無言で食べ始めた。
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