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「レオナード様!!」
慌ててレオナードを呼びつけた。
「足を踏み外したか……」
リオネルの姿を見たレオナードは取り乱すことなく冷静に見解するが、見つかった事に安堵はしているようで、表情は柔らかかった。
とはいえ、厳しい現状は変わらない。ここからではリオネルが生きているのか、怪我はどの程度なのか見当がつかない。
「この高さではどうしようもない。応援を呼んで来よう」
すぐに助けてやりたい気持ちはあるが、リオネルが倒れている足場は脆い。自分が助けに行けば崩れて二次被害になりかねない。そう思い、他の騎士を呼んで来ようと向きを変えた所で、シャルルが口を挟んできた。
「いえ、呼びに行っている時間すらも惜しいです。レオナード様が駄目でも私なら大丈夫しょう」
「は?」
レオナードの言葉を待つよりも早く自身のスカート捲り、躊躇なく崖を沿うようにして飛び降りた。
流石のレオナードも、これには血の気が引いた。
「シャルル!!」
飛びつくように崖下を見れば、ヘラッと笑って手を振るシャルルの姿が視界に入ってきた。どこまでも危なっかしい聖女だと普段なら頭を抱える所なんだろうが、今回はその笑顔が消えなくてよかったと心の底からホッとした。
シャルルはリオネルの顔色、怪我の様子、全身を隈まなく見終えると笑顔で顔を上げた。
「レオナード様!リオネル様は大丈夫です!気を失っているだけです!」
子供だったことが功を奏した。大人がこの高さから落ちたら全身骨折は免れない。子供の骨は柔らかく柔軟性があったのが良かったのだろう。まあ、打撲と擦り傷は仕方ない。
この程度で済んだことが奇跡ですわね。
「そうか。良かった……少し待っていてくれ。何か掴めるものを用意しよう」
「ああ、それも大丈夫です!ユキさん!お願いします!」
『任せて!』
シャルルが合図を送ると、ユキは唸り声を上げ始めた。すると、小さな体が徐々に大きく変化していく。
「なッ!」
色は違えど、その姿は対峙した時に見た魔獣そのもの。
言葉を失い驚いているレオナードを他所に、ある程度大きくなったユキは尻尾をシャルルに向けて垂らした。それに掴まれという事らしい。その意図を組みとり、素早くリオネルを抱えて尻尾を掴んだ。
「……規格外の事が起こり過ぎて何から処理していいのか分からん」
「何を言っているんです?結果が全てですわよ。結果が良ければ全てよしですわ!」
自慢気に言い切るシャルルを目にした瞬間
「ふはっ」
レオナードが堪らず吹き出した。
「あはははは!!君は本当に……!そうだな。その通りだ」
その場にレオナードの笑い声が響く。これにはシャルルが戸惑いを見せた。
レオナードの笑った顔なんてきっと誰も見たことがない。それも爆笑だと?それは私に少しは気を許してくれた証拠だと自惚れていいだろうか……
(あぁ、どうしましょう)
嬉しすぎる。
感無量でレオナードを見つめていると、視線に気が付いたのかこちらに柔らかな笑顔を向けてくれた。
こ、こんな……こんなの……無理ですわ!!
殺傷力抜群の笑顔に為す術なく、シャルルは崩れるようにして気を失った。
『シャル!?』
ユキが体で受け止めようもしたが、それよりも早くレオナードが動いた。
「まったく、最後まで世話が焼けるな君は……」
シャルルを抱きとめ、愛おしい者を見るように暖かい瞳で囁いている。
ユキの知るレオナードは、こんな暖かい眼をしていない。射るような鋭い眼光で自分を殺そうとしていた人物。そんな人物に大切なシャルルを任せられないと、地面にしっかり脚を踏ん張らせ、引ける腰を誤魔化しながら威嚇するように唸り声をあげる。
レオナードと視線が合うと、ビクッと尻尾が震え毛が逆立つ。
「ほら、お前も行くぞ」
ユキの頭にポンと軽く手を置くと、リオネルとシャルルを抱えて行ってしまった。
あまりにも拍子抜け。ユキは首を傾げながらレオナードの後を追って行った。
慌ててレオナードを呼びつけた。
「足を踏み外したか……」
リオネルの姿を見たレオナードは取り乱すことなく冷静に見解するが、見つかった事に安堵はしているようで、表情は柔らかかった。
とはいえ、厳しい現状は変わらない。ここからではリオネルが生きているのか、怪我はどの程度なのか見当がつかない。
「この高さではどうしようもない。応援を呼んで来よう」
すぐに助けてやりたい気持ちはあるが、リオネルが倒れている足場は脆い。自分が助けに行けば崩れて二次被害になりかねない。そう思い、他の騎士を呼んで来ようと向きを変えた所で、シャルルが口を挟んできた。
「いえ、呼びに行っている時間すらも惜しいです。レオナード様が駄目でも私なら大丈夫しょう」
「は?」
レオナードの言葉を待つよりも早く自身のスカート捲り、躊躇なく崖を沿うようにして飛び降りた。
流石のレオナードも、これには血の気が引いた。
「シャルル!!」
飛びつくように崖下を見れば、ヘラッと笑って手を振るシャルルの姿が視界に入ってきた。どこまでも危なっかしい聖女だと普段なら頭を抱える所なんだろうが、今回はその笑顔が消えなくてよかったと心の底からホッとした。
シャルルはリオネルの顔色、怪我の様子、全身を隈まなく見終えると笑顔で顔を上げた。
「レオナード様!リオネル様は大丈夫です!気を失っているだけです!」
子供だったことが功を奏した。大人がこの高さから落ちたら全身骨折は免れない。子供の骨は柔らかく柔軟性があったのが良かったのだろう。まあ、打撲と擦り傷は仕方ない。
この程度で済んだことが奇跡ですわね。
「そうか。良かった……少し待っていてくれ。何か掴めるものを用意しよう」
「ああ、それも大丈夫です!ユキさん!お願いします!」
『任せて!』
シャルルが合図を送ると、ユキは唸り声を上げ始めた。すると、小さな体が徐々に大きく変化していく。
「なッ!」
色は違えど、その姿は対峙した時に見た魔獣そのもの。
言葉を失い驚いているレオナードを他所に、ある程度大きくなったユキは尻尾をシャルルに向けて垂らした。それに掴まれという事らしい。その意図を組みとり、素早くリオネルを抱えて尻尾を掴んだ。
「……規格外の事が起こり過ぎて何から処理していいのか分からん」
「何を言っているんです?結果が全てですわよ。結果が良ければ全てよしですわ!」
自慢気に言い切るシャルルを目にした瞬間
「ふはっ」
レオナードが堪らず吹き出した。
「あはははは!!君は本当に……!そうだな。その通りだ」
その場にレオナードの笑い声が響く。これにはシャルルが戸惑いを見せた。
レオナードの笑った顔なんてきっと誰も見たことがない。それも爆笑だと?それは私に少しは気を許してくれた証拠だと自惚れていいだろうか……
(あぁ、どうしましょう)
嬉しすぎる。
感無量でレオナードを見つめていると、視線に気が付いたのかこちらに柔らかな笑顔を向けてくれた。
こ、こんな……こんなの……無理ですわ!!
殺傷力抜群の笑顔に為す術なく、シャルルは崩れるようにして気を失った。
『シャル!?』
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「まったく、最後まで世話が焼けるな君は……」
シャルルを抱きとめ、愛おしい者を見るように暖かい瞳で囁いている。
ユキの知るレオナードは、こんな暖かい眼をしていない。射るような鋭い眼光で自分を殺そうとしていた人物。そんな人物に大切なシャルルを任せられないと、地面にしっかり脚を踏ん張らせ、引ける腰を誤魔化しながら威嚇するように唸り声をあげる。
レオナードと視線が合うと、ビクッと尻尾が震え毛が逆立つ。
「ほら、お前も行くぞ」
ユキの頭にポンと軽く手を置くと、リオネルとシャルルを抱えて行ってしまった。
あまりにも拍子抜け。ユキは首を傾げながらレオナードの後を追って行った。
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